「僕、昔は芸能活動をしていたんですよ」

「へぇ〜、お芝居とかやられてたんですか?」

「いえ、ジャニーズで歌って踊ってました」

 その風貌と発言の内容にあまりにもギャップがあり、理解するまでしばらく時間がかかった。

 彼の名は山中拓磨。志茂田景樹や電撃ネットワークが所属する芸能事務所BBEに入社したばかりの32歳マネージャーだ。ジャニーズの長い歴史には、三枚目キャラも数多く存在するが、それにしてもひどすぎないか。

「当時はいまと違ってガリガリに痩せてたんですけどね……でも、顔は変わらないですよ(笑)。

 オーディションでは亀梨(和也)くんと一緒でした。彼はそのときからオーラが凄くて、ひときわ目立っていましたね。ジャニーさんがすぐに『YOUはステップが軽いよね。残っちゃいなよ』と声をかけ奥の部屋へ。つまりは “合格” ということです。

 次に、亀梨くんの隣にいた僕にもジャニーさんが一言、『YOUも残っちゃいなよ!』と。突然のことでしたが、それで僕もジャニーズに入所することになりました」

 12歳から20歳までの8年間ジャニーズ事務所に所属し、ジャニーズJr.として、V6やKinKi Kidsのバックダンサーを務めていた山中。デビューのチャンスも一度あったという。

「ジャニーさんから直接電話があったんです。『今度バレーボールでユニットやるから、頭に入れといて』。意味がよくわからず、母がバレーをやってるからかな、少し練習しておこう、ぐらいに思っていたのですが……それが、NEWSが結成されるときでした。

 ちょっとその気になっていたのですが、2日後にまたジャニーさんから電話があって、『YOUやっぱNEWSじゃないわ』と。その後チャンスは訪れず、しばらく活動を続けていたのですが、20歳のときにやめさせてもらいました」

 コンサートなどに出演するなかで、スタッフの仕事に興味を持ち始めた山中は、事務所をやめるとき、ジャニー氏に「これからは裏方をやりたい」と伝えた。ジャニー氏は「わかった」と一言だけ答えたという。

「今はものまね芸人やグラドルのマネージメント、それに、お世話になっている人たちをつなげるキャスティングの仕事をしていて、充実しています。

 ジャニーズのメンバーや関係者の方たちにも、現場で声をかけさせていただくことがあります。いつか自分が手がけるタレントが、亀梨くんのような売れっ子になれば、と日々精進しています」