小豆は季節によって水につける時間を変えるこだわりぶり。昔は夏場の塩分補給としても用いられていたのだとか

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浅草の老舗喫茶「デンキヤホール」には、ほかにも100年超えのメニューがある。「ゆであずき」(500円)だ。メニュー名から、おしるこ風のものを想像していたが、いい意味で予想を裏切られた。耐熱の背が高いグラスに注がれているのは、温かい小豆のゆで汁。この汁を飲みながら、付属のスプーンで沈んだ小豆をすくって食べる。控えめな甘さの中にほんのりとしょっぱさを感じ、おしることはまったく違う味わいだ。

【写真を見る】バスケットに肩を寄せ合う姿がほほえましい。トーストサンドにすることもできる

今でこそあまりなじみのないゆであずきだが、江戸時代にはすでにあったそう。寺社仏閣の露店で売られていたのだとか。

北海道産の小豆を3日間かけて炊き上げて作るという手間がかかるメニューだが、昔を懐かしんで注文する人が後を絶たない。豆のみで煮汁がない「煮あずき」(600円)もある。

サンドイッチなどの軽食も見逃せない。中でも「タマゴサンド」(600円)はファンが多い一品だ。卵サンドのフィリングは大きく分けると、タマゴ焼きタイプとゆで卵をマヨネーズ等であえたタイプの2種類あり、デンキヤホールは前者。卵焼きはLLサイズを贅沢にも3個使用し、ふわっふわの仕上がりに。食パンは近所の「セキネパン」から取り寄せている。

「古くからやっている喫茶店は、わりと卵焼きタイプが多いかもしれませんね」と店主の淑江さん。塩気の効いた卵とパリパリのキュウリを、しっとりとした食パンが優しく受け止める。ゆであずきとセットでレトロなおひとりさまランチを満喫しよう。【東京ウォーカー】(東京ウォーカー・東京ウォーカー編集部)