小学校のプログラミング教育の本命は無償提供が進むマイクロビット? どこが優れているの

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2020年に小学校でプログラミング教育が“必修化”されると発表されて以来、教育機関では混乱が続いている。一方で教材メーカーや学習塾にとっては、最大のビジネスチャンスが訪れているとも言われている。そして現在に至るまで、さまざまなプログラミング教材が開発、発表されている。

そんな中、本命と言われているのが「micro:bit」(マイクロビット)だ。

マイクロビットは、英国ではBBCが11歳から12歳の子ども全員に無償配布をしており、すでに授業でも活用されている。
国内でも、ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)が、小学校100校に無償提供することを発表した。


●プログラミング教育必修の背景
プログラミング教育の必修化は、プログラムに親しむということだけでなく、子どもたちに論理的な思考を身に付けさせる目的がある。
一方で、必修化の背景にあるのは、IT技術者が不足する産業界からの切実な要望でもある。

現在、授業では、「スクラッチ」というプログラミングソフトの導入が進んでいる。
「スクラッチ」では、ビジュアルプログラミングと呼ばれる方法を採用していて、ブラウザーソフトの中で命令が書かれたブロックをつないでいくだけで、プログラムを完成できる。
こうしたプログラムで
・画面に表示したキャラクターを動かす
・ゲームを作成でする
といったことが可能だ。
ビジュアルプログラミングという手法では、プログラム言語などを覚える必要は無いので、小学校低学年でも簡単にチャレンジできる。
まずはプログラミングに必要な論理的な思考を習得することを目的としている。


●マイクロビットの特徴やメリット
スクラッチは画面内でプログラムを作成して実行する完全なソフトウェアだ。
これに対して、マイクロビットは、マイコンボードというハードウェアを使用する点が大きな違いだ。

マイクロビットでは、
・マイコンボード本体のLEDを光らせる
・マイコンボードにモーターを接続して動かす
といってことができる.

つまり、プログラムした結果を、実際の物体で実体化、確認できるのだ。
マイコンボード本体の価格は2000円前後と安価なことも教育用としてのメリットだ。

マイクロビットには、ほかにも多くのメリットがある。
・マイコンボード本体の価格が安価
・パソコン、iPhone/iPad、Androidの端末でプログラミングできる
・ビジュアルプログラミングなので、小学生にも簡単
・Bluetooth接続でプログラムを転送可能
・プログラムで加速度センサーに反応させたり、サウンドを鳴らしたりすることも可能
・JavaScriptを使った本格プログラムにも挑戦できる
・モーターなどのオプションで拡張できる




マイクロビットで遊ぶには、ほかにも
・電池ボックス
・乾電池
・USBケーブル
などが必要になるが、3000円前後の「スターターキット」を購入すれば、すぐに使い始められる。

マイクロビットのプログラムも、スクラッチ同様にビジュアルプログラミングで作ることができる。
そのため、小学生でもプログラミングにチャレンジするハードルも低く、手軽に開始できる。

またプログラムは、パソコンだけでなく、
・iPhone/iPadなどのiOS
・Android
に対応しているので、手元のスマートフォンですぐにはじめることができる。


スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールして、ブラウザーソフトのプログラム作成画面に移動する。プログラムを作ったらダウンロードしておく。



スマートフォンやタブレットとマイクロビットはBluetooth接続できるので、ダウンロードしたプログラムを転送したら、すぐに実行して試すことができる。


プログラミングの内容としては、
・本体に搭載した加速度センサーに反応させる
・サウンドを鳴らす
といったように、できることは多彩だ。

さらに、プログラム作成画面は、「JavaScript」の入力画面にも切り替えることができる。
このため本格的にプログラミングを覚えたい人も挑戦できる。

また、マイクロビットのボードには拡張性がある。
・モーターのキットを利用してロボットカーを造る
・ジョイスティックを接続してゲームプログラムで遊ぶ
といったこともできるようになる。

マイクロビットは、
・安価にはじめられる
・手近なスマホなどでプログラミングできる
・拡張性に優れている
ことなどの特徴が優れている。
今回のWDLCの試みは、応募した小学校のうち100校にマイクロビットを20個ずつ、合計2000個を無償提供するという。
同様の取り組みは増えてくると考えられる、今後にも期待したい。