あなたはご存知だろうか。

日本国内最難関・東京大学に入学を果たした「東大女子」の生き様を。

東京大学の卒業生は毎年約3,000人。

しかしそのうち「東大女子」が占める割合は2割にも満たず、その希少性ゆえ彼女たちの実態はベールに包まれている。

偏差値70オーバーを誇る才女たちは卒業後、どのような人生を歩んでいるのか。

これまでには隠れにゃんにゃんOLや向上心の塊のような才色兼備、愛人枠に甘んじる文学少女、量産型女子を演じる理三卒女医、夫に内緒で別宅を構えるバリキャリ、元外銀のゆるふわOL、美人への嫉妬だけで国際弁護士になったエリート、ハイステータスな男しか眼中に入らない美女が登場。

さて、今週は?




<今週の東大女子>

氏名:片岡唯(カタオカユイ)
年齢:27歳
職業:大手外資系PEファンド
学部:経済学部
住居:有明のタワーマンション(持ち家)
ステータス:日中英のトリリンガル、独身

六本木の、とあるホテルのラウンジに現れた片岡唯は、土曜の昼下がりであるにも関わらず大きな書類鞄を抱えていた。

さっぱりとしたグレーのパンツスーツに、飾り気の無い白のブラウス。

痩せた首筋は白く細く長い。

小さな顔には、くっきりとアイラインを引いた大きな瞳がバランスよく配置されている。

シャネルのココクラッシュが光る右手でアイスコーヒーのグラスを鷲掴み、ストローで大きく音を立て吸い込んだ。

アイスコーヒーが運ばれてきてからものの2分も経たないが、ウェイターに手を挙げおかわりを頼もうとする。しかし中々誰も唯に気付かない。

トトトトト…

細く長い中指が神経質にテーブルを叩く。

「ここ、土曜でも空いてるのは気に入ってるんですけど...たまにスタッフの気が利かないっていうか。なんのためにこっちはコーヒーに千円も払ってると思ってるんでしょうね」

苛立ちを隠す気もないらしく、ようやく唯に気付いたウェイターに一言「同じの」と言い捨てた。

「中途半端な仕事してても仕事として認められる人は良いですよね…。

こっちは高給もらってるとは言え、毎日プレッシャーとストレスに耐えて必死で仕事してるのがたまに馬鹿らしくなります」

そう言うのも、無理はない…のかもしれない。

彼女は現在、世界でもトップ3に入る大手外資系PEファンドに勤めており、27歳とは思えないほどの高給を稼いでいる。

当然、プレッシャーも相応のものなのだろう。

「今の会社は4社目です。先月、別の外資系PEファンドから転職したばかりですが、前職よりチーム構成やカルチャーなんかは圧倒的に良いですね。もちろんファンドとしても前に勤めていたところよりブランド力もあると思います」

そう、なんと彼女は27歳にして3度もの転職を経験しているのだった。

彼女のせわしないキャリア変遷の裏には、どういう経緯があったのだろうか?


27歳で3度の転職。ハイスペック東大女子が転職を繰り返したワケ


ここは私に“ふさわしくない”


「就職活動では、受けた会社はぜんぶ内定を出してくれました。

外銀、外コン、総合商社、広告代理店…内定のロイヤルストレートフラッシュって感じでしたね。

同期でも、私くらい内定もらってた子は居なかったんじゃないかな」

学生時代の話だが、唯はそのことをまだ自慢に思っているらしい。

「結局、一番初任給が高いという理由で、新卒は外銀を選びました。その頃の外銀って1年目でも年収1本(1千万円)超えてましたからね。

私ならいつでも好きな会社に転職できるし、それなら最初は1番お給料高いところにしようって」




“いつでも転職できる”と入社した外資系投資銀行。そして実際、2年と経たずに彼女は辞めてしまうのだった。

「お給料は確かに良かったんですが…同じ仕事の繰り返しで。

私みたいなハイスペックな人間がわざわざやる仕事じゃないって思いました」

そして次に彼女が飛び込んだのは、外資系コンサルティングファームだ。

「仕事内容は満足でした。でも、お給料に対して理不尽な長時間労働が多すぎです。クライアントに振り回されっぱなしだし。

下らないプレゼン作るのに徹夜するのなんて、1年もやれば十分ですよね」

...そうしてたどり着いたのが、外資系PEファンドだったと言う。

「大手の外資系PEファンドが、私くらいの若手を採用する例ってすごく少ないんですよ。

多分業界で一番くらいに若かったんじゃないかな。

若手で投資銀行とコンサル両方の経験があって、日中英のトリリンガルなんてそうそう居ない人材ですからね」

自分が如何に希少・貴重な人材だったかを唯は得意げに説明する。

仕事内容、給料についても、文句なしの条件だったという。

「コンサルと違って自分たちで案件をドライブできるのもやり甲斐があったし、お給料は外銀の頃よりさらに上がりました。

でも…」

やれやれ、とでも言いたげに唯は肩をすくめた。

「チームが最悪で。大手のファンドって言っても圧倒的に少人数で動いているもんだから、チームメイトや上司がイマイチだと相当煮詰まるんですよね。

それなのに上司が本当イケてなかったもんだから、早々に見切りつけてまた転職することにしたんです」

仕事内容は満足、かつ、超がつく高給を取っていても尚、不満だったと言う唯。

そして彼女は、3度目の転職を決断した。


4社目となる現在の職場。自信満々のハイスペ女に、ついに訪れた試練とは?


「今の会社は気に入ってます。今回はさらにポジションも上げてもらえましたし。仕事内容も、お給料も、チームも、全部が希望通りです」

しかし、そう話す彼女の表情は、言葉とは裏腹にどこか硬いのだった。




「今までずっと、“私にふさわしい打席”じゃなかったんですよ。だから一度も振らなかったんですけど。

でもようやく“ふさわしい環境”がそろった今、ここでヒット打てなかったら...結果を出せなかったらまずいなって」

これまで唯が経験してきた外銀・外コン・投資ファンドという業界は、若手でも責任ある仕事を任され、多くの経験を積むことができる。とは言え、在籍期間1-2年で結果らしい結果を残せるかというと...限度があるだろう。

3度の転職でキャリアは確実にステップアップしてきたが、ひとところに2年と留まらなかったが故に、彼女は27歳の今まで実質“ヒットゼロ”のまま過ごしてきてしまったのだ。

「この前、大学の時には冴えなかった商社の友人が、大きなプロジェクトを任されたって嬉しそうに話していて。

商社なんて、日系ののんびりしたところでしょって舐めてましたが…地味な仕事でもコツコツ続ければ結構な経験になるんだなぁって。

まぁそうは言っても、彼女が任せてもらえる仕事なんてたかが知れてると思いますけど」

...友人の愚直な努力を素直に認められないあたりに、唯のプライドの高さが見え隠れする。

しかしその口調には、若干の焦りが滲んでいた。

「他人や環境に文句言ってるばっかりで実際は何も出来ない人、だなんて思われるのはまっぴらです。

私は確かに周りへの要求が高いかもしれませんが、自分に対しても同じだけ厳しくしているつもり。

誰もが“流石”って認めてくれる結果を今度こそ、今の会社で残してみせます」

“器用貧乏”

唯の話を聞いていると、そんな文字が脳裏に浮かぶ。とはいえ、随分と高給取りの彼女には、決して相応しくない言葉なのだが。

とにもかくにも、彼女が今度こそ"ふさわしい打席”でホームランを打てることを願って止まない。

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どうしても母になりたかった東大女子。彼女が下した驚きの決断とは。