心が疲れ果てた人へ…医師がオススメ「温泉で幸せホルモンが出ます」

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 仕事や家事に疲れ果てると、「あ〜〜〜温泉行きたいっ!!」と叫びたくなる人は多いのではないでしょうか。今、温泉の健康効果、美容効果が注目を集めています。今回は温泉と「幸せホルモン」の関係について、『医者が教える最強の温泉習慣』の著者で、医学博士の一石英一郎先生が解説します。(以下、一石先生の寄稿)

◆脳波の変化から知る温泉のリラックス効果
「なんだか疲れた」「元気が出ない」――。そうしたメンタル面の不調を抱えている日本人がますます増えているように感じるのは、おそらく私だけではないでしょう。

 現代の日本人にとっては、身体だけでなく心のリラックスも重要であることは間違いありません。しかし、なかなか自分に合ったリラックス法を見つけられないという方もいるのではないでしょうか? そこで、私は“温泉”をお勧めしたいと思います。

「温泉に入るとリラックスして気分が落ち着く」。これは体感として誰でも感じられると思いますが、単なる気持ちの問題ではありません。学術的に定量化された研究成果も出ています。

 リラックス効果を測定する要素はいくつかありますが、まずはリラックス効果を「脳波」の観点から測定した実験をご紹介しましょう。

 北陸先端科学技術大学院大学で学生を使って行われた実験では、大学の近くの温泉に10分間入浴したときの脳波を測定し、入浴する前と比較したところ、脳の前頭葉でリラックス反応を示す「アルファ波」が優位に出ていました。逆に緊張状態を示す「ベータ波」は減っており、まさにストレスから解放されている様子が見て取れます。

 普段の日常生活をしているときには、前頭葉ではベータ波が出るものなのですが、温泉に入っていれば、覚醒しているときにでもアルファ波を出すことができるようです。

 前頭葉は「意思決定を司っている」とされる場所ですから、勉強や仕事を根詰めて集中したようなときには、温泉に入って頭をスッキリさせるといいでしょう。

◆音楽やアロマよりもリラックス効果が高かった温泉
 ちなみに、この実験では温泉だけでなく、リフレクソロジーや音楽、アロマなど、いわゆるリラックスに効果のあるとされる手法による脳波測定も行われましたが、もっとも顕著にアルファ波の反応を起こしたのは、やはり温泉でした。

 これらの方法のうち、温泉に似た脳波反応を得られたのは、足裏を刺激する「リフレクソロジー」でしたが、リフレクソロジーの場合、人によってはくすぐったくなり笑い転げてしまって、かえってアルファ波が抑えられてしまうという現象も見られたようです。このように、リラックス法には個人との相性もあるものですが、あらゆる人に共通して高い効果が望めるのは、温泉だけということがわかりました。

 温泉のリラックス効果を感じられるのは、人間だけではありません。なんと、動物も温泉でリラックスしているようなのです。2018年4月に京都大学霊長類研究所が発表した研究によると、長野県の地獄谷野猿公苑では、猿の約3分の1が冬になると湯に浸かる習慣があり、その排泄物を調べたところ、ストレス物質である「グルココルチコイド」の濃度が低下していることがわかったとのことでした。

 猿だけではなく、日本古来からの伝承では、白鷺、コウノトリなどの鳥や狐、狼、鹿などの動物が温泉で傷を癒したり疲れを取ったりしているところを村人が発見したというものがあります。実は動物の世界でも昔から温泉は大人気のようですね。

◆自分ではコントロールしにくいイライラを、温泉で整える
 温泉のリラックス効果は、「自律神経」へのアプローチといった側面からも証明されています。熱い温泉に入ると、最初は交感神経が優位になり興奮したような状態になるのですが、徐々に落ち着いていき、逆に副交感神経が優位になることで、リラックス状態に変化していくのです。