「明日は重要なイベントがあるので、今夜は必ず眠りたい」と意気込むほどに、なかなか寝つくことができずに困ってしまう……ということはよくあるものです。これは、「眠らなければ!」というストレスが原因で、場合によってはストレスによって慢性的な不眠症が引き起こされることもあるとのこと。睡眠不足を解消して不眠症を予防するために重要なことについて、TED-Edがアニメーションで解説しています。

What causes insomnia? - Dan Kwartler - YouTube

夜遅くまで寝つけないことがあります。



難しい問題を抱えていたり、楽しい旅行に興奮していたり、終わっていない仕事へのストレスだったりと、その原因はさまざまです。



とはいえ、多くの人にとって原因は一時的なものなので、睡眠不足はすぐに解消されます。



しかし、眠りを妨げる原因が「眠れないことへのストレス」だったらどうでしょうか?



この不可解な負の連鎖は、世界で最も一般的な睡眠障害として不眠症の原因の中心にあります。



眠りを妨げる要素には、パートナーのいびき、物理的な痛みや……



精神的な痛みなどいろいろあるものです。



中でも「時差ぼけ」のような極端な睡眠不足は、体内時計を狂わせることさえあります。



とはいえ、たいていの場合、睡眠不足は一時的です。



最終的には疲労に襲われて眠りにつくものだからです。



しかし、呼吸器障害、胃腸炎などが、長期間にわたって疲労を圧倒する可能性もあります。



眠れない夜が積み重なることで……



ベッドルームは落ち着かない空間になります。



不安なども伴って、不眠症が意識されることに。



脳がストレス反応システムに侵されると……



体内で、コルチゾールや副腎皮質刺激ホルモンなどの化学物質が血液を通ることで……



心拍数や血圧が上昇し、体を興奮させてしまいます。



このような状態では、脳は潜在的な外敵のために戦闘状態に入り……



虫や時計の秒針の音など、ささいなものにも反応してしまうようになります。



脳の主要なエネルギー源はグルコースです。



健康な場合、脳は睡眠時に代謝を下げることで、起きているときのためにグルコースを節約します。



PETの研究では、不眠症患者の睡眠をアドレナリンが妨げていることが分かっています。



アドレナリンは、代謝を高めてしまいます。



そうなると眠っている状態でも、常に脳が働き続けることになります。



ついにはエネルギー源となるグルコースを使い果たしてしまいます。



起きても疲れが残っていると感じる状態で、再び眠っても同じサイクルが繰り返されます。



このようなストレスだらけで休んだ気がしない感覚が数カ月続くと……



慢性的不眠症と診断さるようになります。



不眠症が原因で死ぬことはめったにありませんが……



その化学的なメカニズムは「不安に襲われる」状態や……



うつ病の状態に似ています。



このため、不眠症・不安障害・うつ病のいずれかの症状に苦しんでいる場合、他の2つの状態に陥るリスクが高まります。



幸運なことに「睡眠不足」のサイクルを解消する方法があります。



良い就寝への習慣は、不眠症対策として有効です。寝る前にはPCやスマートフォンなどの刺激的なものの利用は止め……



ベッドルームを暗くして……



室温を快適なレベルまで下げます。



寝ているときの刺激を最小限に抑えることが重要です。



もしもベッドルームが落ち着かないというのであれば、リビングのソファの上など自分がくつろげる場所で休んでもOKです。



就寝と起床の時間を一貫させることで、代謝が調整でき……



体内時計も正しく機能します。



体内時計は光の刺激に敏感なので、夜は明るい光を避けるのが大切です。これで、体に眠る時間であることを教えられます。



これらの方法に加えて、中には「睡眠薬」を処方する医師もいるかもしれません。



しかし、睡眠薬がすべてのケースで有効というわけではありません。



市販の睡眠薬は強い中毒性があるため、症状を悪化させるおそれがあります。



処方を受ける前には、自分の慢性的な睡眠不足の状態が「不眠症」であることを確かめるのが重要です。



慢性的不眠症と診断された患者の8%が「DSPD」と呼ばれる遺伝的な問題で苦しんでいます。



DSPDを持つ人は、24時間よりも長い概日リズムを持っているため、一般的なライフサイクルにおける睡眠習慣とはかみ合いません。



DSPDを持つ人にとって、一般的な就寝時間に眠りにつくことは困難ですが、それはストレスが原因というわけではありません。



そのためスケジュールを遅らせることで、快眠することができます。



睡眠と目覚めのサイクルは微妙なバランスの上に成り立っています。



このバランスをうまくとることは、肉体的・精神的な健康を維持するのに不可欠なので、安定した睡眠習慣をとることは努力するに見合うものといえます。