深夜の山中に置き去り?英語の通じないトルコで、不幸の三段重ね

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 旅行にはトラブルがつきもの。絶望するようなできごとも、あとで振り返ればいい思い出に……ならない場合もあるようです。ライター・イラストレーターで少女漫画コンシェルジュの、和久井香菜子さんに「旅行のヒサンな話」を尋ねてみました(以下、和久井さんの寄稿)。

◆英語がまったく通じない状態でのバス旅
 トルコでのバックパッカー旅は本当に辛かったです。

 トルコでは、英語がわかる人とわからない人の差がけっこう激しいんです。イスタンブルなどの観光地では英語やドイツ語(トルコではむしろドイツ語がわかる人の方が多かったりします)、日本語を喋る人がたくさんいますが、少し田舎に行くと、その状況は一変します。

 トラブゾンという街からアディヤマンという山間の街までバスで移動したときのこと。

 運転手も、バスガイドの男性も、英語がまったくできませんでした。まあでも、バスに乗って降りるだけのことなので大丈夫かなと思っていたんです。休憩時には時間だけ確認すればいいし。

※以降、食事中の方はご注意ください※

 しかしその12時間ほどのバス旅の間に、体調を崩してしまったんです。パーキングエリアで食事を取り、その後バスに乗ったら、猛烈に気持ちが悪くなり……バス内で食べたものを戻してしまいました。かろうじてビニール袋に収めたので大惨事には至りませんでしたが、本当の大惨事はその後ですよ。

 バスが次のサービスエリアに到着したとき、汚物を持ってトイレに入ったんです。

 サービスエリアといっても周囲は山、深夜だったので明かりひとつなく真っ暗闇です。当然のごとく店舗もシャッターが閉まっていて、ベンチには浮浪者のような人たちが座り込んでいました。

 なんとなく怖いし、早くバスに戻ろうと思いトイレから出てくると、ドアの向こうを、ブォーーーと、バスが横切って行きます。

 おや……、なにか見たことのあるデザインのバスだな……あれは乗っていたバスかな? 場所を移動しているだけかしら?

 とか考えているうちにも、止まる気配もなくバスは走っていきます。

 他にそれらしいバスは停車していません。間違いなく、自分が乗っていたバスが走り出して、パーキングエリアを出ていこうとしているんです。

 ちょっと待て、マジかよ!!

 もう半べそでバスを追いかけました。

 ゲロを吐いた直後に全力疾走です。なんの罰ゲームですか?

 しばらく追いかけていると、バスが停車しました。……助かった!

 深夜の、山間のパーキングエリアなんかに置いて行かれたら、なにが起こるかわかったもんじゃありません。マジで死ぬかと思いました。

 バスに乗り込むと、運転手がガイドの男性を叱っています。発車前に乗客のチェックをしろとかなんとか(言ってるような気がする)。

◆やっと着いたホテルで、トルコ人の優しさに触れる
 翌朝、街に到着すると、現地のツアーコンダクターみたいな人がやってきました。

 そしてファイルを片手に「ホテルは決まっているか」「行きたい場所はあるか」と聞いてきます。しかし超絶に不機嫌だった和久井は、返事もせずに黙っていたんです。そうしたら、「あなたはとても疲れている」と言われました。

 ああ、疲れているとも!! ゲロ吐いた直後に走ってるバスを追いかけて全力疾走してみろよ、誰だって疲労困憊だよ!

 その後、そのまま体調を崩し、ホテルで寝込んでいたんです。そうしたらノックもせずに男性スタッフが入ってきて「大丈夫か」と聞いてきました。女の部屋に入るのにノックくらいしろよと思いましたが、彼は和久井の手を握ってこんな風に言うんです。

「君はひとりで海外にいて、家族も側にいないのに、体を壊したら、さぞかし淋しいだろう。僕のことは家族だと思っていいからね。下に朝食を用意したから、大丈夫なら降りておいで」