なぜ、日本の壁4枚は一斉ジャンプ? 低弾道FKで失点――当事者DFが語る真相
壁4枚の一人だった昌子が“ジャンプ”の舞台裏を明かす
日本代表は19日のロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦のコロンビア戦で2-1と勝利。
低弾道FKから失点を喫した日本は、壁に入った4選手がジャンプし、壁の下を通されてゴールを奪われたが、事前のミーティングでは「ぎりぎり高く跳ばなくていい」という話が出ていたという。失点の舞台裏をジャンプした当事者の一人、DF昌子源が明かしている。
試合は開始3分に相手MFカルロス・サンチェスがハンドの判定で一発退場となり、そのプレーで得たPKをMF香川真司が決めて日本が先制。だが前半38分、DF長友佑都のクリアミスをきっかけにMF長谷部誠がFWラダメル・ファルカオを倒し、日本のエリア手前でFKを献上した。
日本の壁は4枚。長谷部、大迫、吉田麻也、昌子源が並んだ。キッカーのMFフアン・キンテーロの助走とともに身構えた4人は、壁の上を狙われると判断してキックの瞬間にジャンプ。だが壁の下を通されると、意表を突かれたGK川島永嗣もわずかに反応が遅れ、身体ごとゴールに飛び込みながらも失点を喫した。
日本の壁4枚は一斉にジャンプしたが、果たして事前の取り決めはあったのか。昌子は「スゲー難しい質問やな」と切り出すと、次のように説明を始めた。
「ミーティングで、ボールの質を見て、できるだけつま先立ちで、ぎりぎり高く跳ばなくていいと言っていた」
昌子も脱帽 「ワールドクラスと感じた」のは高精度キックではなく…
事前の話し合いでは、つま先立ちのような形で高く跳ぶ必要はないと確認をし合っていたという。ところが、実際はボール2個分近くのジャンプも見られた。昌子は「みんなハイジャンプだった。でもそういうことが起こり得る舞台なのかなとちょっと思った」と振り返っている。
「壁に入る人は、最後までボールの質を見て、蹴られる瞬間まで頑張ってという感じだったので、もったいない失点だった」と反省を口にした。その一方で、昌子は壁下を撃ち抜くと判断したキンテーロを称賛している。
「角度的に下のコースは難しいと思ったし、そこで下を蹴るメンタルがワールドクラスだと感じた。何気ないことですけど、ジャンプが数センチ低ければ当たっていた。紙一重の部分で失点するか、しないか」
低弾道FKに“ワールドクラス”を体感した昌子。自身初めてのW杯出場を通して、25歳のDFは着実に成長を遂げている。(大木 勇(Football ZONE web編集部) / Isamu Oki)