今回はお薬に頼らず生きていくための健康術をご紹介します。

“薬を使わない薬剤師”の私が健康法として推奨したいのがファスティングです。ファスティングとは「断食」のことです。断食というと、飲まず食わずの苦行のイメージが浮かぶかもしれませんが、私自身が実践しているのは発酵ドリンクなどを飲みながら行なうもので、決して苦行ではありません。

働きっぱなしの胃腸を休ませよう!

ファスティングは何に効果があるのかと言いますと、第一に「胃腸を休める」ことです。私たちは一日3食、おやつも食べ、コーヒーやお茶やお酒を飲み……と、つねに胃腸は動いています。人によっては寝ている間も忙しく動いていることでしょう。気がつかないだけで、働きっぱなしの胃腸は疲れています。休ませてあげることが大事です。そうすれば胃腸は元気を取り戻し、老廃物を排出し、腸内環境を整えることができます。効果的な無理のないダイエットにもつながります。

本格的なファスティングではなく、手軽にできるファスティングをご紹介します。

毎日12時間、食べない時間をつくる。これだけです。

たとえば夜8時に夕飯を食べたら、翌朝8時まで何も食べない。夜中の12時まで飲んでいたら、翌日は朝食を抜き、お昼まで何も食べない。とてもカンタンでしょ?

日本人の「3食、食べなくちゃ」という思い込みが胃腸に負担をかけています。昨夜遅くまで起きていて、朝ごはんが食べたくなければ食べる必要はありません。「何か食べて行かなくちゃ」とバナナやシリアルを食べる必要はないのです。

頭痛、生理痛にもファスティング効果

無理に食べることで胃腸は疲れ、腸の動きが悪くなれば便秘にもなります。慢性的な便秘に悩んでいる人は、ぜひ一度お試しを。そのほか、次の症状のある方におすすめです。

・疲れやすく、休んでも疲れがとれない

・ストレスがたまっている

・つい食べ過ぎ、飲み過ぎしてしまう

・むくみが慢性化していて、夕方になると足がむくむ

・寝つきが悪い。睡眠不足になりがち

・ダイエットが長続きしない

・食べる量は変わらないのに太りやすくなってきた

・生理痛、頭痛、肩こりがひどい

12時間ファスティングを毎日続ければ、胃腸が元気を取り戻します。腸が元気になれば免疫機能も活発になり、疲れやすい、だるいなどの症状が減少。それにつれてストレスも軽減され、睡眠の質も改善される、そんな好循環が期待できます。

胃腸は働きすぎて疲れています。休ませてあげましょう。

夜8時に夕飯を食べたら、次の日の朝8時まで食べない。これだけで胃は休まります。



■賢人のまとめ
ファスティング(断食)の効用は胃腸を休めることにあります。第1ステップは「12時間、食べない時間をつくる」。ダイエットをはじめストレス、慢性的な便秘、頭痛や肩こり、生理痛の改善にもおすすめです。

■プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。