上野高広選手(TEAM VERTEX DIGICAM)/撮影:栗原祥光

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平日は編集者、休日はクルマ好きが高じてモータースポーツ取材をする栗原です。

【写真を見る】「ボヌールマスヤ」のパン。メロンパン130円、ホットサンド291円、黒糖ラテ50円/撮影:栗原祥光

先週末は、ドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」が開催18年目にして初めて北海道の地に上陸ということで、帯広にある「十勝スピードウェイ」に行ってきました!前編では予選日をレポートしましたが、後半は決勝レースについてです。

■ 突撃!ジモト民の朝ご飯

決勝日の朝は、前日からの雨はすっかり上がったものの、気温は10度と肌寒い陽気。ホテルの朝食ではなく、ジモトの人が食べているものを味わいたいと思い、朝7時からオープンしている「ボヌールマスヤ」というパン屋に向かいました。

工場併設の店舗であるボヌールマスヤは、焼きたて、揚げたて、作りたてのパンが楽しめます。私は7時30分頃に訪れたのですが、店内は地元の人で大賑わい!パンに使う小麦は十勝産100%で、惣菜系から菓子系まで店内には数多くのパンが揃っています。

その中から「輝くメロンパン」(130円)と「厚切りベーコンのホットサンド」(291円)を買い求め、店内のイートインスペースで頂くことに。ちなみにコーヒーは1杯50円で、ワンコインモーニングが完成。焼きたてパンをその場で味わえるなんて、なんと贅沢な朝食なのでしょう。

パニーニに似たホットサンドは、外はカリッと中はもちっとした食感のパンに、トマトソースと大葉、ベーコンをはさんだもの。一口ほおばると、濃厚なトマトソースの果肉感が口いっぱいに広がります!そこにしつこさのないベーコンと、薫り高い小麦がまざり、都内ではちょっと食べたことがない美味しさ。

さらに感動したのが130円のメロンパン。軽い食感のビスケット生地と、ふっわふわのパン生地のバランスが見事。生地に相当バターを練り込んでいると思われる味わいで、まさに至福の一品。こんなに美味しいメロンパンは食べたことがなく、感動のあまり、知り合いのD1グランプリスタッフにおすそ分けしました。

■ 好天に恵まれた決勝日は大賑わい!

決勝日ということもあり、この日の十勝スピードウェイは大賑わい。コースサイドには幾重もの人垣ができました。

訪れた方にお話を伺うと「D1ってよくわからないのです」という方が意外と多くてビックリ。家族連れの中には「子供が車好きで。コンビニでポスターを見てやってきました」という方も。また、十勝地方の人が多いのかと思いきや、室蘭から車で6時間かけて来た方もいらっしゃいました。

■ 午前中の単走決勝は川畑真人選手が優勝

レースは午前中、単走決勝が行われました。観客の熱気を受けて、選手たちも熱い走りで応えます。

日比野哲也選手(K'SPEC SunRISE Racing)は1コーナーをドリフトしながらリアタイヤから入っていく「ケツ侵入」を披露!

2コーナーまでドリフトを維持することはできなかったのですが、その走りに場内は大盛り上がり!

そして室蘭出身の上野選手がタイヤスモークをモクモク出しながら96.23点を出して暫定トップに立つと、場内は北海道のヒーローに湧きあがります。 

この日、強さを見せたのはTOYO TIRES GLION TRUST RACINGのGT-R。

1000馬力近いパワーを出す2台のGT-Rのうち1号機の末永正雄選手が97.49点でトップに立つと、2号機でエースの川畑真人選手が、この日の最高速である182km/hをたたき出し、1コーナーへ向けて豪快なドリフトで侵入。振り返すセクター5の点数は伸びなかったものの、97.60点でトップ。単走3連勝を決めました。

3位には、末永正雄選手の兄で、帯広周辺に住んだことがあるという末永直登選手が入りました。

■ ピットウォークは大盛況!

お昼には、選手やレースクイーンに近づけるピットウォークが開催され、サインを求める人たちで大盛況!

