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もくじ

どんなクルマ?
ー レクサスの7人乗りモデルは欧州初
どんな感じ?
ー 3列目はあくまでも子供向き
ー タウンスピードなら洗練され快適
「買い」か?
ー 明確な欠点があるわけではないけれど
スペック
ー レクサスRX 450hLプレミアのスペック

どんなクルマ?

レクサスの7人乗りモデルは欧州初

約20年に渡り、270万台を販売し、主要モデルは4世代目へと突入しているレクサス。この新しいRX 450hLは、レクサスでは初めての7人乗りの大型SUVとして登場した。加えてヨーロッパ圏では、インフィニティなどを含む日本の高級車メーカーとしても、初の7人乗りモデルでもある。

価格は5万995ポンド(764万円)からで、ボルボXC90やBMW X5、アウディQ7などといった、7シーターのプレミアムSUVにカテゴリー分けされる。トヨタとしては、ライバルモデルよりも煮詰められたハイブリッドシステムを搭載した7人乗りモデルとして、プレミアムファミリーとでも呼ばれるような、富裕層に向けてアピールしたい目論見。

通常モデルのRXから、リアオーバーハング部を110mm延長したボディを持つRX L。全長はちょうど5000mmとなった。加えてリアガラスの角度も若干立てられ、3列目のヘッドルームを稼いでいる。

5シーターモデルと同様に、3.5ℓの自然吸気V6エンジンと電気モーターが組み合され、前輪のみを駆動。さらに2基目のモーターが後輪を駆動することで、レクサスRX 450hLは4輪駆動となっている。エンジンとモーターの複合によるシステム最高出力は312psとなり、0-100km/h加速は8.0秒とまずまず。

競合モデルも少なくない中、仕上がりが気になる。

どんな感じ?

3列目はあくまでも子供向き

3列目シートを搭載はしているが、RX 450hLは期待ほどの広さを実現しているわけではない。実際には、3列目は子供専用といったところ。3列目のレッグルームを生み出すためには、2列目のシートを前にスライドさせなければならない。結果として、2列目にも妥協が生じ、大人が座ると膝前の空間は不足がちになってしまう。3列目を使用しなければ、十分に快適ではあるのだけれど。

車内の居心地は良い。シートはもう少しサポート性が欲しいが、素材自体は上質。安価な素材は、目に入らないような箇所の使用に抑えられている。インスツルメントパネルに収まるアナログ式のメーターは可読性が高いものの、ライバルモデルが採用するデジタルモニター式のものと見比べてしまうと、旧式に感じられてしまう。

インフォテインメント・システムも、期待する内容には届いていない。ダッシュボード上面に収まる12.3インチのモニターは見やすいが、ジョイスティック状のコントローラーは反応が良すぎる。右利きの場合、左手で操作することになるから、思った通りの操作が一層難しく感じられるのだろう。

一方で路上でのレクサスは、ラグジュアリーなモデルとして、充分納得できる仕上がりを得ている。電気モーターとガソリンエンジンの組み合わせによるパワープラントは、スムーズで静か。V6エンジンが始動するとき以外、モーターとエンジンとの駆動力の移行も感じ取ることができないほど。アクセルペダルを軽く踏めば、電気モーターだけでの走行も可能だ。

ただし、レクサス製のハイブリッドが持つ悩ましい点が気になる。ドライビングモードには、エコモードとEVモードが備わってはいるが、RX 450hLに搭載されているバッテリーの容量が小さすぎ、電気のみで走れる距離が非常に短いのだ。少ない電力を有効に使うには、右足の繊細な操作が求められてくる。また、スロットルペダルを1/4以上踏み込むと、EVモードを選んでいたとしても、エンジンは自動的に始動してしまう。

タウンスピードなら洗練され快適

もし実用性の高いEV走行を求めるなら、プラグイン・ハイブリッドを搭載したボルボXC90 T8がかなり魅力的な存在になってくる。ただし、XC90 T8の場合、最も安価なモデルでも6万2570ポンド(938万円)となり、RX 450hLの最も高価なモデルライン、プレミア仕様よりさらに575ポンド(8万円)ほど高くなってしまうのだが。

電費は気にせず、思い切って右足を踏み込んでみると、V6エンジンは控えめな発電装置から、一気に荒々しい性格へと変化する。ただ、エンジン自体はCVTの制御下におかれている印象で、なにか緊急事態のような急加速時でも、回転数は34.2kg-mの最大トルクを発生する4600rpmの辺りを前後するだけだ。

ある程度ハイペースでの加速も可能だが、静かでリラックスした車内空間には、ガソリンエンジンが頑張るノイズが侵入してしまう。ただ、一度スピードが乗ってしまえば、サイドミラー付近からのわずかな風切り音以外は、落ち着いた静けさが戻ってくる。

今回のテスト車両、プレミアに装備されていたのは、20インチの大径アルミホイール。走行ノイズの発生はそれほど大きくなかったが、試乗したスイスの路面が非常に滑らかだったことも大きく影響しているだろう。

レクサスが、BMW X5やポルシェ・カイエンなどのSUVをライバルとして意識しているにもかかわらず、RX 450hLがダイナミクス性能で光る部分がないのは残念。アダプティブ・サスペンションを最も硬い設定にしても、高速コーナーでは大きめのロールが発生してしまい、ボディサイズを意識せずにはいられない。

またステアリングもそれほど情報量が豊かというわけでもない。このクルマの性格としては、ハイペースでのスポーティな走行は視野にないのだろう。落ち着いて、気楽に運転するスタイルが向いている。そうすれば、非常に洗練され、快適なドライビングを味わうことができる。

「買い」か?

明確な欠点があるわけではないけれど

追加された3列目シートの存在は、実用性を高め、レクサスRXシリーズの魅力向上にもつながっていると思う。標準ボディと同様にRX 450hLは快適だし、かなり目を引くスタイリングもまとっている。加えて、丁寧に運転すれば、燃費は約14km/ℓにまで伸びる。ロングボディの登場で、子供5人を載せての移動も可能になった。

プレミアムSUVに属するほかのライバルと比べて、ダイナミクス性能で劣るという点は、レクサスというブランドの購入を検討するひとにとって、さほど大きなマイナス要素にはならないのだろう。

技術的に価格も高くなりがちなプラグイン・ハイブリッド車なみのEV走行は難しいが、そのかわりに価格は受け入れやすい。エントリーレベルのリーレベルのRX 450hL SEは5万995ポンド(764万円)からだが、先述のボルボXC90 T8は6万2570ポンド(938万円)からとなり、その価格差は大きいといえる。

レクサスRX 450hLに明確な欠点があるわけではない。しかし、7シーターのプレミアムSUVマーケットを見渡せば、魅力的な選択肢がほかにもあるといわざるを得ない。少なくとも、充分に検討したほうが良いだろう。

レクサスRX 450hLプレミアのスペック

■価格 6万1995ポンド(929万円) 
■全長×全幅×全高 5000×1895×1725mm 
■最高速度 180km/h 
■0-100km/h加速 8.0秒 
■燃費 16.6km/ℓ 
■CO2排出量 138g/km 
■乾燥重量 2270kg 
■パワートレイン V型6気筒3456cc自然吸気+2モーター 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 312ps(システム最高出力) 
■最大トルク エンジン:34.2kg-m/フロントモーター:34.2kg-m/リアモーター:14.2kg-m 
■ギアボックス CVT