7月に入り、この春に入社した新卒社員もそろそろ「社会人」に慣れ始めた頃だろう。そんな中、メルカリでは書籍『入社1年目の教科書』が大量出品されている。

著者はライフネット生命保険の代表取締役・岩瀬大輔さん。2011年に出版され、発行部数40万部を超えるロングセラーだ。メルカリには7月5日現在、署名と著者名で検索すると1247件がヒット。うち239冊が販売中となっている。

八重洲ブックセンター外商部「さまざまな企業から一括注文されている」

出品価格は300円からで、中には定価(1543円)を超える2540円での出品もあった。中には岩瀬さんのサイン本も出品されているが、安価なものから取引されている。出品情報を見ると「商品の状態:未使用に近い」「目立った傷や汚れなし」というものが多かった。説明文にも、

「1度読んだのみの新品同様品になります」
「一読しただけなのできれいです」
「先日購入し、さらっと一読した後、本棚に保管してあります」

という文言が多く見られた。あらかた目を通したら出品する傾向が高いが、中には「未読」という人もいた。また「2年前に購入しました。一度しか読んでいないのでほぼ新品です」と書いている人もおり、必ずしも新入社員が出品しているとは言えない。

大量出品されている理由の一つに、「会社側から渡された」ということが挙げられる。もちろん自分で購入した人もいるが、同書の帯には八重洲ブックセンター外商部の担当者による「さまざまな企業様より一括採用注文をいただき、新人研修用の書籍としてはダントツの売上です」というコメントが掲載されている。

ツイッターでも「入社1年目の教科書私も渡されたので持ってる」という人や、研修で同書の感想文を提出したという人がいた。中には自費で購入して「土日で熟読するように」と言われた人もいる。多くの企業で活用されていることは間違いない。

内容は意外と悪くない? 著者は「何をするかより誰と働くか」を重視

『入社1年目の教科書』を、キャリコネニュース編集部でも読んでみた。同書では、仕事における3つの原則「頼まれたことは必ずやりきる」「50点で構わないから早く出せ」「つまらない仕事はない」を前提として、具体的な"頑張り方"が項目別に記されている。

特筆すべきはネット上でも度々物議を醸してきた「宴会芸は真剣にやれ」だろう。岩瀬さんは「仕事も遊びも趣味も徹底してやる人は面白い。それは、宴会芸も同じです」として経験を語り、「(上司や先輩は渾身の宴会芸を通して)あなたのトータルな人格を見ているのです」と述べている。

残念ながら、ツイッターでは「今時新人芸はパワハラと捉えかねない」「芸の質を高めるくらいなら、その時間を世の中に新しい価値を生み出す新規事業企画に最大限使って欲しい」など批判的な声が多い。

確かに宴会芸のところだけ読んでもピンとこないかも知れないが、同書では会社選びに関して「『何をやるか』より『誰とするか』」と説くなど、もっともな内容も多い。頭から読み通すとそこまで拒否感なく受け取れるだろう。

また、同書の場合、章のタイトル部分がキャッチーすぎて、そこだけ読むと誤解を生みそうなものもある。しかし「同期とは付き合うな」という章では人と比べるのではなく社外の人と付き合って見識を広げべきだということ、「社内の人と飲みに行くな」という章では共通の趣味などがあれば飲みに行かずともコミュニケーションが取れることをあげている。言葉選びは尖っているが、文字通り社会人1年目のころに読むといい刺激になるかも知れない。