アメリカの小説家ジェームズ・ダシュナーが2009年に発表したSF小説を映像化したサバイバル映画「メイズ・ランナー」シリーズ3部作がいよいよ完結を迎える。

6月15日(金)に公開される『メイズ・ランナー:最期の迷宮』を観る前に、いま一度、これまでの物語を振り返り、準備万端で最後のサバイバルに挑みたい。

「メイズ・ランナー」とは

原作はアメリカの作家ジェームズ・ダシュナーが2009年に発表したSFヤングアダルト小説。ヤングアダルト(YA)とは日本のいわゆるラノベ(ライトノベル)のこと。本国アメリカでは160万部以上の売り上げを記録、全世界55カ国以上で出版されている人気ベストセラー小説だ。3部構成となっていて、現在、本国アメリカでは3部作に加え、その前日譚を描いた2作品が刊行されている。

映画化作品も原作同様3部構成で、巨大迷路が囲む広場に送り込まれた記憶喪失の少年たちが、迷路からの脱出と一連の謎の解明に挑む姿を、映画オリジナルの脚色を交えて描く。全シリーズの世界興行収入は10億ドルを超え、なお更新中の大ヒットシリーズとなった。監督はシリーズ3作を通してウェス・ボールが務める。

原作にはシリーズ特有の用語がたくさん登場するが、ここでは映画版のシリーズを通して登場する用語を簡単に紹介してから、過去作品を振り返ろうと思う。

「グレード」・・・第1ステージの舞台となる壁に囲まれた広場のこと。

「グレーダー」・・・グレードにある集落に月に一度、生活物資とともに送られてくる若者のこと。全員記憶を失っている。

「ランナー」・・・脱出のため偵察にメイズに入る俊足のグレーダー。

「グリーバー」・・・メイズ内に潜む夜行性の怪物。

「フレア(ウイルス)」・・・巨大な太陽フレアが原因で発生した感染病で治癒は今のところは不可能。

「クランク」・・・フレアウィルスに侵され凶暴化した人間たち

「WCKD(ウィケッド)」・・・World In Catastrophe:Killzone Experiment Departmentの略。シリーズを通し主人公たちと敵対する「世界災害対策本部」と称する謎の巨大組織。

『メイズ・ランナー』(2014)

青年トーマスが目覚めると、そこは一見のどかな見知らぬ場所。同じような年代の自分と同じく記憶を失った少年ばかりが、月に1回送られてくる物資を頼りに平和で前時代的な暮らしを営んでいた。

舞台となるのは四方を高い壁に囲まれた集落。壁の向こうには時間ごとにルートを変える巨大迷路が立ちはだかっている。その壁には昼間は開き、夜は閉じる巨大な扉がいくつか設置されていて、中には夜行性のヤバイ怪物も潜んでいる。

これまで秩序正しく平和に暮らしていた少年たちだが、トーマスの登場によりその生活は一変。保たれていた均衡は崩れ、派閥やいさかいが頻発する中、少年たちはその巨大迷路から脱出すべく、行動に出る。

1作目の目的は「巨大迷路からの脱出」。閉塞感のある集落で繰り広げられる少年たちの友情と対立は、現在3回目の映画化が決定しているウィリアム・ゴールディングが1954年に発表したサバイバル小説の金字塔「蠅の王」を彷彿とさせるが、そこに疾走感が加わり、息もつかせぬ、スリリングな113分が展開する。

『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』(2015)

2作目の舞台はサブタイトルにもあるように砂漠。WCKDという謎の組織が自分たちをこんな目に遭わせたということを知ったトーマスをはじめとするニュート、ミンホ、フライパンら若者たち。

迷路から脱出した彼らはとある組織に保護され、他にも自分たちと同じように巨大迷路から生き延びた若者たちがいることを知る。彼らは施設で快適な暮らしを過ごすが、その施設もまたWCKDのものだったという衝撃の事実。

WCKDが人類を襲った「フレア」という感染病の治療薬開発のため、若者たちに人体実験を行っていることを知った彼らは、施設からの脱出を試みる。施設の外は灼熱の砂漠が広がっていた。

今作の目的は「WCKDに対抗する術を見つける」こと。トーマスたちはWCKDと対立する反乱軍・ライトアームの拠点を目指し過酷な旅を続けるその道中で、フレアに侵された感染者・クランクたちの襲撃に遭う。原作とは一味違ったゾンビ様相で疾走する感染者たちとの遭遇シーンは『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)といったゾンビ映画の趣。前作に引き続き、疾走感たっぷり。

