社会人になるとさまざまな出費が生じます(写真:CORA/PIXTA)

社会人になると、学生時代にはなかった出費がいくつも生じます。実家に入れるおカネ、あるいは一人暮らしの家賃や水道光熱費の支払いに頭を抱える方もいるかもしれません。しかし、出費はそれだけではありません。国や自治体などに対する税金や保険料の支払いもあります。

過去に給与明細を見て、「厚生年金」や「雇用保険」などの項目が気になっていた方も多いのでは。給料(給与)から天引きされる費用は主に6種類あります。

会社員が支払う「6つの負担」

1.厚生年金

20歳になると、学生でも年金を支払うようになります。これが「国民年金」です。今すぐには払えないという人でも、「学生納付特例制度」で納付を先送りすることができました。

就職すると、ほとんどの場合、国民年金の支払いはなくなり「厚生年金」の支払いが始まります。厚生年金の制度は、とってもお得で、あなたの勤務する会社が保険料の半分を支払ってくれる仕組みです。

保険料を支払えば、国民年金に厚生年金を上乗せした年金を65歳から受給できます。また、「遺族年金(被保険者が死亡したときに、遺族に対して支給される年金)」や「障害年金(病気や怪我によって障害をもった人に対して支給される年金)」の適応範囲が広がるメリットもあります。

保険料は、あなたの給与によって変動します。給与から「標準報酬月額」を算出して、保険料が決まります。たとえば、給与が6万3000円〜7万3000円の場合、標準報酬月額は6万8000円と算定されます。

一般的には4〜6月の3カ月の給与から算出した標準報酬月額で保険料が決まりますが、新社会人の場合は見込額で計算されています。4〜6月の残業代が多いと年間の保険料は増えてしまいますので、その時期の残業はできるだけ減らしたいと考える人もいるようです。

2.雇用保険

会社で働き始めると、「雇用保険」の支払いが始まります。「失業保険」とも呼ばれる雇用保険は、失業したときに再就職の支援を受けるための制度です。

失業したあと、条件を満たすと「基本手当(上限は18万〜22万円ほど)」がもらえます。その他にも育児で仕事を休んだときにおカネがもらえる「育児休業給付」や、家族の介護で休んだときにおカネがもらえる「介護休業給付」が受けられます。

2018年度の保険料は、毎月の給与の0.9%。ですが、あなたの勤務先である会社が0.6%を支払ってくれる仕組みです。

家族の扶養から外れると増える負担

3.健康保険

給与をもらうようになって家族の扶養から外れると、「健康保険」も自分で払うようになります。

健康保険に加入していれば、あなたやあなたが扶養する家族に、病気やけが、傷病による休業、出産、死亡があった際に、健康保険の運用元(「協会けんぽ」や「健保組合」など)が医療費を負担してくれたり、給付金を支給したりしてくれます。ちなみに体が丈夫だから加入しない、という選択はできません。日本国内に住んでいる人あれば、年齢や国籍に関係なく加入するのがルールです。健康保険の運用元は、病気の予防・早期発見を目的とした健診や、運動・保養施設の利用機会の提供もしています。保険料を支払っていれば、それらを利用できるメリットもあります。

毎月の保険料は、厚生年金と同様に標準報酬月額を元に算出されます。

4.源泉所得税

就職すると、アルバイトのときと異なり、給与から「源泉所得税」が天引きされるようになります。「源泉徴収」という方法で給与から差し引きされた「所得税」は、あなたの勤務先が国に納めてくれています。毎月の給与から天引きされる源泉所得税の額が気になる方は「給与所得の源泉徴収税額表」を参照するといいでしょう。

ちなみに、どの会社でも共通して、源泉徴収はちょっと多めに天引きされています。12月になると、会社が正確な所得税を計算した後に、これまで源泉徴収した金額の一部を還付してくれます。これが「年末調整」と呼ばれる手続きです。そのため、12月に会社から振り込まれる金額は少し多めになる傾向があります。

所得税は「累進課税制度」を採用しています。累進課税とは、簡単にいうと「給与が増えると税率が高くなる」制度。給与から給与所得控除を引いたものが所得になるので、控除が多ければ多いほど、あなたの支払う所得税が減ります。現在の所得税率は5%〜45%。徴収された所得税は、国の一般財源として、道路や学校、医療などさまざまな公的サービスに使われます。

2年目や40歳になったときに増える負担

5.住民税

社会人になって2年目の6月からは、「住民税」の支払いが発生します。住民税が1年目から天引きされない理由は、前年の所得が低いと0円になるからです。たとえば東京都内だと、年収が100万円以内なら、住民税はかかりません。この金額は自治体によって異なります。アルバイトのときに源泉所得税がかからなかった人は概ね、その翌年に住民税はかかりません。

住民税の税率は10%。計算式は複雑なため割愛しますが、年収601万円以下の人は所得税と比較して住民税の方が高くなります。徴収された住民税は、あなたが暮らす都道府県や市区町村の財源として、さまざまな公的サービスに使われます。

6.介護保険

そして40歳になると、「介護保険」の支払いが始まります。

40歳〜64歳までの方は、老化が原因とされる病気により、要介護・要支援状態になった場合、65歳以上の方は要介護・要支援状態になった場合に、1割負担で介護サービスを受けることができます。

介護保険で受けられるサービスには、自宅で受けられる訪問介護や福祉用具の貸与、日帰りで施設を利用するデイサービス、特別養護老人ホームの提供など。保険料は、64歳までの方と65歳以上の方で計算方法が異なりますが、平均額は月額5000円超です。

基本的には、社会人1年目の4月の給与から所得税が、4月ないし5月の給与から雇用保険や年金、健康保険の保険料が、社会人2年目の6月の給与から住民税が、40歳になる月から介護保険の保険料が天引きされます。環境にもよりますが、22万円の初任給の方で、天引きされる金額は3万円程度でしょうか。

自身の払った金額を正確に把握し、それによって何を享受できるのかを知っておくと、税金や保険料を支払うときにも納得感が出るかもしれません。