16日、ロシアワールドカップの大会3日目に行われたフランスvsオーストラリアは2-1でフランスが勝利を収めたが、一番の勝者はテクノロジーだった。

まず、この試合ではワールドカップ史上初めて、「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」を活用したPKがあった。

0-0で迎えた56分、スルーパスに抜け出そうとしたフランスのアントワーヌ・グリーズマンに、オーストラリアのジョシュ・リズドンが斜め後ろからスライディングする。グリーズマンはリスドンの足に引っかかって倒れたが、その直前にリズドンの足がボールを触っているようにも見えた。

プレーを後ろから見ていたアンドレス・クンハ主審はPKではないと判断。そのままプレーを流すが、24秒経過したところでプレーを止め、ピッチ横に置かれたモニターを確認する。その結果、プレーから1分31秒後に判定は覆り、フランスにPKが与えられ、先制点が生まれた。

さらにこの試合の決勝点は81分、ポール・ポグバのシュートが決まったものだった。だがこのときボールはクロスバーに当たって地面で跳ね返り、ゴールエリアのGKの手に収まった。2秒後、主審はこれをゴールと判定する。

副審はオフサイドポジションをキープするためにゴールラインからは遠く離れていた。人の目で確認するのならゴールの真横にいなければわからなかっただろうし、わからなければゴールと判断することはできない。ここでは複数のカメラでボールを捉え、果たしてゴールラインを割っていたかどうか判定する「ゴールライン・テクノロジー」が威力を発揮した。

VARもゴールライン・テクノロジーもなかった2010年南アフリカワールドカップなら、オーストラリアが1-0で勝っていてもおかしくなかっただろう。そう考えると、正しいジャッジのために試合が途中で止められ、約2分待たなければいけなかったのも納得できる(特にフランス人は)はずだ。もっとも、2分間の後に結局判定が覆らないという可能性もある。そのときは両チームの不満が爆発するかもしれない。

【森雅史/日本蹴球合同会社】