ハリウッドで表面化したセクハラ問題をきっかけに、SNSなどで性暴力被害者に連帯する「#metoo」運動が拡大。そして、あらゆるハラスメントの根絶、マイノリティーの安全、平等を求めるセクハラ撲滅運動「TIME'S UP」も注目されるようになりました。そこで目を向けたいのは、一般人である女性が受けたセクハラ、パワハラについて。彼女たちが、様々なハラスメントにどう向き合ったのかを本連載では紹介していきます。

お話を伺った深川亜弥さん(28歳・仮名)は、「セクハラやパワハラは職場だけではありません」と言います。亜弥さんは華奢で小柄で女性らしい。目が大きく、小型犬のような愛らしい顔立ちをしています。透け感があるシフォンブラウスに、レモンイエローの花柄膝丈フレアスカートを合わせていました。いわゆる「オジサン」がちょっかいを出したくなるキャラクターではあります。

「勤務している会社は、ベンチャー企業の広報、PR、総務などを代行するほか、行政の申請手続きなどさまざまなサービスを展開しています。会社は女性が多く、基本的に忙しいので社内パワハラはないのですが、仕事の性質上“下請け”の立場なので、パワハラ、セクハラが日常的に行なわれています。パワハラはまあ仕方がないとしても、問題はセクハラです。しつこい飲みの誘いや、“女性らしさ”の要求は本当に迷惑。アラフォーの女性上司にその実情を訴えても、“そのくらい、セクハラにならないわよ〜。私なんて●●さんにむりやりキスされたりしたんだから。今なんて誰も私に女として興味を持ってくれないわよ〜。むしろ、女として見てもらえるなんてうらやましい♪”と楽天的過ぎることを言われて、誰も私のことを守ってくれない。やはり、20代の女性って立場が弱いですよね。自分に自信はないし、お金もないし、転職するにしても、どこで誰がつながっているかわからないから、下手なことはできないし……」

亜弥さんが最も憤っているのが、異業種交流会でのセクシャルハラスメントだった。

男性側は自分がセクハラをしていると全く思っていないことが問題だと続けます。

「私の仕事は人脈が大事なので、異業種交流会や勉強会に参加しています。私はPR関連の勉強会に参加しているのですが、そこで出会ったある会社の宣伝課長がホントにヤバいんです。その人は43歳で、地方にある本社に勤務しているのですが、東京に出張に来るたびに、勉強会のメンバーのかわいい子にLINEやFacebookメッセンジャーをしてくるんです。例えば“今日、東京にいるから飲まない”“ホテルはここだから、●●で飲もうよ”、“飲みがダメならランチしない?”など、断ってもしつこく送ってくるんです」

その男性が声をかけるのは、22〜29歳の可愛い女の子に限られているという。あまりにも誘いがしつこいために、亜弥さんが上司に相談したところ、「あら、あの人、私に気があると思っていたけれど、全然連絡くれないのは、若い女の子が好きだからなのね、残念〜」と言われてしまったとか。

「守ってくれないどころか、これでは話にもなりませんよね。くどいようですが、相手の男性は若い女の子は自分と飲みたがっていると心の底から思っているから、セクハラだとは自覚していないのです」

あまりにもしつこいため亜弥さんは「ランチだけなら」と応じてしまう。指定されたのは、ランチメニューが2000円以上する、表参道の地中海レストランだった。

亜弥さんが交流会に参加し続けるのは、本当に勉強になる場合も多いからだという。

レストランで男が行なった、服装ダメ出しとマウンティング、“かわいい子、集めて”の理不尽な要求、女性上司の嫉妬が重なり……〜その2〜に続きます。