開発を進めている民間機「412EPI発展型機」

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 SUBARU(スバル)は、米ベル・ヘリコプター・テキストロンと国際共同開発を進めている民間機「412EPI発展型機」の受注に近く乗り出す。陸上自衛隊向けの新型多用途ヘリコプター「UH―X」の民間転用機で、民間向けと陸自向け各150機、合計300機の量産を計画する。2021年度から順次納入する見通し。航空機事業で民間向け完成機の受注を始めるのは23年ぶり。宇都宮製作所(宇都宮市)に複合材ローターブレード工場を設置するなど18―19年度にかけて設備投資を進める。

 スバルとベルは約3年間にわたり共同開発を進め、このほど受注開始に向けた各種試験をほぼ終えた。陸自向けは18年度内に試験機を納入する見通し。民間向けは「ベル・SUBARU」を冠した統一ブランドとし、世界市場で販売。欧米はベルが、日本を含むアジア市場はスバルが主に担当する。海外でのMRO(修理・整備)については、ベルのシンガポール拠点などを活用する方向だ。

 スバルは「412EPI発展型機」の販売を見据え、宇都宮製作所・南工場内に整備工場を完成し、今後、多用途ヘリコプターの整備能力を従来比約3割増の年間130機に引き上げる計画。複合材ローターブレードやトランスミッション用設備などを拡充し、量産に備える。

 個別の設備投資額は明らかにしていないが18―19年度にかけて航空宇宙事業全体で年間100億円超の高水準が続く見込み。今後、自動車生産のノウハウを織り込んだ独自の「スバル・エアロスペース・プロダクション・システム(SAPS)」を18年度から導入し、生産性を高める。