店主の松橋辰矢さん。経験豊富な寿司職人で魚のことを熟知する。鯛を用いた、寿司店ならではのラーメンを考案

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東京・日本橋にある高級寿司店「日本橋 ま石」の待望の2号店が銀座にオープン。しかしそれはラーメン店だった! なぜ高級寿司店がラーメン店を開いたのか。「麺屋 ま石」の店主・松橋辰矢さんに話を聞いた。

【写真を見る】基本メニューの「鯛ラーメン」(1,000円)。真鯛のアラと中骨を長時間かけて丁寧に炊き、旨味を抽出。スープに絶対の自信があるため、味付けは塩のみ

■ コンセプトは“寿司屋が作るラーメン”でさらに銀座という立地も加味

2018年4月10日に銀座の路地裏にオープンした「麺屋 ま石」。清潔感ある白亜の壁に、木製の引き戸、その前には真っ白なのれんが凛とかけられ、只ならぬオーラを放っている。一見すると高級寿司店のような佇まいだが、れっきとしたラーメン店だ。

経営母体は築地を中心に海鮮料理店や寿司店などを幅広く展開する「虎杖(いたどり)東京」。そのブランドの1つ、「日本橋 ま石」のネクストブランドという位置づけで「麺屋 ま石」は誕生した。

「まさかラーメン店主になるとは思わなかったです」と笑う松橋さん。和食や寿司店を中心に料理人歴は15年を数え、これまで「日本橋 ま石」などで腕を振るってきたが「麺屋 ま石」の店主を任されることに。

「コンセプトは“寿司屋が作るラーメン”。魚のプロである我々が作るとこうなるというものをイメージし、さらに銀座という立地も加味した結果、鯛ラーメンに行き着きました」(松橋さん)

■ “何も足さない、何も引かない”。鯛のポテンシャルを最大限に引き出した一杯が完成

「鯛は愛媛産の真鯛を使用しています。素材自体がいいので余計なことはせず、そのポテンシャルを最大限に引き出すよう心掛けました」(松橋さん)

鯛の持ち味を生かすよう、しっかりとした下処理を施してからトータル十数時間かけて炊き上げたスープは、シンプルながら鯛の上品な旨味がぎゅっと詰まっていて、飲むほどに味わい深い。鯛ラーメンというとあっさりなイメージだが、風味とコクもしっかり感じられる。

「もう一つのコンセプトが“何も足さない、何も引かない”。鯛そのものをダイレクトに堪能できるラーメンに仕上げました。鯛ラーメンはほかにも多々ありますが、“寿司屋が本気で作った一杯”をぜひ一度味わってみてください」(松橋さん)【東京ウォーカー】(東京ウォーカー・取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦)