事故死した息子の両親、判決に怒り(画像は『Metro 2018年6月28日付「Mother’s anger at community service sentence for driver who killed her son」(Picture: BPM Media)』のスクリーンショット)

写真拡大

イギリスでは日本のような「自動車教習所」というものは存在しない。ハンドルを初めて握る者は免許を持つドライバー同様、路上を運転し練習する。仮免許を取得すると“仮免許運転練習者”としての「L」マークを付け免許取得者同乗での路上運転が可能だが、昨年9月に仮免許段階で運転していた者が事故を起こし、同乗していた男性が死亡するという悲劇が起こった。このほどその裁判が行われたのだが、ひとりの命が奪われたにしてはあまりにも軽すぎる刑が下されたことに、被害者の両親は怒りを露わにした。『Grimsby Telegraph』『Metro』などが伝えている。

2017年9月、リンカンシャーのグリムズビーで仮免許運転練習者のコナー・アンダーソン(21歳)の車に同乗していたリッキー・ペインさん(27歳)が、コナーの不注意運転により命を落とした。

6月26日にグリムズビー治安裁判所で行われた裁判では、コナーは自分の不注意運転によりリッキーさんを死に至らしめた罪を認めた。しかし事故当時、コナーは過度のスピードで走行しておらず、電話を片手に運転していたわけでもなく何かに気を取られていたわけでもなかった。単に運転経験が不足であったことから溝にはまり、車を木に衝突させる事故を起こしてしまったようだ。

この事故で車に木の枝が突き刺さり、リッキーさんは怪我をした。そしてそれが原因で不運にも命を落としてしまったのである。法廷で「リッキーは僕にとって兄のような存在だった」と口にしたコナーには、執行猶予はつかず200時間の無収入労働に加え、1年間の運転停止、裁判所費用と課徴金がそれぞれ85ポンド(約12,300円)科せられたのみとなった。この判決を知ったリッキーさんの母ヴァル・バーチさん(62歳)とリッキーさんの継父コリンさんは怒りを露わにした。

「車の技術面も道路も何の問題もなかったんです。そうなると当然、運転手だったコナーの責任ということになります。あからさまに殺すつもりではなかったにしても、結果としてリッキーに致命的な怪我をさせる事故を起こしたわけですよ。それなのに判決が軽すぎます。ひとりの人間が亡くなったのに、たったあれだけの罰だなんて、冗談もいいところですよ。彼は一生このことを背負って生きていくことになるでしょうが、私たちからすればどんなに願ってももうリッキーは帰ってこないのです。」

運転に不慣れな免許取得練習者による不運な事故とはいえ、やはり大切な息子を亡くした両親からすれば、コナーへの判決を不服に思うのは当然であろう。しかも既に子供を2人失っているヴァルさんにとって、末っ子のリッキーさんの死は3人目となり、あまりにもやりきれないようだ。

7人の子供を持つヴァルさんは、娘のカースティーさんを19年前に失った。カースティーさんは13歳の時に水疱瘡になり、肺炎を併発して死亡した。また8年前には、白血病でまだ20代だった娘のマリリンさんが旅立ってしまった。リッキーさんが事故に遭った日の夜中、警察から連絡を受けてヴァルさんは病院に駆けつけたが、祈りも空しくリッキーさんは2日後に息を引き取った。チューブや包帯だらけの瀕死の息子の姿を見たヴィッキーさんの悲しみや恐怖は計り知れない。

リッキーさんを死に至らしめてしまったコナーは、もう二度と運転はしないと話しているという。

画像は『Metro 2018年6月28日付「Mother’s anger at community service sentence for driver who killed her son」(Picture: BPM Media)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)