故アンリ・ジャイエ氏が醸造したヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ・クロパラントゥのマグナムボトル。スイス・ジュネーブで(2018年4月27日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】スイス・ジュネーブで6月17日、伝説的なフランス人ワイン醸造家、故アンリ・ジャイエ(Henri Jayer)氏が手掛けたブルゴーニュワインの最後のオークションが行われる。予想される落札総額は、最高1300万スイス・フラン(約14億5000万円)だ。

 ジュネーブに本社を置くワインの競売会社バゲーラ・ワイン(Baghera Wines)による競売は、市内にあるレストランで行われる。出品予定となっている計1064本のワインの中には、世界で最も高価なものの一つである「ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ・クロパラントゥ(Vosne-Romanee Premier Cru Cros-Parantoux)」も含まれている。

 1064本中、855本は標準サイズ(750ミリリットル)で、209本はマグナムボトル(1500ミリリットル)。1970〜2001年に造られたもので、「ピノ・ノワール(Pinot Noir)の王様」として広く知られたジャイエ氏個人のワインセラーに保管されていた。

 AFPの取材にジャイエ氏の娘リディ(Lydie Jayer)さんとドミニク(Dominique Jayer)さんは、「父が個人的に保管していたこれらのワインは父のラボそのもののようなところがある…長い年月をかけて熟成していく様子をみることができるから」と電子メールで回答。

「オークションへの出品はいたって自然だった。すべてのワインを私たちだけで飲むことはできない。ワイン好きの方々に購入してもらい、父をしのびながら飲んでほしい」と話した。

 2006年に84歳で死去したジャイエ氏は1970年代、自身が手掛けたワインが世界最高峰クラスに格付けされたことで一躍有名になった。

 個人的に親交のあったスイス人のワイン評論家ジャック・ペリン(Jacques Perrin)氏は、年月を重ねるうちにジャイエ氏は「(フランスの)ブルゴーニュ(Burgundy)の顔と言うべき存在になった」とAFPに述べる。

「(ジャイエ氏のワインには)スレンダーさ、優れたストラクチャー、そして芳醇(ほうじゅん)な香りのフィネスと、ピノのあらゆる長所が詰まっている。その特徴を保つために彼はどんなことでもした」と、ペリン氏は説明した。

■「ワインは人と分かち合うもの。大事に取っておかないで」

 ジャイエ氏のワインが、業界で引く手あまたとなり、時に桁外れの値が付いたのは、こうした優れた品質からだ。

 オークションで最も高値でやりとりされるワイン──1978〜2001年産のヴォーヌ・ロマネ・クロパラントゥ(Vosne-Romanee Cros-Parantoux)マグナムボトル15本のセット──の予想落札額は、28万〜48万スイスフラン(約3100万〜5300万円)となっている。

 今回予想されている落札総額は、670万〜1300万スイス・フラン(約7億4000万〜14億5000万円)。それぞれのワインには、トレーサビリティ(流通経路)と真正性を保証するラベルが貼られている。

 しかし、ジャイエ氏の娘たちが落札者に望むのは、ワインを貯蔵室に寝かせたまま後生大事に取っておくことではない。ボトルを開けて味わうことだ。

 2人は「ワインの味わい方を知っている人の貯蔵室に入ることを願うばかり」としながら、「ワインは人と分かち合うものであることを忘れないでほしい。父が造ったワインは何よりも、飲んで楽しむためのものだったのだから」と続けた。
【翻訳編集】AFPBB News