眠れない夜に、寝返りを打ちながら一晩過ごすのは本当に辛いですよね。ほとんどの人がそんな経験あるはず。『コンシューマー・レポート』(Consumer Reports、アメリカで200万人の購読者を持つ月刊誌)の2016年の調査によると、全米で推計1億6400万人もの人が、すくなくとも週に1回は眠れないと感じているとのこと。不眠症だと次の日に疲れが残ってしまうだけではありません。慢性的に睡眠が足りないと、健康そのものに悪い影響が及ぶのです。

睡眠不足が続くと、身体の免疫システムのはたらきが弱くなってしまい、病原菌と戦うことも困難に。イライラや落ち込み、不安など、気分を変化させるトリガーにも。また、睡眠不足だと体重が増え、心臓病や高血圧、2型糖尿病となるリスクが増加し、なんと余命までも短くなってしまう、ということが研究によって明らかになりました。

一方、よい睡眠習慣があると健康面で次のすべてがよくなります。記憶(情報を記憶し、保持するための新しい神経回路を作るには、脳の休息が必要なので)、精神状態(休むことで感情をコントロールしたり、問題を解決したり、よい決定をすることができる)、ホルモンの調節、そして治癒力。

眠るために睡眠薬を処方してもらおうとする人もいれば、副作用のことを考えて薬の使用には慎重になる人もいます。睡眠薬の副作用としては、めまい、頭痛、アレルギー反応、認知症になるリスクが大きくなる可能性があることが挙げられます。このことから、夜にぐっすり眠るための最もよい方法を見つけようと、睡眠の専門家に話を聞き、不眠症の効果的な撃退法を共有してもらいました

ただ、「睡眠障害について、かかりつけの医師と相談するのは重要」ということはくれぐれも忘れないようにしてください

病院で睡眠教育を専門とする、看護師のテリー・クレイルさんは、「自然な方法であろうと別の方法であろうと、睡眠のためにどのような対策をとっているのか、かかりつけの医師には必ず知らせます。そして、今の健康状態やほかの薬物治療に影響がないかどうか確認を。ほかのすべての薬と一緒で、自然な睡眠療法であっても、副作用やリスクがあることが考えられます。それらについての情報を集めて医療供給者と話し合うのは、よいことだと思います」と言います。

電子機器を遠ざける

「まずはこれが第一。ほとんどの人は、携帯電話をすぐに手の届く範囲に置いておく習慣があります。寝るときでさえ。私たちは、その習慣をやめないといけません」と、南カリフォルニア大学ケック医学校の臨床医学の助教で、睡眠を専門とする医師のラジ・ダスグプタさん。

電子機器から発生するブルーライトは睡眠導入を遅らせることがある、という研究結果も。ベッドに入った後、ついショートメールを打ったり、最後にメールが来ていないかチェックしたり、SNSにハマったりしがち。携帯はマナーモードにして、ドレッサーの上など枕元から遠く離れたところに置くようにしましょう。

ベッドから出てみる

ダスグプタさんによる「20分ルール」とは、20分以内に眠れなかったら、いったんベッドから出て、別の部屋で何か刺激にならないことをしてみる、というもの。

「本を読むのもOK(ただし、電子書籍はNG)。ストレスやイライラが増えるようなことは、睡眠の妨げとなるので、すべて避けます」とダスグプタさん。そして、眠気を感じたらすぐにベッドへ戻ればよいのです。

寝る前にヨガをしてみる

ヨガをすると心身がリラックスするので、睡眠にはとても効果的。ジョンズ・ホプキンス大学医学部神経科の医師で助教のレイチェル・サラスさんは、呼吸に集中して一日の緊張を解き放つ、簡単なポーズをすすめています。あぐらをかいて座り、腕をまっすぐ前のほうに伸ばしながら、頭が床に届くように上体を前に曲げていきましょう。

すくなくとも週に数回は運動を

クレイルさんによると、定期的な運動は、睡眠の改善にとても効果があるとのこと。一日のなかで、運動しても睡眠の妨げとならない、自分にとって最適な時間を見つけることがきわめて大切です。夜の運動が寝つきに何の影響もしない人もいますし、朝いちばんでジムに行くのが向いている人もいます。大切なのは、一週間のうち、すくなくとも何日かは体を動かすようにする、ということ。10分のウォーキングでもよいし、ヨガのクラスをとったり、ウェイトリフティングで汗をかいたりするのでもよいのです。

「運動することをおろそかにしてほしくありません。運動していない人が多すぎるように思います。多くの人は、夜に体を動かしても問題なく、睡眠の邪魔とはなりません。いろいろ試してみるとよいでしょう。そして、自分に一番あった方法を見つけて、運動する習慣を持つことをぜひおすすめします」とクレイルさん。

