前回の記事に続き、2018年6月1日に自由が丘に誕生した、コスメティックブランド「shiro」によるshiro cafeのニュースです。

素材のよさを追求し、たどりついたVegan

「shiro」は、酒かすの化粧水や、がごめ昆布の美容液、亜麻のネイルなど、自然の素材にこだわり、日本での商品づくりを世界へ発信するブランド。shiroがあらゆるプロダクトにおいて大切にしている信念「自然の素材をシンプルに」「素材のよさを最大限に引き出すこと」「生産者の想いを知り伝えること」を、カフェでも表現することを目的にフルリニューアル。

さいころ食堂では、このフルリニューアルの企画と全メニューのレシピ開発を担当させていただきましたが、当初は全く、Vegan を目指してはいませんでした。 同ブランドのスキンケアと同じようにどこまでも素材と向き合い、シンプルにそのおいしさを追求した結果、 全メニューが“純植物性”=Veganになったというのが事実です。

普段はVegan料理を食べない方も、シンプルに「おいしい!」と楽しめることを大前提とした、自由が丘のカフェならではの、毎日食べたくなるようなワクワクする見た目と味にこだわった食事メニューの開発秘話をご紹介します。

食べごたえのあるVeganハンバーガーの秘密

Vegan = 質素というイメージをくつがえしたくて作ったメニュー。こだわりは、パテ(ハンバーグ)の食べごたえと、ソースとの一体感です。

Veganの世界でハンバーグというと、よく見かけるのが「豆腐ハンバーグ」に代表されるふんわりやわらか系ですが、“ワクワクするハンバーガー”はそれじゃない!と思っていたため、さまざまな素材と配合で、何十回も試作を重ねました。

味のベースは、野菜。とりわけマッシュルームを炒めたときに出る濃厚なうまみを軸に、玉ねぎの甘みやスパイスの香りを加えることにしました。

もっとも苦労したのは食感でした。考えれば考えるほど、ハンバーガーとは、かぶりついたときの感覚のすべてを楽しむ料理であり、そのバランスが難しい。さまざまなレシピのパテをつくるたびに、パンや具材と合わせ、大きな口でかじってみるのですが、なかなか肉の筋繊維の力強さに肩を並べられる食べごたえになりませんでした。 しかし、なんと、救いのスペシャル食材はshiroのなかにありました! それはshiroの今井社長のお気に入り、北海道の上森米店の玄米でした。

そのまま口に入れるとパラパラとつぶ離れがよく、一粒一粒に弾力のある、個性的な玄米なのですが、これをパテへ加えると……まるで粗挽き肉のような食感に! あとに残る素朴な香りも最高! やっと納得の食べごたえのパテができたので、パンは対照的に、歯切れがよくふんわり軽いものを特別につくってもらいました。

アボカドバーガーは、酒かすと豆乳でつくったとろけるチーズ風”酒かすチーズ”と一緒に焼きあげてスパイシーケチャップとあわせ、繊維感のあるレタス、まったりとしたアボカド、赤キャベツのザクザク。てりやきバーガーは、ねっとり濃厚なてりやきソースをからめたパテの上に、ネバネバのがごめ昆布、シャキシャキのグリーンリーフ、揚げナスのとろり。

材料は野菜だけとは思えない、食べごたえ満点のハンバーガーができたと思います。素材のチカラですね。ハンバーガーが好きな方の、うまい! という太い声が聞けたら幸せです。

スキンケアのようなVeganフード

このほかにも、「shiro ジンジャーリップバター」で使用している生姜を主役にした、一口めからお腹がポカポカする焼きカレーや、「shiro ハーバルクリアエッセンス」に使われているアロエベラの角切りを加えたトロトロの和風トマトスープと玄米おにぎりのセットなどをつくりました。

どれも食事としてしっかりとボリュームはありますが、純植物性=Veganの食べものは、食べ終わったあとに、カラダにやさしいのが特徴です。動物性食材をつかわないからこそ、植物性素材そのものの美味しさが際立ちます。ありがとう、素材たち。よい素材はカラダにおいしい。スキンケアでも料理でも同じですね。

Veganへ生まれ変わったshiro cafeでは、今後もつぎつぎと新メニューをお披露目していきます。素材を研究するところからスタートする「ゼロ」からのメニュー開発は苦しいですが、最高に楽しいです。どうぞご期待ください。

shiro cafe 自由が丘店

Photo by 柳詰有香 Yuka Yanazume

Vegan(ヴィーガン)とは、完全菜食。 動物性のものを一切使わないライフスタイルや、そのような食事のことをさす言葉。 本連載『TOKYO VEGAN』では、おうちでつくれるVeganレシピのほか、おいしい野菜や調味料、世界のVegan事情についてなどをゆるゆると綴っています。

次回はフランスからのレポート。2018年初夏の最新ヴィーガン事情をお届けします。

大皿彩子 Saiko Ohsara
Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂代表、“おいしい企画”専門のフードプランナー。Veganカフェ「Alaska zwei」の運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp