撮影:森雅史/日本蹴球合同会社

写真拡大

19日、日本とコロンビアが試合をおこなうサランスクの空港は朝早くから賑わっていた。飛行機が次々に到着し、多くのワールドカップ観戦者を運んでくる。

モスクワ発サランスク行きの飛行機は当然ながらこの試合を観戦するサッカーファンで満席になっていた。しかもそのほとんどがコロンビアサポーター、少数のメキシコサポーター、そして日本サポーターという割合だった。

コロンビアサポーターは飛行機の中から大盛り上がり。歌い、口でサイレンのけたたましい音を再現し、チャントを繰り返す。そのお祭りが最高潮に達したのは、飛行機に「英雄」が現れたときだった。

背が高くガッチリした体型は現役を引退した今も人目を引く。ファリド・モンドラゴンという名前はわからなくても、どんな状況で登場した選手かと知れば、すぐにわかるだろう。

2014年ブラジルワールドカップで追い詰められた日本は先制されるものの、前半終了間際に岡崎慎司のゴールで追いつく。だが、後半は失点を重ね、ついには1-4と差を付けられた。その試合終盤、登場したのがモンドラゴンだったのだ。

その日でモンドラゴンは43歳と3日。それまでカメルーンのロジェ・ミラが持っていたワールドカップ最年長記録を塗り替えた。コロンビアサポーターにとってみると、日本戦は自国の選手が世界記録を作った輝かしい戦いでもあった。

サランスク空港に到着し、モンドラゴンはゆっくりロビーに姿を現したが、そこでも待っていたファンに囲まれ写真撮影に応じていた。コロンビアサポーターにとって、モンドラゴンがこの試合に来たことは「吉兆」になっていた。

空港の職員までコロンビアサポーターと写真を撮りたがるほど、彼らは人気者だった。そんなコロンビアサポーターの明るい笑顔に比べて、モンドラゴンは終始生真面目そのもの。緊張しているようにも見えたモンドラゴンの表情が、試合の難しさを予言してくれていればいいのだが。

【森雅史/日本蹴球合同会社】