カブス・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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DLからの復帰を目指してブルペン入り「迷いなく投げていた」

 右上腕三頭筋の炎症で故障者リスト(DL)入りしているカブスダルビッシュ有投手が、12日(日本時間13日)にブルペンで投球練習を行い、首脳陣から称賛を浴びた。地元メディアによると、ジョー・マドン監督は「心強い」と安堵の表情を浮かべたという。8試合登板で1勝3敗、防御率4.95と出遅れた右腕だが、完全復活へ向けて一歩一歩、前に進んでいる。

 地元メディア「ジ・アスレチック」では、ダルビッシュの投球練習の様子をレポート。誰も復帰を急いでいる様子はなく、慎重に対応することが重要だと伝えている。まだ復帰時期は未定。開幕からの不調でシカゴメディアの見方は徐々に厳しくなっているものの、ダルビッシュ自身はカブスファンから温かい声をかけられることが多く、応援してもらっていると感じていることを明かしたという。

 カブスは現在、38勝27敗でナ・リーグ中地区2位。首位のブルワーズとは1.5ゲーム差だ。同じFA加入組のチャッドウッドも苦戦している中、着実に勝利を重ねている。それでも、名将マドン監督にとって、ダルビッシュの復調は地区制覇のために必要不可欠な要素だが、この日の投球練習を見て胸をなでおろした様子だ。

「素晴らしい。彼の投球はとても良かった。直球も制球も、変化球のスピンも素晴らしい。とても感心したよ。良い球が来ていたし、ちょうど狙ったところに投げていた。ブルペンで良い制球を見せた。単なるブルペン投球だが、楽にこれほど良好な投球を見せてくれたのは心強い」

 記事によると、指揮官はこう語ったという。さらに、エプスタイン球団社長が「とても良かった。彼のキャッチボールなどについての報告からは、今日のようなブルペン投球での仕上がりは予想していなかった。力強かった。迷いがなく投げていたように見えた。彼の投球をし、制球も本当に良かった。リラックスして投げていた。みんな、ユウ自身も、満足したと思う」と絶賛していたことも紹介している。

エプスタイン球団社長は焦らず「環境に慣れ、自己を確立する」

 エプスタイン球団社長は以前、FA選手が加入直後に苦しむことは決して珍しくないと話していた。ダルビッシュの能力に疑いの余地はなく、その考えは変わらないようだ。6年契約という長い期間を考えると、スタートで苦しんだとしても、その後に力を発揮してもらえれば問題はない。だからこそ、今はしっかりと状態を戻すことが重要だと見ている。

「ほぼすべてのフリーエージェントの選手がこのような経験をする。すぐに調子を取り戻すラッキーな選手もいて、その場合はそれほど大きな問題がない。しかし、ほとんどのフリーエージェントの選手は苦戦する。それは1か月かもしれないし、3ヵか月かもしれないし、シーズン全部かもしれない。しかし、そのうち調子を取り戻し、新しい普通の感覚を身につける時がやってくる。環境に慣れ、自己を確立する。球界を見渡せば、今年こうしたことを経験しているのは彼だけではない」

「球団として、可能な限り彼が快適に感じられるようにサポートしたい。今日は素晴らしかった。彼はここまで車で来る必要はなかったんだ。待機して(次の遠征地である)セントルイスでチームに合流することもできた。しかし、彼は予定を前倒しにした。調子が良いと感じていて、ここに来て投げたかったんだ」

 シカゴから車で1時間半ほどのところにあるミルウォーキーでチームに合流し、投球練習を行ったダルビッシュ。同社長は記事の中で、そんな右腕の姿勢も称えている。

 復帰はオールスター後になる可能性があるとの報道もあったが、もっと早く戻ってくることも十分に考えられる。新天地で本来の姿をしっかりと見せたいところだ。(Full-Count編集部)