どこにでもいる女性でも気が付くと、その世界の『沼』にハマってしまうケースを紹介する同シリーズ。今回の沼は、過干渉な母親の下、制限された生活から抜け出すことができなくなった「毒親」の沼です。

「もうアラフォーで、経済的に自立しているのに、どうしても母親のことが頭の片隅に常にあるんです」と語るのは、恭子さん(37歳)。現在は兵庫県にある実家で母親の面倒を見ながら、家から近くの運送会社で事務として働いています。

少し茶色に染めた髪の頭部部分からは数本白髪が確認できるものの、パッチリとした丸く大きな瞳とスレンダーな体型は、若い頃はモテたような雰囲気があります。

兄妹の中で自分だけが干渉され続ける幼少期

恭子さんは8歳上に兄、6歳上に姉がいる4人家族。父親は恭子さんが幼い頃に離婚したそうです。兄妹の中で自分だけが干渉され続けた理由について、思い当たることがあるか伺いました。

「兄と姉は、私が物心をついた頃には母親との仲はあまりよくありませんでした。それに、兄と姉は中学生の時にややヤンチャだったというか、少し悪かったんです。私だけはそうならないようにと、母が守ろうとしていたのかもしれません。小さい頃は兄、姉ともに私のことをかわいがってくれたんですけど、母親の前では兄妹で距離を取るような態度を演じていましたね。家族なのに、どこかギスギスした関係。我が家はそんな感じでした」

思春期に入るとモテ始めた恭子さんを、母親は厳しく躾けたと言います。

「中学に入ると、急にモテ始めたんです。特に何か意識したり、オシャレに目覚めたわけじゃないんですけど。知らない人から下駄箱に手紙をもらったり、クラスメートに遊びに誘われたりするようになり、一度母親に異性からもらった手紙を勝手に読まれたんです。いきなり手紙をテーブルに叩きつけられて、『異性と付き合うなんて早すぎる』と今までないキツイ口調で怒られました。そこから門限が始まり、17時になりました。前までは早く帰って来るようにとは言われていましたが、門限はなかったんです。当時バレー部に所属していたので、部活終わりに走って帰ってギリギリの時間でしたね」

兄、姉が次々と母親の元を離れていき……

姉の結婚を機に、母親の過干渉に加え、依存が大きくなっていく

恭子さんが中学生の頃、姉に子供ができ、結婚を反対した母親との縁を切って実家を飛び出してしまいます。

「姉が20歳の時に、一回り上の男性との子供を妊娠したんです。姉はその頃には真面目に働いていて、相手は職場の上司でした。当時は今よりもできちゃった結婚に世の中が寛容ではなく、その順番が違うことに母親は大反対しました。相手男性が挨拶をしに来た時も、母親は一切対応しませんでした。そんな姿を見て、元々母親と距離を置いて付き合っていた姉は家を飛び出していきました。その頃はすでに兄も一人暮らしを始めていて、年末やお盆でさえ実家に帰ってくることはなくなっていたので、そこから母親との2人きりの生活が始まりました」

母親はそこから変わってしまいます。以前は働いていたものの、体の調子が悪いという理由で自宅にこもるようになり、生活は貧窮していきます。恭子さんは中学を卒業後は高校へ進学しますが、学校以外の時間はすべてアルバイトに費やしていたそうです。

「アルバイト先は、徒歩5分ほどの家の近くのスーパーです。母子手当だけではやっていけるわけもなく、毎日が必死でした。物心ついた頃から母子家庭だったため、住まいは団地で家賃は安かったのでそこだけは救いでしたね。

高校生になり、アルバイト中は門限はなくなったんですが、アルバイト先まで終わりの時間には迎えにくるようになっていました。そのことを過干渉というよりは、大切にされていると思っていました」

そんな生活の中、同じ学校で親友と呼べる女友達ができます。門限を気にせずアルバイト以外で彼女と遊ぶために、恭子さんの家でお泊り会をすることに。

「学校でも友達付き合いがあまりうまくできなくて、学校内では一緒に行動する子はいるんですが、学校を離れたときでも仲良く遊ぶ子はいませんでした。でも、2年で同じクラスになった子の中に同じ母子家庭で、家のためにアルバイトしていたり、共有できる部分が多い子がいたんです。その子とはすぐに仲良くなりました。その子と学校外で遊びたくなったんですが、お互いに時間がなくて。それで、お泊り会をしようということになったんです。うちは外泊は禁止だったので、母親の了解をもらってその子が泊まりに来ることになりました。初めてのお泊り会はとても楽しかったです。でも、母親は私がお風呂で席を外した時に、彼女にお金を貸してくれないかと頼んでいたことが発覚したんです……」

母子家庭ということもあり、2人分の愛情を母親から受けて恭子さんは育ちますが……。

友人にお金を借りたことで母親の借金が発覚。母親は成人になった恭子さんの名義で、借金を重ね続けます。姉の夫である義兄の助けで一度は家を飛び出したものの、母親のことが心配で実家に戻ってしまい……。〜その2〜に続きます。