韓国戦後のピッチ上には、涙する者、茫然自失のまま立ちすくむ者、力尽きて座り込む者と、さまざまな“元王者”の姿があった。 (C) Getty Images

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【6月27日・カザン|グループF  韓国 2-0 ドイツ】

 前回大会の覇者ドイツは、グループリーグで姿を消すこととなった。

 グループリーグ第2戦のスウェーデン戦をトニ・クロースの劇的なロスタイム弾によって制し、最終戦に勝てば決勝トーナメント進出が決まるドイツは、この日も序盤から相手をポゼッションで圧倒。しかし、韓国のコンパクトで統率の取れた守備を崩すことができずに時間は流れた。

 そして、刻一刻とタイムアップの瞬間が近づき、ドイツに焦りの色が見えるなかで、試合は思わぬ形で動く。

 92分、CKからキム・ヨングォンが押し込んだゴールは、一度はオフサイドの判定に取り消されたものの、VARによってこれが覆り、韓国が先制したのだ。

 勝つしかないドイツは守護神のマヌエル・ノイアーを含めたピッチ上の全員が攻めにかかるも、そのノイアーが敵陣でボールを奪取され、試合終了間際の96分にソン・フンミンに無人のゴールへと流し込まれ、ドイツは力尽きた。
 
 グループリーグ敗退という史上初の汚点を残してしまったドイツ。連覇を懸けて臨んだ大会をグループ最下位で去るという現実に、母国メディアも悲嘆に暮れている。

 全国紙『Bild』は、「W杯の悪夢。全てが終わった」との見出しを打ち、自国の代表チームが歴史的敗北を喫したことを嘆いた。

「我々のドイツ代表は史上初めてW杯のグループリーグで姿を消す。どれだけ恥ずかしいことだろう。ヨアヒム・レーブには失望させられた」

 さらにドイツのサッカー専門誌『Kikcer』も、「歴史的な敗北。世界王者が散る」と銘打ったマッチサマリー内で、代表チームを怒り交じりに酷評している。

「ドイツが決勝トーナメント行きを逃してしまった。ドイツの歴史上で初めての大惨事だ。1962年大会のブラジル以来、誰も成し得なかった『連覇』という偉業を約束して臨んだが、それは夢に終わる。2002年のフランス、2010年のイタリア、2014年のスペインと同様に我々も生き残れなかった。

 韓国に対してのパフォーマンスは平凡で無気力。スローで退屈なサッカーに終始し、全盛期の華やかさには程遠いものだった。2009年のU-21欧州選手権を制して以来、ドイツは抜本的な改革を進め、トーマス・ミュラー、トニ・クロース、マヌエル・ノイアー、ジェローム・ボアテング、マッツ・フメルス、サミ・ケディラ、メスト・エジルといった黄金世代が、それを彩ってきたが、いよいよ終わりだ。次の2022年カタールW杯に向けて急速な変化が必要だ」

 優勝の大本命として臨みながら屈辱的な敗北を喫したドイツ。はたして、彼らは未来に向けて、いかなる立て直しを図るのか。今はまだ、その道筋すら見えていない。