記者懇談会の様子=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国の国家人権委員会が、今年の世界人権デー(12月10日)に合わせ死刑制度廃止宣言の発表を目指す方針を示した。

 同委員会の沈相敦(シム・サンドン)政策教育局長は18日の記者懇談会で、「今年で世界人権宣言70周年を迎えるのを記念し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領による『死刑制度モラトリアム』の発表を準備している」と明らかにした。

 沈氏は、昨年12月に行われた人権委の大統領に対する特別報告で取り上げられたテーマの一つが死刑制度廃止で、文大統領も廃止について前向きに答えていたとしながら、現在、法務部と実務協議を進めていると説明した。

 韓国では1997年12月以降、死刑が執行されておらず、「事実上の死刑廃止国」に分類されるが、死刑執行に関する正式なモラトリアム(停止)を宣言したことはない。現在、韓国内で収監されている死刑囚は61人で、国際社会は引き続き韓国政府に対し死刑制度廃止を勧告している。

 人権委は死刑制度廃止が憲法、国際人権規範、国際的な流れに合致するとの立場を維持してきた。

 しかし、死刑制度に代わる刑罰に対する社会的合意が形成されておらず、凶悪犯罪が発生するたびに死刑制度維持を求める声が上がった。

 こうした状況を踏まえ、人権委は国民の懸念を払拭(ふっしょく)する代案を示し、死刑制度の廃止と刑罰に関する実態調査を10月まで行う計画だ。