恋がうまくいくかどうかは、出会った瞬間に大きく決まっているといっても過言ではない。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しないのだから。

どうしたら、最初のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は、「来週土曜に、ご飯行こう」という誘い文句がNGな理由を述べよという宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




私が智久に出会ったのは、知人に誘われて行ったホームパーティーだった。

それは、六本木にあるタワーマンションで行われた。広いリビングの巨大な窓から見える、煌びやかに輝く東京の夜景。そして高級家具で揃えられた部屋。

まさに“THE・東京の成功者”という部屋だが、家主は全くもてなす気がないようで、ずっと座ったまま。

そんな家主と、なぜか寒々しい部屋に、私はどこか落ち着かない。それで、洗い物を手伝ったり食器を片付けたりと動いていた。

その時、皆が飲んだくれている中で一人だけせっせと片付けをしている人に目が留まった。それが智久だったのだ。

「いいよ、綺麗な洋服が汚れちゃうから、座っていて」

そんな気遣いをしてくれるが、私より智久の方がさっきから働いている気がする。

「何だか、落ち着かなくて...それより、智久さんの方こそ、飲んでいますか?家主より働いてません?これじゃ、まるで智久さんの家みたいですよね。」

他の人たちが呑気にただ座っているなか、智久だけが黙々と動いている。決して座ったままでいるのが悪い訳ではないが、気遣いのできる彼は魅力的に見えた。

しかし話していくうちに、徐々に智久の本性が見えてきてしまったのだ。


会話と行動の中で智久が見せてしまった失態とは!?


解説1:自分の趣味や都合だけで一方的に話を進めるのはNG


何となくそのまま二人でキッチンに立ちながら、色々と会話をする流れとなった。

「由香里ちゃんって、家でもよく料理するの?」

料理は嫌いではないし、家事も苦手ではない。

だから今日もじっと座って飲んでいるよりも、こうして動いている方が自分としても落ち着く。

「はい。外で食べることも好きですが、料理は結構好きなんです。智久さんは料理されますか?」

「うん、するよ〜。自分で会社をやっているから、時間は結構あって。カレーはルーから作るし、家にいる時は自分でササっと作ることが多いかな」

「え〜すごい!そんなにも本格的なお料理をされるんですか!?男性で料理上手な方って、素敵ですよね」

家でルーからカレーを作る男性は、かなりこだわる人なのだろう。そしてさっきから食器の並べ方や洗い方を見ていても、彼の几帳面さがよく分かった。

-智久さんって、結婚したら家事に対して厳しそうだなぁ...

そんな想像を勝手にしながら、私たちは会話に花を咲かせ、しばらくキッチンドランカーになっていた。

「みんな盛り上がっていますね。智久さんは飲まなくていいんですか?」
「そしたら、その洗い物終わったら乾杯しようよ」

しかし、段々と私は小さな違和感を感じ始めたのだ。




「ここはもういいから、リビングの方行こうよ」
「あ、はい。そうですね...」

そう言われた時、私は食洗機には入れない方が良いであろう、高そうなグラスを洗って、拭いている真っ最中だった。

まだ、半分くらい残っている。

こんな中途半端な感じで終わらせたくないなと思いながらも、半ば強引に智久にリビングに一緒に行こうと促され、私はグラスを拭く手を止め、リビングへ向かった。

「もー二人がキッチンで楽しそうだったから、邪魔できなかったよ。でもありがとう!色々と任せちゃってごめんね」

家主が茶化してきたが、私は黙って男性陣の話を聞いていた。

「由香里ちゃんスポーツは好き?」

ちょっと静かになっていた私に、智久が話しかけてくる。

「スポーツですか?実は苦手なんです」

スポーツは、正直好きではない。やるのが苦手なだけでなく、スポーツ観戦もあまりしない。

「そっかぁ〜残念。でも観るのはどう?今度野球見に行くから、一緒にどうかなって」

「私で大丈夫ですか?ルールとか分からないですが…」

私よりもっと野球好きな人を誘った方が喜ぶと思います、と言いかけた時だった。

「全く問題無し!試合が再来週の土曜だから、一緒に行こうよ」

この言葉に、私は”ないなぁ”と思ってしまったのだ。


これだけでは終わらない。決定打となってしまった一言とは?


解説2:日時を指定する前に、まず相手のことを聞く。女性を立てるべし


そもそも、私は野球が好きではない。

長時間見ていても面白さが分からないし、申し訳ないけれど、ルールも良く分からない。

スポーツ観戦や野球が好きな人に文句を言うつもりは、決してない。ただ智久が、全くこちらの話を聞いていないことに呆れたのだ。

スポーツが苦手だと言っているのに、こちらの返事を待つ前に観戦へ行くことが確定している。

彼の自分本位な行動に私が心の中でツッコミを入れている間に、智久は何も気がつかずどんどん話を続けている。

「由香里ちゃんは、何の仕事をしているんだっけ?忙しいのかな?」

「私は大手町で働いています。平日はちょっとバタバタしていますが、土日はのんびりしているかなぁ。智久さんはご自身で会社を経営されているんですよね?」

「そうそう。だから休みとか自由なんだよね〜。休みの日は何をやっているの?」

私の平凡な休日の過ごし方を答えると、智久は急に興味を持ったようだ。

「なんかいいね、そういう休日」

一人でニコニコとしている智久。

それを冷静に見つめる私。

そして最後の最後で、智久からこの一言が飛び出したのだ。

「そしたら今度の土曜、ご飯行こうよ」




グラスを傾けながら堂々と誘う智久を、改めて見つめる。

どうして、私の予定や都合を何も聞かないのだろうか。誘うならば、先に相手の都合を聞くものである。

「今週土曜は、ちょっと先約があって...」

智久のゴーイングマイウェイさが露呈された今、私は彼への興味を失いかけていた。

こちらにだって予定がある。「今週の土曜」は明後日だというのに、空いていると決めつけている。直近の週末の約束をしたいのなら、まずは何か気遣いがあっても良いはずだ。

そして次の一言が、彼の誘いには絶対に乗りたくない、とまで思う決定打となった。

「そっか、そうだよね。そしたら来週の水曜は?その日、僕はゴルフだからちょっと早めの時間から動けるかも」

貴方にとっては、早めに動ける日なのかもしれない。しかし私は会社員だし、平日早めの時間から動けるはずもない。

さっきそう言ったばかりなのに、この人は本当に人の話を聞いていないし、興味がないのだろうか。

「ごめんなさい、来週水曜も予定があって…すみません」

自分の都合で約束をしてくる人。

男性は時に強引さも必要ではあるが、こういった間違った強引さは全く必要ではない。

相手を思いやる気持ち、相手の都合も考える優しさ。

それがないと、そもそもデートに行く気すらしなくなる。

「あれ?もしかして、これって断られている?(笑)」
「まさかまさか!そんなこと無いですよ〜」

-もちろん、断っています。

心の中ではそう答えながら、私は笑顔で智久の自己中な誘いを断り続けた。

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