ミュージシャン、デザイナー、作家、俳優、職人など、異なるフィールドを舞台に活躍する“ふたり”が語らう「三井ホーム presents キュレーターズ〜マイスタイル×ユアスタイル〜」。今回は、エディター・ライターの野村訓市さんと、俳優の村上虹郎さんの対談をお届けします。

野村訓市さん(左)と、村上虹郎さん



現在公開中のウェス・アンダーソン監督の最新作「犬ヶ島」で、原案やキャスティングなどを手がけた野村さんと、ボイスキャストで参加した村上さん。「犬ヶ島」は、日本を深く愛するアンダーソン監督が、黒澤明監督をはじめとする日本の巨匠から強いインスピレーションを受けて作られた作品です。この作品の舞台は、近未来の日本ということから、「東京のいいところ」について、おふたりに語っていただきました。

◆東京のいいところ

村上:東京は景色が変わるのが早いよね。

野村:それは間違いないかも。

村上:いいか悪いかは置いておいて、おもしろい。人の出入りも変わっていくし。自分は東京で生まれてはいるけれど、半分東京ではない人だと思っている。東京に出稼ぎに来ている感や、戦いに来ている感もある。だから、どれだけそこで自分がリラックスする瞬間があるのかは、仲間にかかっていたりする。もちろん自分で自分を保つのもあるけど、仲間を見つけていくのが楽しいよね。

野村:東京は、新しいものと古いものが混在していて、「それがすごく素敵!」って外国人に言われるじゃない。たぶん映画「ロスト・イン・トランスレーション」みたいのを観て、神社があって高層ビルがある……観光客が喜ぶのはそういうところだと思う。だけど、クールジャパンと言っている日本人が古いものをどんどん壊して、もっと外国人を呼び込みましょうと言っている。一番の武器を自分たちで壊していて、実は、その魅力を一番わかっていないのかなと思う。
今回のウェスの映画は、60年代が舞台の近未来なんだけど、十何年前にウェスを連れて、見た東京がすごく印象にあるらしいんだ。新宿のゴールデン街みたいのがあり、高層ビルがあり、屋台があってみたいのが“東京のカオス”というか……。久しぶりに東京を見て、例えば、綺麗になってしまった表参道とか、そういうのを見たらなんて思うのかな?

村上:それはわかる。写真を撮っていて思うんだけど、もちろん高層ビルも綺麗なものはかっこいいし、美しいけど、なぜかそこが抜け殻に感じてしまう。人に対しても言えるけど、何も中身がない人が、いくら見た目がかっこよくても写真を撮りたいとは思わないしね。

◆理想の空間

野村:この前、ロサンゼルスやサンフランシスコに行ったとき、中庭があってさ。街のど真ん中だけど、うまい具合に周囲が見えなくて。朝、起きたときにその庭のバラの木とか見て、ぼーっとできるわけ。コーヒーを飲んだり。それがなんて贅沢なんだろうと思って。木の間から陽がさしてくるのを見て、身体がだんだん温まってくるのを待つとかさ。
心が疲れているのか、そういうのを欲していて「東京で庭のある家に住みたい」と言ったら、「とうとう訓市も年をとって、ガーデニングとか家庭菜園でもやる気か」と言われた。今、ただ欲しいのは、起きたときや家に帰ったときに、窓を開けて、緑が見えたらいいなというだけなんだよね。

村上:俺は、もうちょっと荒川が近かったらよかったのにっていつも思う。あのスケール感がいい!

野村:土手があって。

村上:そう! 最高じゃん。寝られるし、台本覚えとか。歌っていてもあまり近所迷惑にならないだろうし。走れるし、なんでもできるじゃないですか。

野村:考えてみると、世界の大都市は、真ん中に川が流れていて、そこのまわりが栄えているよね。東京は、わりと川から離れてしまっている。

村上:確かに。

野村:川が近くにあって、ぼーっとすれば、癒されるんじゃないかと思うんだけど。川の近くで庭のあるところに住みたい。

村上:最高だね!

映画「犬ヶ島」は、全国ロードショー中です。詳しくは公式Webサイト http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/でご確認ください。

6月29日(金)の放送では、書家・中塚翠涛さんと美容家・神崎恵さんの対談をお届けします。お楽しみに!

<番組概要>
番組名:三井ホーム presents キュレーターズ〜マイスタイル×ユアスタイル〜
放送日時:毎週金曜 17:00〜17:25
ナビゲーター:田中麗奈
番組ホームページ::http://www.tfm.co.jp/curators/ http://www.tfm.co.jp/curators/