首相官邸ホームページより

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 本日午前7時58分、大阪北部で震度6弱の地震が発生した。22時30分現在、3名の死者と約350名の負傷者が報告されているほか、避難者も大阪府だけで約1300名におよんでいる。さらに地震発生が通勤・通学の時間帯だったために交通機関は大混乱。水道や電気、ガスなどのライフラインのトラブルもいまだ相次いでいる。

 2016年の熊本地震では、マグニチュード6.5・最大震度7の地震が発生した2日後にマグニチュード7.3の「本震」が起こった。そのため被災地では「これから大きな地震が起こるのでは」と心配の声が広がっており、気象庁も「1週間程度は最大震度6弱程度の規模の大きな地震がつづく恐れがある」と発表した。

 大都市を襲った直下型の大地震と、膨らむ今後の不安──。ともかく災害復旧のためのすばやい対応が求められるなか、信じがたいことが起こった。なんと、安倍首相をはじめとして全閣僚が出席する参院決算委員会が、予定通り開催されたのだ。

 安倍首相は地震発生から1時間後に官邸に入ると、「人命第一を基本方針に政府一丸となって対応している」「自治体と連携しながら万全を期していく」と宣言したが、それとは裏腹に、開かれた決算委員会に出席したのである。

 この決算委員会について、「こんなときに野党はモリカケを追及している!」との批判が飛びかっているが、事実はまったく逆。この決算委員会の開催を押し切ったのは、野党ではなく、与党・自民党だ。

 地震の発生を受け、立憲民主党の那谷屋正義・参院国対委員長が自民党の関口昌一・参院国対委員長に「復旧に影響が出るのではないか」と懸念して延期を提案したにもかかわらず、これを関口国対委員長は「予定通り開催する」と返答したというのだ。

 つまり、政府には喫緊の対応が求められているにもかかわらず、安倍首相はもちろんのこと、小野寺五典防衛相や石井啓一国交相といった震災対応に当たるべき閣僚を出席させた決算委員会の開催を、野党が疑義を呈していたのに自民党がそれを聞かず、決定したのである。

 どうして、こんな大きな地震が起こったその日に、指揮に当たる安倍首相や大臣たちが震災対応をしないでいるのか。とくに、安倍首相は「首相出席の国会日数が多すぎる」と不満を口にし、さらに昨年は野党が求めた臨時国会を3カ月以上も召集しなかったにもかかわらず、である。きょうも安倍首相が震災対応に当たることを強く主張すれば、自民党が委員会を決行することはなかったはずだ。

 だが、その答えは簡単だ。地震の発生によって、きょうの決算委員会のNHK中継は中止となった。ニュース番組も震災報道に時間を割くことは必至だ。他方、安倍首相は決算委員会で野党から森友・加計問題の追及がおこなわれることは事前通告で把握している。ようするに、安倍首相にとってみれば、きょう委員会を開かれれば、モリカケ追及の実態が国民に知られづらく、かぎりなくダメージを軽減できることは確実だったのである。

●委員会を強行したのは自民党なのにSNSで「こんなときに野党はモリカケか」の声

 しかも、きょう決算委員会を開けば、安倍首相にはもうひとつ利点があった。「こんなときでも野党はモリカケをやっている」という野党への反感を盛り上げることができるからだ。

 そして、この作戦は冒頭で指摘したように、すでに効果が表れている。実際は自民党が委員会開催を押し切ったにもかかわらず、SNS上には〈野盗5盗の馬鹿どもは大阪地震とは無関係で相も変わらずモリカケをやるつもりなんだろうか?〉〈野党正気か? ただのクレーマーだー〉〈うわー 参議院決算委員会 首相への質疑で 野党がモリカケやってるのだが...〉という批判コメントが投稿されている。

「被災者の救助・救命に全力をあげる」と言いながら、決算委員会を開かせ、モリカケ追及によって野党批判を喚起させる──。これを震災の政治利用と言わずして、何と言おうか。

 だいたい安倍首相は、2016年に起こった熊本地震のときも「官邸での地震対応に集中したい」などとして4月16日の視察を取りやめた一方で、週明けには国会でのTPP審議を強引に進めようとした。一方で、地震発生翌日から蒲島郁夫県知事が「激甚災害の早期指定」を求めていたにもかかわらず、安倍首相はこれを1週間以上無視。地震発生から9日も経ってからようやく現地視察をおこなったが、そのタイミングは自民党不利の事前調査が出ていた北海道での衆院補選の前日。しかも、現地視察と同時に激甚災害指定を表明するというパフォーマンスをおこなったのだ。

 その上、支援物資の輸送のために、安全性が不安視されているオスプレイを投入。自衛隊は輸送ヘリを数多く所有しているのに、それを出し惜しみしてわざわざオスプレイを投入したのは、オスプレイを売り込みたい米軍との密約と、自衛隊のオスプレイ佐賀空港配備のための地ならしという意図があった。

 また、2015年の関東・東北豪雨の際も、極右ネットテレビ「言論テレビ」の番組に生出演。櫻井よしこと日本会議の会長・田久保忠衛に囲まれ、「歴史的使命を完うする覚悟と戦略」を語ったこともある。洪水によって孤立し、救助を待つ人びとや不明者も多数報告される最中に、である。

 災害対応に真剣に取り組むこともなく、政治的に利用できるときは徹底的に利用する──。安倍自民党は「大規模災害に対応する」という目的で、憲法改正で緊急事態条項の新設を目論んでいるが、これも災害対応を名目にして内閣に権限を集中させようというものだ。この総理に、このまま災害対応・安全対策を任せていていいのか、国民は真剣に考えるべきだろう。
(編集部)