テレビの見すぎは避ける

テレビをつけて、お気に入りのホームコメディーを観ながらまどろむ、というのは一見、よいように思えますが、まったくの正反対であることが研究によって示されています。『ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディシン』誌に掲載された最近の研究によると、若者を対象に、連続もののテレビ番組を続けて何回分も視聴した人とテレビをそれほど観なかった人とを比べたときに、前者の98%が睡眠の質を悪化させ、不眠症の症状や翌日の倦怠感を多く経験したとのこと。

寝る直前だから脳を休めたいと思っても、テレビを見すぎた場合、興奮状態となって目がさえてしまうのです。「一話が終わったらその番組は終わりにして、刺激とならないほかの番組に変えるとよいですよ」とダスグプタさん。

寝る前のルーティーンを作ってみよう

睡眠医学の認定資格(アメリカン・ボード・オブ・スリープ・メディシンの認定資格)を持ち、米国睡眠医学会のフェローでもある臨床心理士のマイケル・J・ブレウス博士によると、不眠症に苦しんでいる人は、寝る直前に「パワーダウンする1時間」を取り入れることで苦痛が和らぐかもしれない、とのこと。「ライトを消す1時間前に、20分ずつ3回に区切られた動作をするとよいと思います」

「睡眠障害のほとんどは、ストレスと関係しており、そのストレスへどう対処するかということは、とても大切です。いくつかのタイプの瞑想法や呼吸法をおすすめします」と」と医師のフランク・リップマンさん。

20分間何か楽しめることをして(もちろん、刺激にならないことで)、次の20分を歯みがきなど身の周りのことに使い、そして最後の20分を瞑想やヨガなどのリラックスにあててみては。

暗算をしてみる

「もし夜中の3時まで眠れなかったとしたら、一般的に脳が原因であると考えられます。不眠症は多くの場合、うつや不安などの認知的な要素によって起こります」とブレウスさん。300から3ずつ引き算をして、心を静かにしてみて下さい。「複雑な計算なので、あなたはほかのことを考える余裕がなくなります。そして、とても退屈になって眠ってしまうでしょう」

安心して眠れる寝室を作る

寝室の環境は、寝つきや睡眠の維持にとても大きな役割を果たしています。「多くの人が、眠りの環境を最適なものに整えることを忘れています。それでは休息に悪い影響が及んでしまいます」とクレイルさん。注意すべきは次のことだそう。「ベッドのマットレスを何年使っているか、室温は何度か、夜間本当に暗いか? メラトニンを分泌するためには、その暗さがとても重要なのです」とクレイルさん。

気を散らすようなものはドアに置いたままにして、寝るための儀式を行います。部屋の灯りを落とす。温かいお風呂に入る。そして一番大切なのが、自分にメディア禁止令を出すこと。ベッドの上に横になってから、一時間も携帯を見続ける、なんてことはしないように。「すべての画面を消してから、椅子に座って薄暗い部屋の中でお茶を飲んだり、本を読んだりするのはいかがでしょう」とクレイルさん。そして、毎晩同じ時間に寝るようにすると、いつ眠るべきか体内時計がきちんと分かるようになります。すると翌朝、目覚めたときに、今までよりもリフレッシュした気分に。

かかりつけの医師にメラトニンについて相談してみよう

脳の松果体で作られるメラトニンというホルモンは、概日リズム(体内時計)をコントロールします。全米睡眠財団によると、「太陽の光が弱まる夕方になると、メラトニンが身体の中で自然に作られます。だから夜になると眠気を感じるようになるのです」とのこと。

メラトニンのサプリメントは、規則的な睡眠パターンの維持が難しい人の助けとなります。「ただし、適量を守ることは極めて重要です」と睡眠心理学者でハッピー・ヘルシー・レステッド(Happy Healthy Rested)の健康コーチを務める、ディアドラ・コンロイ博士は注意を呼びかけています。

どんな薬であっても、飲む際には必ずかかりつけの医師に相談を。そうすれば医師はどのくらいの量のメラトニンを飲むべきか、またどのくらいの期間そのサプリメントを飲めばよいか、一緒に考えてくれます。短期間であれば、メラトニンのサプリメントを飲むことは安全であると思われますが、長期にわたって服用した場合の安全性については、まだはっきりとは分かっていないので、注意が必要です。

睡眠のスケジュールを守る

1週間のうちの7日間すべて、起床時間と就寝時間を決まった時間にすることは、睡眠の質に大きく関わります(もちろん、週末も!)。「長かった一週間の後、金曜日に夜更かしして、翌日は朝寝坊。そのような生活が日曜日まで続くと、夜になってからなかなか寝つけなくなり、睡眠負債が翌週にわたって持ちこされる、というサイクルができてしまいます」とダスグプタさん。

トリプトファンが豊富な軽食を食べる

牛乳、卵、ピーナッツ、大豆などのタンパク質が豊富な食品には、トリプトファンというアミノ酸が含まれており、それは眠気を誘うはたらきがあります」と、アリッサ・ラムゼイ・ニュートリション・アンド・ウェルネス(Alissa Rumsey Nutrition and Wellness)の創設者であるアリッサ・ラムゼイさん。修士号を持ち、栄養士でもあります。

これらの食べ物を炭水化物と組み合わせると、トリプトファンが脳に行きわたりやすくなり、効果的。おすすめなのは、炒った大豆、ピーナッツ、ひまわりの種、チェダーチーズ、ツナ缶、ピスタチオ。そんなにたくさんの量でなくても大丈夫。「ちょっとしたおやつのときに食べるだけでも、トリプトファンの適量を摂ることができて、睡眠に十分な効果のあることが研究で分かっています」とラムゼイさん。

マグネシウムが豊富な食べ物をもっと食べる

いくつかの小規模な研究で、マグネシウムが不眠症の改善に効果的である可能性が示されましたが、研究の結論はまだ出ていません。ある研究では、マグネシウムのサプリメントを飲んだ被験者の総睡眠時間は変わらなかったものの、「不眠症重症度質問票」(睡眠の質、深刻度、成人の日常生活への影響などで測る指標)の点数がよくなり、また入眠潜時(眠りにつくまでの所要時間)、睡眠効率、早朝覚醒などに改善がみられたそう。

コルチゾールというホルモンは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、夜の寝つきを悪くする影響があるのですが、ミネラルを多く取ることでそれを効果的に減らすことができた、という研究結果も。リップマン博士は不眠症の患者に、神経システムを鎮める効果のあるマグネシウムをとることをすすめています。でも、マグネシウムが不眠に効果的かどうかはまだ完全には分かっていないので、サプリメントにお金を費やさずに毎日の食事で取るのもよいかもしれません。マグネシウムを多く含む食べ物は、キヌアやアーモンド、ほうれんそう、かぼちゃの種、ピーナッツ、ブラックビーンズ、玄米など。

ペットと一緒に寝る(ベッドの中ではなく)

ペットと一緒に寝るのはそんなに悪いことではありません。メイヨークリニック(Mayo Clinic、アメリカにある大きな総合病院)の新しい研究によると、飼い犬と一緒の部屋で寝る人のほうが、そうでない人よりよく眠れていることが分かりました。ただし、布団の中には入れないように。ペットと添い寝した人は、そうでない人と比べて、睡眠の質が悪くなったとのことですから。もし、ペットと一緒に寝ることで不眠症がよくなりそうなら、くれぐれもそのふわふわの友達は、床か、近くに置いたペット用のベッドで寝ることにして、お互いを邪魔せずぐっすり眠るようにして。

耳栓を使ってみる

耳栓を使うことで、騒音や隣で寝ている人のいびきを聞こえないようにする方法も。ブレウスさんはノイズ減少率が32デシベル以下の耳栓をおすすめしています。それくらいの防音性であれば、睡眠を妨げる音をシャットアウトしつつも、目覚まし時計や住宅用火災報知器の音は聞くことができます。

カモミールティーを飲んでみる

「夜、くつろぎのひとときにお茶を飲みながらリラックスするのはとても効果的。お茶による癒しの力は意外とあなどれないのです。覚醒から睡眠への移行は、すてきな、リラックスしたものであってほしいと思います。そうすると、薬か何かを飲まなくては、という感じではなくなります。夜にカモミールティーを飲むのは、よい習慣だと思います」とクレイルさん。

カモミールは昔から、不眠や不安に対する伝統的な治療に使われており、抗炎症・抗菌の効果も。多くのハーブ療法と同様、科学的な根拠が必ずしも十分あるわけではないのですが、試してみる価値は大いにありそう。

寝る直前に決して飲まないように、と専門家が言うものとは? それは、アルコール。睡眠の邪魔となる胸焼けや消化不良の原因となるだけではなく、寝る直前にたくさんの水分を取りすぎると、夜中に何度もトイレに起きるはめになることも。「アルコールを取ると確かに眠りにつきやすくはなりますが、寝ている途中で何度も目覚めたり、夜中に目が冴えたりして、翌朝すっきりしない、といったマイナス面があります」とダスグプタ博士は注意を呼びかけています。

なにも夕食のときにグラス1杯のメルローも飲んではだめ、ということではありません。飲むなら必ず、寝る時間の数時間前までにしましょう。

セラピストに相談を

メイヨークリニックによると、不眠症への認知行動療法(CBT-I)は、慢性的な睡眠障害の改善にびっくりするくらい効果があるとのこと。睡眠薬やほかの方法は、不眠症の症状のみを治すのに対して、不眠症への認知行動療法(CBT-I)は問題の根本的な原因を特定することに役立ちます。ただし、それなりの時間をかけて治療に専念する必要があります。臨床医のもとへ定期的に通い、家でも睡眠についての多くの課題をする必要があり、睡眠日誌も書き続けなくてはなりません。

Jenae Sitzes and Alyssa Jung/16 All-Natural Sleep Aids That Will Have You Snoozing in No Time

訳/STELLA MEDIX Ltd.