WHO、ゲーム障害を疾病と認定。国際疾病分類 第11版(ICD-11)を発表
世界保健機構(WHO)は6月18日、あらたな国際疾病分類(ICD-11)を発表しました。この中で、草案発表時にも話題になっていた「Gaming disorder(ゲーム障害)」が正式に疾病として認定されています。

ICDの正式名称は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」。統計分類とあるように、もともとは病因や死因を分類し、その分類をもとに統計データを体系的に記録・分析するために制定されたもの。つまり、国や地域、診療機関などで統一的に使用できる病名などの分類です。

日本では厚生労働省が発表している「疾病、傷害及び死因の統計分類」で使われているほか、医療機関で使われる電子カルテなどでも広く利用されています。

約30年ぶりの改定となるICD第11版(ICD-11)では、「Gaming disorder(ゲーム障害)」が精神及び行動の障害として分類、疾病として認定されています。なお、同様の障害としては、「ギャンブル障害(ICD-10の日本語表記では賭博障害)」が同じく精神及び行動の障害として分類されています。

ICDの分類では、ゲーム障害は下記のような症状となっています。
ゲームをする時間や場所などに対するコントロールの欠如日常生活よりも、ゲームを優先してしまう悪影響があるにもかかわらず、ゲームをやめられない

このリストを見るだけでは、該当する人が大勢いそうですが、ゲーム障害の行動は、個人、家族、社会、教育、あるいは職業的に重大な影響を与えるほど深刻でなければならないと定義されています。この状態が12か月継続すると「ゲーム障害」と診断されますが、重症の場合には期間が短縮される場合もあるとのことです。

WHOのVladimir Poznyak博士は、CNNのインタビューの中で、世界中の何百万人ものゲーマーがゲームに熱中していたとしても、ゲーム障害と診断される率は極めて低いと話しています。それにもかかわらず、ゲーム障害が正式に認定されたのは、こうした状態が存在することを警告し、この病気に苦しむ人が適切な援助を得られるようにするためだとしています。

なお、ICD-11は発表されたからすぐに利用開始されるものではなく、2019年5月に世界保健総会(World Health Assembly)に加盟国の採択のために提出され、2022年1月1日に発効する予定となっています。