オランダ・ヘーレンフェーンから飛躍を期す小林祐希

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 西野ジャパンの進撃は「元代表」にとっても大きな刺激となるに違いない。2016年5月、キリンカップのボスニア・ヘルツェゴビナ戦で日本代表デビュー、その後移籍したオランダ1部リーグのヘーレンフェーンでは、2シーズンにわたりコンスタントにプレーしてきたMF小林祐希。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の下ではたびたび代表に招集されていたが、本大会開幕を2カ月前にしての突然の指揮官交代も影響してか、ロシアW杯の予備登録メンバー35人からも漏れることになった。ロシアW杯で日本中が沸く中、すでに4年後のカタールW杯を見据える小林が、「日本代表主将」への道筋を語った。(取材・文/栗原正夫)

──現在は日本で束の間のオフを過ごされていますが、2018-19シーズンに向けてはどういう状況ですか?

小林:ヘーレンフェーンとの契約があと1年残っているので、もし移籍の話がなければ6月中にはチームに合流して、プレシーズンのキャンプに参加します。ただ、移籍マーケットは8月末まで開いているので、もし移籍の話があれば将来についてゆっくりと考えたいと思っています。

──ロシアW杯が開幕する前の2017年の年末には、早くも2022年カタールW杯にキャプテンとして出たいとも話していました。今後4年間をどう過ごされるのかは気になります。

小林:言っちゃいましたからね。まだロシアW杯も始まってないときに……(笑)。

──そこに向けては、どういうプロセスで辿り着くイメージですか。

小林:カタールW杯に出ることを考えると、その時には最低でも4大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア)でプレーしていたい。そこで試合に出ていれば確実にメンバーに入れると思っているので。もしそれでも選ばれなかったら、それは選ぶ側に問題があるってなりますよね。代表についていえば来年1月にはアジアカップも始まるし、そこから中心でやりたい思いは強いです。ハリルさん(ハリルホジッチ前監督)の時みたいに出来上がったチームに途中から入っていくとか、サプライズみたいに言われるのはオレは嫌だし(笑)。4年後は当確で行きたいし、できればその頃にはヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグに出るようなクラブでプレーしていたい。そうすれば、自ずとW杯に近づきますよね。

──具体的にどこのリーグに行きたいとはありますか。

小林:スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア。その4つ以外は考えられないですね。もちろん、オランダリーグの上位3強、アヤックス、PSV、フェイエノールトに行ければ、その後のステップアップもしやすくなるので、喜んでいきますけど。

──なかでも一番の希望を挙げるとすれば、どこになりますか。

小林:スペインのリーガ・エスパニョーラですね。

──それは、なぜ?

小林:たとえば「来週、どこと試合なの?」って聞かれて、「バルサ」って言えたらカッコよくないですか(笑)。それにスペインの食や気候も魅力に感じます。移籍するということは、その街に行って生活するわけですから、当然どんな街かということも重要になってきます。もちろん、オランダにもいいところはたくさんありますし、ダメではないんです。ただ、日本で来週AZと試合と言っても、「それどこ?」ってなってしまう。オランダリーグでプレーするのも簡単ではないんですけどね。

──以前、イングランド・プレミアリーグのクリスタル・パレスでプレーしてみたいと言っていたこともあったと思います。(注:クリスタル・パレスはロンドンに本拠を置く中堅クラブで、熱いサポーターを持ち、スタジアムが盛り上がることでも知られている)

小林:それはロンドンのクラブだし、たとえば(同じロンドンの名門)チェルシーに行きたいっていうよりも行けそうじゃないですか(笑)。それにダイレクトでチェルシーに移籍するのは難しいけど、パレスで活躍すればチェルシーに行けるかもしれない。対戦した試合でよかった選手が、翌年にそのクラブに行くってことはよくあることですから。

──移籍する場合は当然、試合に出られることが前提になる。

小林:いや、オレは出られるか出られないかよりも、そのクラブが好きならどんなに過酷な道でも行きたいですけどね。だから、オレこの前帰国した際に空港で取材受けた時も「(移籍するなら)選べるなかで1番のビッグクラブに行く」って言ったんですよ。みなさんが知っているクラブのユニフォームを着られるように頑張りたい。ちょっとクラブのレベルを下げたら、すぐに試合に出られそうとかオレには関係ない。