目をキラキラさせながら選手にサインを求める姿が印象的で、選手たちも握手やサイン、記念撮影に大忙し。でも楽しそうでした。

■ 昼は「ご当地」ポテトチップス

その間、私は昼食をとることに。弁当を買い忘れ、また豚丼一つに30分並ぶことに懲りたので、この日は更別村観光協会が販売していたポテトチップスを購入。

更別村で取れたジャガイモを米油で揚げたというこのポテトチップス。口当たりはとても軽く、コーラとぴったり。味は薄味でしょっぱくないのも嬉しいです。ポテトチップスまで美味しいとは、北海道恐るべし!

■ 北海道出身の上野が大活躍!横井選手が2連勝

午後は決勝トーナメント。2台のマシンが並んで走り、その距離と姿勢を競います。近い距離で走りますから、ちょっとしたミスで接触ということも。

ルールにより単走、追走を通じて使えるタイヤは3セットのみで、タイヤマネージメントが優勝の鍵となります。

どの試合も見応えがあったのですが、特に印象的なのはベスト4戦から。その中でも上野選手と末永直登選手は、お互いにタイヤの溝がほとんど残っていない状況の中、ギリギリのコントロールで再戦にまでもつれる展開。

その中で上野選手は走行後、スタート地点へと戻ってくる度に観客に手を振るなどファンサービスをされていました。結果としては末永選手が決勝進出しましたが、この日の上野選手はとても輝いていました。

準決勝のもう一組は、川畑選手と横井昌志選手。横井選手は後追いから川畑選手のインにピッタリ入って2ランクのアドバンテージを獲得し勝利。

決勝はタイヤがほとんど残っていない末永直登選手と、若干ではあるが余裕のある横井選手。誰もが横井選手が有利だと思ったのですが、末永選手が2コーナーで相手のインに入る走りを見せてアドバンテージを取るなどをして、再戦にもつれこみます。

再戦はお互いタイヤの溝がなく、両名とも脱輪。その中でピッタリとつけていた横井選手が優勝となりました。

3位は決定戦で上野選手を引き離した川畑選手が入り、奇しくも前戦オートポリスと同じ結果となりました。

■ 「北海道のファンは熱い!また来たい」

D1グランプリではレース後に上位入賞者のインタビューが行われます。

選手たちに北海道初開催について話を伺うと、横井選手は「北海道で行われると聞いた時から、今日を楽しみにしていました。北海道の人たちは、とても熱くて本当にD1が来ることを楽しみにされていたんだなと、すぐに感じました」とコメント。

また、以前仕事の都合で十勝に住んでいたという末永選手は「ここは何度か走ったことがあるのですが、小さい方のコースでして(笑)。その時の仲間がやってきてくれて嬉しかったし、本当に北海道の人は車好きが多いんですよ。だから機会があればまた来たいです」、川畑選手も「みなさん目をキラキラさせながらいらっしゃって。本物のファンだな、と思いました」と好感。

会見後には「さぁ北海道の酒とメシを食べるぞ!」という言葉も聞かれ、選手たちも楽しまれたようです。

大盛況に終わった北海道大会。主催者側に話を聞くと「6月開催するにあたり、雨の心配が少ない地方(北海道は梅雨入りしない)ということで、北海道を選びました。やったことがない土地で、入場者数などが心配でしたが、蓋をあけてみると多くの方が訪れ、しかも盛り上がったことがが何よりうれしいです」と安堵の表情。

決勝日は村長も会場を訪れ初めて見るドリフトに大興奮!これは来年も十勝で行われるかもしれません。

18時過ぎにサーキットを出て、急ぎ空港へ向かい、レンタカーを返却し、19時10分発の羽田行きの飛行機に乗り、夜10時に自宅に到着。こうして一泊二日の十勝ツアーは幕を閉じました。

グルメもドリフトも楽しめたD1グランプリ第4戦。ちなみに旅費は格安航空券とホテルで約3万2000円。レンタカーがガソリン代込みで約1万円、D1グランプリの入場料は2日間通しで3900円。食費込み約5万円でグルメとドリフトを堪能しました。来年も開催されることを期待したいです。(東京ウォーカー(全国版)・栗原祥光)