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46歳の男性アイドルの不祥事が、ジャニーズ王国の蟻の一穴となるのか。新体制となったジャニーズの弱点を露にした。

会見もしないつもりだった

「元『TOKIO』の山口達也(46歳)の酒好き、女好きは、ジャニーズ事務所はもちろん、テレビ各局も分かっていたことです。

山口がレギュラー出演していた『ZIP!』(日本テレビ系)では、女性スタッフを山口と一緒に泊まりのロケには行かせないということが、長年の申し送り事項になっていました。

ですが、局としては表面上、山口を番組から降板させる理由もないし、ジャニーズに注意を促すこともできなかった。いつ女性の被害者が出るかもしれないと思いながら黙っていたテレビ局も共犯なんですよ」

ある民放のテレビ局幹部は自戒を込めてそう話した──。

山口はバラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』(日テレ系)でのストイックな奮闘ぶりが、お茶の間で人気を得ていた。

私生活に多くの問題を抱えていると知りながら、そのイメージを守るためにジャニーズ事務所とテレビ局は、いわば共謀関係にあった。

この事件でジャニーズ事務所は完全に後手後手に回った。

4月25日、NHKが山口の書類送検を報じた直後の段階は、示談が成立していることから、ジャニーズはすぐには本人の謝罪会見を開かずに状況を見守る方針だったという。その代わりに、わずか3行だけの謝罪文をマスコミにFAXした。

「この3行だけのFAXが、反省が足りないと世間の反感を招いてしまった。いまジャニーズを取り仕切る藤島ジュリー景子副社長は、インターネット上での評価を相当気にします。

'16年に起きたSMAPの解散騒動の際のトラウマが、ジュリー氏にはあるんですよ」(前出・民放テレビ局幹部)

メリー副社長は「解雇を」

ジャニーズは2年前、SMAPの育ての母である飯島三智氏を追い出し、稲垣吾郎、草磲剛、香取慎吾の独立を認めなかった「悪者」のレッテルを貼られた。これにジュリー氏と母であるメリー喜多川副社長は大きなショックを受けた。

「それまでメリー氏は事務所の会議に参加して、積極的に指示を出していたんです。

それがSMAPの解散騒動以降は、事務所に顔を出す機会が格段に減った。黒幕扱いされるのが嫌で、ジュリー氏らに個別に指示を出しているようです。

それぐらいジュリー氏、メリー氏は世間の空気を気にしている。今回の件も事務所全体への批判に飛び火しかねないと判断した途端、山口を公の場で謝罪させる方針に変わりました」(前出・テレビ局幹部)

4月26日の記者会見で、集まった300人のマスコミの前で30秒間頭を下げ続けた山口の姿がそれを象徴していた。

「山口は前日に髪を切り、地味なブラックスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイと服装は完璧。さらにはお辞儀の仕方なども専門家から念入りにレクチャーされたと聞いています」(スポーツ紙芸能担当デスク)

会見中、山口の真後ろには顧問弁護士・矢田次男氏がぴったりと寄り添っていた。矢田氏はメリー氏の信頼が厚いことで知られ、ジャニーズ事務所のトラブル処理に関しては一切を任されてきた。

「事務所が山口から事件の存在を知らされたのは、彼が警察に聴取を受けてから数週間後で、会見の約1週間前。本来なら書類送検される前に示談を成立させたかったが、被害者側も当初は頑なでそれは間に合わなかったそうです。

会見の冒頭で被害者の両親から寄せられた、山口を許す趣意のコメントを読み上げました。会見ではこれを何より発表したかったんです」(スポーツ紙デスク)

会見でも計算違いがあった。山口が「TOKIOに戻りたい」と口に出したことが、バッシングを浴びた一件だ。だが、ジャニーズのタレントたちが、自分たちの出演する情報番組で「ありえない」と一刀両断した。

「TOKIOのメンバーである城島茂、国分太一には個人的にも山口を許せないという思いがあり、むしろ彼らにはある程度自由に喋らせた。

それがジャニーズ事務所への批判をかわす結果となりました。世間のガス抜きにもなり、テレビ局としても視聴率が稼げるので、メンバーたちが山口を叱るのは大歓迎だった」(前出・スポーツ紙デスク)

ブランド力の失墜を恐れて

今回の件で、ジャニーズ事務所がもっとも恐れていることは、ジュリー氏の管理の甘さを指摘されることなのだという。TOKIOはジュリー氏がジャニーズに入社して、本格的にマネージメントを担当した最初のグループとして知られる。

「世代交代でメリー氏とジャニー喜多川社長が事務所の運営から一歩引いた後、トラブルが続出しているんです。

今年3月5日にはデジタルコンテンツ配信事業を行う子会社・アートバンクの社長が社内で首吊り自殺をしています。山口の事件発覚の直前には『関ジャニ∞』の渋谷すばるが事務所からの退所を発表した。

『関ジャニ』や『TOKIO』はジュリー氏が可愛がってきたグループです。本来、山口と信頼関係があって叱ることができたのはジュリー氏だけですから、管理責任を問われても仕方がないでしょう」(前出・ジャニーズ事務所関係者)

このジャニーズ事務所関係者は、今回の山口の事件はジャニーズ事務所のマネージメント力が劣化している証だとして、こう解説する。

「かつて飯島さんがマネージメントの責任者だった有望ないくつかの若手グループについても、ジュリー氏が決裁権を持って売り出していかなくてはならなくなりました。

メンバーの大半が40代のTOKIOは彼らの自主性に活動を任せていた。ところが、そのTOKIOの山口が不祥事を起こしたのですから、育ての親であるジュリー氏の面子は丸潰れです。

いまジャニーズには人気グループをイチから育ててきた経験のあるベテランマネージャーがほとんどいません。

さらに言えばジュリー氏のまわりにいる幹部たちは、映画やテレビ畑から引き抜かれた人たちが多く、元マネージャーではありませんから、今後もタレントの管理でトラブルは続いていくかもしれません」

今回の事件では、CMに関して多額の違約金が発生することが予想される。山口はTOKIOのメンバーとして、ヤマト運輸、スズキ、フマキラー、福島県の4つのCMに出演していた。

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「24年連続で『紅白歌合戦』に出場していた音楽活動も休止を発表しています。ジャニーズが被る被害額はすべて合わせれば10億円近いのではないでしょうか。

これまでは出演CMを厳選していましたが、損害の穴を埋めるために、ジャニーズは他の人気タレントにきたCMのオファーをバンバン受けることになるでしょう。

テレビ番組についても同様で、山口のせいで各局に迷惑をかけた以上、左ウチワで番組を選ぶわけにはいかなくなる。人気者を安売りしなければならない状況はブランド力の低下を招きますから、ジャニーズには苦渋の選択です」(広告代理店関係者)

女子高生の告発が、山口の不祥事とジャニーズの弱体化をあぶり出した。

(文中敬称略)

「週刊現代」2018年5月19日号より