打ち上げられたペットボトルなどがマイクロプラスチックと呼ばれる極小のごみになっていく

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間もなく夏本番。水辺のアクティビティを楽しむ人も増えているが、その一方で、ある問題が美しい海に影を落としている。アウトドアライターのPONCHO氏が、日本、そして世界の海に迫る危機を解説してくれた。

◆日本は「ごみのホットスポット」だった!

「ビーチコーミング」というものをご存知でしょうか? 海岸に打ち上げられた漂着物を拾い集め、観察する遊びです。なかには拾い集めたものでアート作品を制作する人もいます。

 漂着物はさまざまで、貝殻・石・流木などの自然物のほか、漁具や陶器片、空き缶などの人工物もあります。なかでも、波に洗われて角が取れて丸くなったガラス、いわゆるビーチグラスやシーグラスと呼ばれるものは宝石のような美しさがあると人気で、高値で取り引きされることもあります。漁で使われていたガラス製の浮き球は土産物屋でも販売されているので、旅行の際に見たことがある人も多いのではないでしょうか?

 しかし、それらの人工物は投棄、廃棄されたゴミでもあります。日本でも漂着物の多い島や海岸を持つ自治体では、収集や処分の費用が大きくなり、近年問題となっています。

 さらに今年に入ってから盛んにニュースで報じられているのが、海洋プラスチックごみです。レジ袋やペットボトル、お弁当の容器が主なもので、誤食した海鳥やウミガメ、魚が多く見つかっており、深刻さが増しています。

 海に流出したプラスチックごみは、漂流中、そして海岸に打ち上げられたあと、紫外線を浴びて劣化していきます。そうして波に洗われているうちに、5ミリ以下の小さなプラスチック=マイクロプラスチックと呼ばれるものになるのです。

 そのマイクロプラスチックは、プランクトンや小魚の体内に取り込まれ、食物連鎖の果てに生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。さらに、マイクロプラスチックが体内に蓄積した魚を人が食べることで、人体にも影響が出るとも……。

 しかし、人がマイクロプラスチックを含んだ魚を食べても、その多くは排出され、マイクロプラスチックに有害物質が添加していたとしても大きな影響は出ないと話す研究者もいます。まだ研究段階でハッキリとした影響はわからないというのが現状のようです。

 人体に及ぼす影響はさておき、「海洋ごみ問題に対する日本の取組(東京都環境局)」によれば、’15年時点で日本周辺海域では北太平洋の16倍、世界の海の27倍にも及ぶ、マイクロプラスチックが存在しています。「マイクロプラスチックのホットスポット」であるという状況なのです。

◆規制が進む欧米に比べ、遅れをとる日本

 こうした海洋プラスチックごみ、マイクロプラスチックの現状を踏まえて、欧米ではプラスチック使用の禁止や規制が進んでいます。今年5月にはEUが、一部の使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する新たなルールを提案しました。

 その対象はストローやナイフ、フォークや皿、風船に取り付ける棒など。プラスチックを使った釣り具や漁具については、製造業者にごみ収集・処理費用を負担させるそうです。加盟国は’25年までにプラスチックの飲料ボトルの90%を回収することが義務づけられます。

 これに先んじて米カリフォルニア州マリブ市では、6月1日から飲食店でプラスチック製ストローを提供することが全面的に禁止されました。また、カリフォルニア州では’16年秋から、使い捨てビニール袋(レジ袋)の配布禁止を決めています。

 スターバックスコーヒーが本社を置くシアトル市では、今年7月1日からレストランやカフェ,その他の食品サービス業での使い捨てプラスチックストローとカトラリー(ナイフ・フォーク・スプーン)を禁止するそうです。これは1日に5億本ものストローが廃棄されているアメリカの現状を踏まえたものです。