登場人物たち

ここで過去作品の主要人物たちをもう一度おさらいしてみることにする。

トーマス/ディラン・オブライエン

記憶をなくして巨大迷路のそびえるグレードに送り込まれたシリーズを通しての主人公。正義感と好奇心が強く、向う見ずな性格でお人好し。WCKDの人間だった記憶を取り戻したものの、グレーダー達側に留まり、仲間たちを率いて物語を紡いでいく。

テレサ/カヤ・スコデラーリオ

シリーズを通してのヒロイン。第1作目でトーマスに次いでグレードに送り込まれた唯一の女性。トーマスと同じくWCKD側の人間で、数々の裏切り行為を行う。

ニュート/トーマス・サングスター

グレーダーの中心人物の一人で、シリーズを通して人気のキャラクター。冷静沈着なグレードでのサブリーダー。足を負傷しランナーを引退した。

ミンホ/キー・ホン・リー

彼もまたグレーダーの中心人物の一人で、シリーズを通して人気のキャラクター。グレード一番の俊足で行動力溢れるランナーのリーダー。正義感が強く頼れる存在。

ギャリー/ウィル・ポールター

憎まれ役。グレードの秩序をもっとも重んじるビルダー(大工)のリーダー。秩序を乱すトーマスを敵視し、脱出計画にも反対。脱出直前に感染。

フライパン/デクスター・ダーデン

グレードでの料理係。1作目にはそれほど活躍はしていないものの、2作目からその陽気なキャラクターで周囲を和ませ、活躍を見せるようになる。

ブレンダ/ローサ・サラザール

2作目、砂漠の施設で出会った少女。度胸と戦闘力を供え、心強い味方となる。トーマスをライトアームと引き合わせ、感染するもトーマスの力によって回復し、行動を共にする。

ホルヘ/ジャンカルロ・エスポジート

ブレンダを案じサポートし続ける父親的存在。ブレンダと共にトーマスたちをバックアップする信頼のおける人物。

ヴィンス/バリー・ペッパー

レジスタンス集団「ライトアーム」のカリスマリーダーで、救出した若者たちを保護している。トーマスたちと手を組みWCKDと戦う。

エヴァ・ペイジ/パトリシア・クラークソン

WCKDで治療薬の開発をしている最高位ドクター。1作目で自らの死を偽装した。

ジャンソン/エイダン・ギレン

WCKDの職員。秘密警察のように執念深く少年たちを追い詰める、冷酷で野心に溢れた憎き悪役。

『メイズ・ランナー 最後の迷宮』(2018)

そして今回公開となった完結編。グレーダーたちの最後の生き残りであるトーマスらは、前作で知り合った新たな同胞たちと共に捕えられた仲間の救出へと向かう。今回の舞台は何重もの高い壁に囲まれた隔離地域「ラスト・シティ」、監督曰く「ガラスと鋼鉄の世界」。

多くの世界がそうであるように「持つ者」と「持たざる者」に分かれた世界で、富裕層は安全な都市部に、貧困層は都市から離れたスラムで、危険レベルこそ違えどどちらもフレアウィルスにおびえて暮らしている。そしてその周囲には感染者クランクたちの群れ。いくつものレジスタンス組織が都市内に入ろうと日々攻防を繰り広げている。その中心にそびえ立っているのがきらびやかなWCKDの研究施設だ。

壮大な物語のフィナーレとなる今作は、今までずっとWCKDに翻弄され続けたグレーダーたちによる反撃のターン。

トーマスたちはWCKDとの対決に勝利することはできるのか、フレアの治療法は完成するのか。物語はいよいよ核心に、そして結末へと加速する。

タイトルに使われている「迷路(メイズ)」と「迷宮(ラビリンス)」。ところが厳密に言えば「迷路」と「迷宮」は、似て非なるもの。実は両者はほとんど正反対の要素を持っている。「迷路」は分岐する道があるのに対し、「迷宮」は一本道。

一見複雑に分岐し、絡み合ったいくつもの道筋を奔走していた若者たちの辿る道は、実は曲がりくねった一本道なのかもしれない。その道は、ただひとつの真実へと続いている。

いよいよ終焉を迎える「メイズ・ランナー」シリーズ。復習を万全に、劇場でご覧ください。

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