琥珀色をしたウイスキーは最高の香りと味わいで、心を癒やしてくれます

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― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第7回 ―

 筆者はウイスキーが大好物ですが、最近、ウイスキーの美味しさを教えて欲しいと言われることが増えています。そのたびに、原価BARでウイスキージャーニーを開催し、添乗員のようにウイスキーの飲み方からウンチクまでを披露しています。

◆知っておきたいウイスキーの分類

 ウイスキーは一般的に、穀物を糖化させて発酵させたものを蒸留したお酒です。以前、本連載で紹介したように、ざっくりとビールを蒸留したものと考えてもいいでしょう。原料の穀物としてよく使われるのが、大麦やトウモロコシ、小麦、ライ麦です。珍しいところだと、あわやきび、そばといった穀物からウイスキーが作られることもあります。

 これらの材料から、ウイスキーを分類することがあります。大麦(モルト)を使うのであればモルトウイスキー。他の穀物(グレーン)を使うのであればグレーンウイスキーです。そのなかでも、ライ麦が主原料ならライウイスキー、コーンが主原料ならコーンウイスキーとも呼ばれます。モルトとグレーンをブレンドすると、原料費を抑えつつ品質を高められます。このウイスキーのことをブレンデッドウイスキーと呼びます。

 シングルモルトウイスキーとは、ひとつの蒸留所で作られたウイスキーのことです。もちろん、原料は大麦のみを利用しなければなりません。原料も高く付きますし、製造も難しいので、一般的には、シングルモルトウイスキーは高級品です。

 ちなみに、ピュアモルト(ヴァテッドモルト)という言い方が広がったこともあります。これは、大麦(モルト)だけを利用していますが、複数の蒸留所で作ったウイスキーをブレンドしたものという意味です。グレーンを混ぜていないので、差別化しようとしたのです。しかし、国際的には使われておらず、正確にはブレンデッドモルトウイスキーと呼びます。

 次に、産地による分類があります。日本で造られたなら、ジャパニーズウイスキーで、スコットランドで造られたならスコッチウイスキーです。アイルランドならアイリッシュウイスキー、カナダならカナディアンウイスキーです。ここにアメリカを加えた5か国で造られるウイスキーが、世界5大ウイスキーと呼ばれています。

 アメリカのウイスキーはアメリカンウイスキーで正解です。ただし、一般的な認識としてはバーボンウイスキーのことを意味することがほとんどです。バーボンウイスキーは、アメリカンウイスキーの一種で、原料の51%以上にトウモロコシを利用しています。

◆世界一のウイスキー消費国はどこ?

 原料と地域の切り口、把握できましたでしょうか。よくある誤解として、アメリカンウイスキー=バーボンとか、スコッチ=シングルモルトウイスキーと思い込んでしまうことがあります。スコッチでも、ブレンデッドウイスキーはもちろん、グレーンウイスキーもあるのです。アメリカにもシングルモルトウイスキーはあります。ただし、アメリカでは、シングルモルトといってもきちんとした定義がないので、単一蒸留所でない可能性があることは覚えておいてください。

 ちなみに、5大ウイスキーの国だけでなく、世界中でウイスキーは造られています。秀逸なシングルモルトウイスキーも珍しくなく、筆者は機会があればインドの「アムラット」や台湾の「カヴァラン」などを買い集めています。ワインのメッカであるフランスにもたくさんのウイスキー蒸留所があり、「バスティーユ」がオススメです。最近はタスマニアが熱いですね。

 世界で一番ウイスキーを消費しているのはインドです。日本にはほぼ流通していませんが、安価なウイスキーブランドが多数存在し、人気を集めています。ちなみに、ウイスキーブランドの出荷本数でも、トップ3はすべてインドのウイスキーです。世界で飲まれている蒸留酒の出荷本数ランキングでも、インドのウイスキー「Officer’s Choice」が2位になっているほど。ちなみに、1位はJINROです。ウイスキーの第4位はスコッチウイスキーの「ジョニーウォーカー」、第5位はアメリカンウイスキーの「ジャックダニエル」となります。

 さて、国内のウイスキーラバーが活用しているスマホアプリ「HIDEOUT CLUB(ハイドアウトクラブ)」は、2017年にユーザーが最も飲んだウイスキーのランキングを発表しました。1位は「ボウモア」、2位は「ラフロイグ」、3位は「アードベッグ」という結果でした。全部、スコッチのシングルモルトウイスキーで、さらにすべてアイラ島という島にある蒸留所の製品です。どれも、スモーキーフレーバーが特徴で、最高に美味しいウイスキーです。ちなみに、日本勢は5位に「ブラックニッカ」、7位に「イチローズモルト」、10位に「山崎」がランクインしています。

 現在、世界的にウイスキーの人気が高まっています。新興の蒸留所も登場してきているのですが、供給不足により価格は高騰しています。以前からある銘柄も毎年のように値上がっており、古いレアモルトになるととんでもない値段がついています。オークションで1本3000万円とか、複数本のセットで6000万円とかで落札されることがありますが、そこまでいくともう投機対象なので、ウイスキーラバーとは関係ない世界ですね。

 とはいえ、発売当時はまだ手が届く値段で売られていました。ニュースに出てくるお酒を見て、昔飲んだ記憶が思い出されることもあります。と言うことは、今飲めるウイスキーも将来はとんでもないレアものになる可能性があるのです。もちろん、酒好きであれば買って物置に置いておくのではなく、最高のタイミングでBARカウンターで飲み、その幸せな時間を記憶に刻みつけてください。 

<文/柳谷智宣>

【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、朝出勤する会社勤めが無理ということで20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープンし、国内外5店舗を展開。2年前には海底熟成ウイスキーを扱う「トゥールビヨン」を立ち上げた