三船さんの侍役や画力に衝撃を受けたと語るAKIRA

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 日本が生んだ世界のスター、三船敏郎さんの生誕100年を2020年に控え、今年は三船作品のDVDや映画、書籍などが数多く発表され、改めて三船敏郎という役者にスポットが当たっている。現在公開中のドキュメンタリー映画『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』もそのひとつ。同作品で日本語ナレーションを務めた俳優、パフォーマーでもあるEXILEのAKIRAが三船さんの魅力を語った。

 AKIRAは、三船敏郎という往年の銀幕スターのドキュメンタリー映画で、自身がナレーションを務めることの意義について明かす。

 「三船さんは日本の映画界を築いてこられた偉大な俳優で、国内外に愛された。そういう方が存在したということを、われわれの世代、さらに次世代に伝える役割を求められたのだと思う」

 同作品は『七人の侍』『蜘蛛巣城』『用心棒』『赤ひげ』など、三船さんが出演した時代劇作品に焦点を当て、貴重な映像資料や共演者、家族らの話などから、その生涯と世界に影響を与えた「サムライ映画」の進化に迫るドキュメンタリー作品。海外版ではキアヌ・リーヴスがナレーションを担当。日本語版の制作にあたっては日本語ナレーション監修落合賢と何度もディスカッションして、スティーヴン・オカザキ監督にも確認してもらったという。

 また、今回のナレーションは、いままでAKIRAが携わってきた作品の中でも最高のプレッシャーを感じたという。

 「三船さんの人生の語り部として、その静かで広くて優しい、それこそ日本男児の高潔さと不動の精神、いわゆる侍スピリットを感じていただけるように。かなり神経を使いましたが、ご子息の三船史郎さんが喜んでくださって報われました」

 映画には、その映画プロデューサー・俳優の三船史郎をはじめ、共演者だった香川京子、司葉子、また、スティーヴン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシら三船さんに魅せられた映画監督たちのインタビューなども収録されている。

 もちろんAKIRA自身も三船さんの演技に影響を受けた一人だ。最初に観た三船作品は『七人の侍』。

 「中学時代、地元のレンタルビデオ店で『日本の名作』として飾られていて、ジャケットとタイトルだけで借りました。中学生には難しく何もわからないし、まして白黒映画……。でも、エネルギッシュな三船さんの侍役とか、画力にものすごく衝撃を受けました」

 その後、特に影響を受けたのは『蜘蛛巣城』だという。三船さん目がけて矢が放たれる有名なシーン。撮影で実際に矢が放たれたというエピソードだという。

 「CGや他の技術で安全第一の今の時代では考えられません。あのシーンは何度観ても新鮮さを感じる。三船さんも(役者として)背負うものがあるからこそ、監督への忠誠心を込めて撮影に挑まれている。多くの作品や背景を知るにつれ、三船さんへの尊敬の念が高まりました」

 また今回の作品を通じ自身も感じるところがあったという。

 「三船さんの人柄、ブレない精神、理屈ではなく行動や挑戦する姿勢を世界は求めていたんだとわかった。自分も強い意志やスタイルを持つことによって、1つ1つの現場で成長できるのではないかと思った」

 実はAKIRAのスマートフォンの待ち受け画面には、「お守り代わり」に映画『用心棒』の台本の写真が使われている。特別に見せてもらった三船さんの台本で、ご本人のメモも書きこまれている。

 「几帳面で丁寧に扱われていて、三船さんの人柄がわかるような台本。自分がだらしなかったり、変な芝居をしたりしたときに待ち受け画面を見ると、身が引き締まり、パワーをいただけるようです」

 そして、三船敏郎という役者、その姿を伝えてくれる今回の作品の魅力について改めて感じたことがあるという。

 「己を貫き通す男の生き様、強い信念を持って突き進む姿勢。理屈や言葉以上に大切なものを学ばせてくれる作品。ぜひ多くの人に観ていただき、語り継いでほしい」

(取材・文:岩崎郁子)