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未来のコミュニケーションはどんなものになるのかとエンジニアに尋ねれば、光ファイバーを見せてくれるだろう。同じ質問をアーティストにすると、「Sleeve」のような魔法の製品を取り出すはずだ。それはウェアラブルなアームバンドである。

ニュージャージー州にある、トランジスターを生み出した有名な研究施設であり、現在はノキアの傘下にあるベル研究所は、数年前から芸術的な才能をもった協力者からのインプットを得ながら、このアームバンドを開発してきた。

「アートとテクノロジーの実験(Experiments in Art and Technology)」と呼ばれるプログラムを率いるドムネイル・ハーノンは、「思考に関して、われわれエンジニアは還元的に物事をとらえるのに対し、アーティストは発散的にとらえています」と語る。このプログラムはもともと1960年代に始まったものだが、デザインインキュベーターNew Inc.との提携を通じて新たに復活を遂げた。

エンジニアとアーティストはチームを組み、いわば左脳と右脳の共同作業を行なっている。「人間は触覚でコミュニケーションできるか?」「共感を伝えることはできるか?」「スマートフォンの後継となるものは何か?」などいくつかの大きな問題が探求されているが、その答えを与えてくれそうなのがSleeveだ。

Sleeveの初期モデルは、ジャイロスコープや加速度センサー、光学センサーを通じて、ユーザーの身体的・感情的状態について情報を集める。そして、軽い振動やスクリーンに表示するメッセージ経由で、人間とコミュニケーションする。アーティストたちはエンジニアをよりインスパイアし、感情面をさらに掘り下げていくことを目指している。近い将来は、ユーザーの心をSleeveを通じて表現できるようになるだろう。

感情を伝えるための機能

Sleeveに備えられた5つの特徴的な機能を、下記に紹介しよう。

1. ハプティックモーター
これらのモーターが振動を生み出し、ユーザー同士の感情的メッセージを伝えたり、環境に関するフィードバックを装着者に提供したりする。

2. 筋電ワイヤー
スワイプやタップに代わる高度な入力装置として、これらのワイヤーはユーザーの前腕部の筋肉の微妙な電気信号を計測し、Sleeveを通じてメッセージを送る。

3. 慣性計測ユニット
加速度センサーとジャイロスコープが、動きの方向を認識する。Sleeveはジェスチャーでスマートホームを制御するデヴァイスとしても利用できそうだ。

4. 光干渉断層撮影ディスク
このデヴァイスは、光が細胞にどう作用しているかを計測することで、身体の化学組成を判断する。ストレスや喜びを検知するバイオマーカーにもなり得る。

5. スクリーン
LEDのドット・マトリックス・スクリーンが、生体信号やメッセージ、指示を伝え、Sleeveユーザー同士のより豊かなコミュニケーションを実現する。

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