──そういう発想の選手は珍しい。

小林:だってビッグクラブに行って出られなかったら、また半年後に出場機会を求めて移籍すればいいじゃないですか。そもそもW杯に出てそこで勝負したいのに、レベルを下げてW杯出場を目指すって単純にどうなのかって思いません? オレはちょっと違うと思うし、どうせならレベルの高い中でもがきたい。

──今回の日本代表がそうだったように、監督が代わると選手の好みも変わり、チームも変わります。どんな監督と仕事をしてみたいとかはありますか。

小林:オレは外国人監督の方がいいですかね。たとえばブラジル人とか。いまはジダンだってフリーですよね(笑)。でも、自分がその下でプレーしてみたいと思う監督って、結局自分が知ってる監督じゃないですか。だから、出会ったことのないタイプの監督は興味あります。ただ、日本代表についていえば、監督が誰であろうとアジアカップはぶっちぎりで勝たないとダメじゃないですか。アジアのレベルも上がっていると思うので、相当厳しいと思うけど。

 それでも、オレは勝てる気がする。去年、日本代表がブラジルとやったときにあたふたしちゃった部分もありましたが、全員が心も体もベストコンディションならもっとやれると思うんです。もちろん、ブラジルはすごいけど、日本人もすごい。オレは日本人であることに誇りを持っています。勤勉で、頭もいい。身体能力は(世界の強豪に比べて)劣るかもしれないけど、絶対何かでカバーできると思うんです。だってオレ、オランダに行ったことで、自分がこんなにマジメなんだってわかりましたから。小林祐希が、チーム一マジメなんですよ(笑)。

──たとえば、これまで日本代表で一緒にプレーした選手などで、影響を受けた選手はいますか。代表に入ったばかりの頃は、同じ左利きや大胆な発言がクローズアップされ本田圭佑選手と比較されたこともありました。

小林:人と比較するようなことは、楽しんでもらえるなら勝手にやってくださいって感じです。オレはあくまで小林祐希で、誰かに影響を受けたとかそういうのはないです。もちろん、代表に入るような選手は、みんなそれぞれ努力も経験も積んできている人たちなので当然全員をリスペクトしています。だけど、そこで誰かを見習おうとか、真似しようと思ったことは1度もないです。だって代表の同僚を見習ったころで、じゃあ、次はどこを目指すっていうんですか。

 最近はサッカースクールをやったりして、オレみたいな選手でも、たまに「小林祐希みたいになりたい」と言ってくれる子どもがいます。でも、そういう子たちには「オレを目指しているようなら、いまのまま終わるよ」って言うんです。誰を目指すかっていえば、いまならメッシであり、GKならノイアーじゃないですか。目指すなら世界一を目指せってことです。それでも、世界のトップに行くのは簡単じゃないですから(笑)。

──4年後のカタールW杯ではキャプテンとして出場を目指すということですが、そのほかにサッカー選手として成し遂げたいことはありますか。

小林:まだプロになって優勝したことがないので、タイトルは獲ってみたいですね。それと、チャンピオンズリーグのアンセムをピッチで聞いてみたい。テレビで聞いても鳥肌が立つのに、ピッチで聞いたらどうなるのか(苦笑)。

──そうなれば、カタールW杯も見えてくる。

小林:オレは普通にやっていれば、(カタールW杯に)行けると思っています。取り組みは間違ってないと思うから。もう26歳になって選手として、これから劇的に変わることはない。少し前のオレは、攻撃が好きだから攻撃をやりたいって言うなど、まだ二流でした。でも、オランダで2年プレーしてきて、いまはその辺の考え方も変わりました。守備を求められれば守備を完璧にこなしたうえで、攻撃もする。求められたことを100%やりつつ、それプラスアルファを出すのが一流だとわかりましたから。

──そうした考え方の変化がオランダでいちばん変わったことですか。

小林:技術云々じゃなくて、幅ですよ。プレーの深みっていうか。オランダに行ったことで、さらに玄人にしかわからないようなプレーが増えてしまった。だから、オレのプレーって自分が最高だと思っても、周りが沸かないし、スタジアムも全然盛り上がらないんですよ(笑)。