どこにでもいる女性でも気が付くと、その世界の『沼』にハマってしまうケースを紹介するこのシリーズ。今回は、35歳から婚活を開始し、気付けばスピリチュアルにハマってしまった「スピリチュアル沼」を紹介します。「困った時の神頼み」どころか、神様にすがりつき、さらにはスピリチュアルにべったりと依存してしまったという由香里さん(38歳)にお話を伺いました。彼女は短大卒業後、都内の会計事務所に勤務して18年。東京の多摩エリアにある実家に両親と生活しています。

由香里さんは、ぽっちゃり体型で笑顔がかわいい女性。ニュアンスボブの黒髪はツヤツヤ、メイクも上手です。ポリエステル素材のドレープブラウスと、ピンクの花柄のスティックパンツをはいており、モテそう。35歳まで結婚願望がなかった理由を伺いました。

35歳まで結婚願望がなかった理由とは……

「結婚願望がなかったのは、実家が心地よかったから。5歳年上の兄が、大学卒業後アメリカの企業に就職し、向こうで結婚してから、両親が私をより一層かまってくれるようになったんです。母が朝ごはんとお弁当を作ってくれて、終電を逃したら父が車で迎えに来て、お風呂も沸いていて、いつも家はピカピカ。結婚の必要に迫られず、35歳まで過ごしてきました」

それまで交際していた男性は10人。全員、男性側から告白してきたのに、交際1年程で由香里さんはフラれてしまうとか……。

「34歳から付き合った彼は、向うからプロポーズしてきたので、結婚を考えてあげてもいいと思っていたんです。でも、別の女性に乗り換えられてしまいました。しかも相手の女性が年下で妊娠していたこともショックで。その時に初めて、35歳から“高齢出産”と呼ばれることを知りました。焦って婚活を始めても全然いい結果が出ない。そんな時、明らかに私よりかわいくない短大時代の同級生が、飯田橋の東京大神宮にお参りしたら、その翌月に彼と出会い、半年で結婚したという話を聞いて、私も行ってみることにしたんです」

初詣以外の時期に、初めて神社に行った由香里さんは、その神聖な雰囲気に圧倒されます。

「神社特有の“気が浄化される”感じに驚きました。一緒に行った友達も感動して、彼女も早々に彼ができたんです。これは効果があると思って、神社巡りを始めたのです」

伊勢神宮、出雲大社、箱根神社など毎週末、全国の神社をめぐるのにかかった費用は……?

正しい参拝作法を知らない人とは、神社に行きたくない!

「神様に愛される、神社の参拝の作法の講座にも行きました。鳥居を一礼してくぐり、参道は端っこをあるき、手水舎や御祈祷の作法なども学びました。その先生が、“神様はネギやニンニクの香りが嫌い”と言うので、なるべく香味野菜を食べないようにしています。最初は友達と一緒に行っていたのですが、礼儀作法を知らない人が多く、そんな人と一緒に行くと、御利益が下がるような気がして、一人で行くようになりました」

1年で全国の縁結びの神様100社をめぐり、200万円以上使ってしまったという由香里さん。それでもなかなか結婚どころか彼氏もできない。出会いはあるのだけれど、なかなかモノにできないことを悩んでいた時に、“吉方位”に出会ったといいます。

「神社に行くようになってから、結婚はできないものの、仕事はうまくいくし、家族関係もさらに良くなりました。父が持っていた土地が高値で売れたり、母の腰痛が改善したりいいことばかり。さらに御利益を得るために、年会費8万円の日本の神様を勉強するサークルに入りました。そこは開運を目指す富裕層の方が多く、その内のひとりから“吉方位”を教えてもらったのです」

吉方位に母娘で一泊旅行に行ったら、株の値段がグングンと

吉方位とは、“この方向に行くと、いいことが起こる”という気学から派生したものです。由香里さんが教わったルールは、自宅から片道100km程度離れたところに1泊し、その土地の気を得るというもの。

「吉方位が解る人に、結婚運がアップする方位を見てもらったところ、茨城県日立市だったんです。そこには宇宙一のパワースポットと言われて、宇宙からも光が見えるという神社があります。母と交代で運転しながら、週末旅行がてら行ってきました。その敷地に足を踏み入れたとたんに、山の霊気がガン押し寄せてきて、自分の“穢れ”がごっそり落ちた気がしたんです。母も感動していました」

この旅行の後、母親の保有していた日本株が値上がりしたといいます。

「株を売った利益で、母と一緒にハワイに行きました。デキ婚を狙い、“子宝石”と言われる『クカニロコ・バースストーン』にも行きました。その帰国後、最初の合コンで見た目が超タイプの男性出会い、関係を深めようとしたのですが、彼の年収を聞くと300万円だったんですよ。それでちょっと引いちゃって。結婚するなら、600万円くらい欲しいじゃないですか。そこは妥協したくないんですよね」

たくさんの鳥居をくぐると浄化されると聞き、京都の伏見稲荷は2回ほど行ったといいます。

神様のメッセージが届きやすい体質になるパワーストーンを買った結果、“ハイヤーセルフの声”が聞こえるように……〜その2〜に続きます。