自身が起点となったプレーで勝利を呼び込んだクルトワ。 (C) Getty Images

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【7月1日・ロストフ・アレーナ|決勝トーナメント1回戦 ベルギー 3-2 日本】

 日本代表との激闘を制して、ベスト8に駒を進めたベルギー代表。その守護神であるティボー・クルトワは、試合後、西野ジャパンの戦術的な闘いに賛辞を贈った。

 ベルギーの圧倒的優位が予想されていたなかで迎えた一戦は、始まってみれば、2点のリードを許すまさかの展開に。終盤の追い上げによって“赤い悪魔”は、後半アディショナルタイムで逆転勝利を飾ったものの、試合後は日本の奮闘ぶりを称えるメディアは少なくなかった。

 そうしたなかで、ベルギーのゴール前で奮闘し続けたクルトワは、ベルギー公共放送『RTBF』のフラッシュインタビューで、「苦しかった」と一言。さらに日本のパフォーマンスを褒めちぎった。

「僕らは苦しんだよ。まあ、僕自身、苦しむことはアトレティコ(前所屬クラブ)の頃に何度も経験していたから慣れてはいたけどね。日本は凄く良いチームで、戦術的に素晴らしかった。だから、後半始まってすぐに0-2にされてしまったんだ。彼らは統率が取れていたよ」
 

 さらに「1点を取るまでは、すべてが壊滅的だとも思えた。相手GKも良いセーブをしていたからね」と、日本代表守護神の川島永嗣も称えたクルトワ。そんな中で生み出した逆転ゴールは、相手のCKをキャッチしてからの自身のリスタートからだった。

 雌雄を決した場面を生み出した26歳のGKは、「あのシーンは偶然じゃないよ」と雄弁に振り返った。

「あれは偶然じゃないよ。僕はホンダのCKを止めた。あの場面で、大半のGKはボールを弾くだろう。あれだけのハイボールを掴んで、ああいう風に展開できるGKはそう多くはないからね。そして、僕はケビン(デ・ブルイネ)が前を走っていくのが見えたから、『彼にボールを渡さなきゃ』って瞬間的に思ったんだ。チェルシーで、ああいう切り換えをよく練習していたから、その成果が出せた」

 日本に対して苦しんだベルギーを救ったのは、ハイレベルな場で鍛錬を重ねてきた守護神の自信と瞬時の判断だった。まさに日頃の行ないの賜物であった。