弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は本藤祥子さん(仮名・37歳・証券会社勤務)です。

「始めまして、今日は3歳年上の兄とその妻について相談がありメールしました。

今から1か月前、兄の奥さんが、3歳の甥を連れてどこかに行ってしまったのです。いわゆる”連れ去り別居”です。

結婚10年になる兄夫婦は、私も住む実家(両親が建てた二世帯住宅)に住んでいました。5年ほど前から夫婦関係がぎくしゃくし始め、甥っ子が生まれた後もそれは続き、大ゲンカをすることもありました。夫婦仲が悪い原因は、兄の奥さんの浪費です。毎日のようにどこかに遊びに行ったり、服やバッグを買ったりして、兄はその都度注意していました。

そんなある日、兄が仕事から帰ったところ、家がもぬけの殻。3歳の甥と義姉の荷物だけがなくなっていました。

両親も私も甥っ子をかわいがっていたので、青天の霹靂でショックすぎます。

義姉は専業主婦をしており、少々不安定なところがありました。最近は、近所にも聞こえるほどの言い争いに発展することがあり、夫婦仲がそこまで悪くなっているとは思いませんでした。兄はいわゆる高学歴の商社マンで、理想がとても高いです。ちょっと女性に対して高圧的に出る所はあるのですが、基本的に心が優しいいい人で、家族を守ろうとしていました。

その後、義姉から離婚届が送られてきたのですが、兄が応じなかったところ調停になりました。調停委員の人と話をしたところ、やってもいないDVや、転んだときのケガの写真を”兄に暴力を振るわれた”など言っているようです。兄はカッとなって、“そんな事実はない!”と怒鳴ってしまったようです。

その後、兄は義姉の実家の新潟県まで行ったのですが、両親は居留守を使っているのか出てきません。義姉は都内に住んでいるようなのですが、新たな恋人ができていたらどうしよう……と甥の無事を祈る日々です。

母親と一緒だからといって安心できない時代になっているからこそ、兄はもちろん、私達は疲弊しているのです。

理想は義姉と甥で家に戻ってきてくれることですが、せめて甥だけでも帰ってきてほしい。それもダメなら、離婚に際して面会ができる権利を持ちたいと思っています。このような場合、どうすれば兄に優位に物事を進めることができますでしょうか。アドバイスをお願いいたします」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

今後、お兄様ができることとしては、裁判所の調停制度を利用して、子どもとの面会交流を求めた調停を申し立てることや、このまま婚姻生活を続けたいと望まれているのであれば、夫婦関係調整調停(円満)という調停の申立が考えられます。

これは、すでに行なわれている離婚調停と併合して、話し合いの対象事項に加えられる形で進められます。

また、子を連れ去られたという認識でいらっしゃるならば、子の監護者指定、子の引き渡しの審判を家庭裁判所に申し立てることも考えられます。

これまでの夫婦関係を踏まえ、今後の展望や執りうる手続との関係を総合的に判断する必要があると思うので、上記手段の選択の是非や,見通し等まではここで回答することは困難です。

すでに調停が行なわれており、裁判所の手続になっていることや、かなり相手方との意向の食い違いがあるようですから、お兄さん自身が対応に苦慮されている点を弁護士に相談されたら良いと思います。依頼するかはその後に考えればよいので、法的アドバイスや手続のアドバイスを受けて、感情的になってしまうところを冷静に検討していくようになさったら、次に進める可能性があります。

実家のガレージに置いてある甥っ子の自転車を見るたびに、心配になるとか……。



■賢人のまとめ
専門家による法的アドバイスや手続のアドバイスを受けて、冷静に対応を。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/