西野ジャパンは、吉田や大迫といった26〜29歳の選手がレギュラーの中心を担っている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップを戦う日本代表メンバー23名が決定した。
 
 落選した選手は浅野拓磨、三竿健斗、井手口陽介の若手3人になったが、特にサプライズもなく、落ち着くところに落ち着いた感がある。
 
 これでメンバーが正式に決定したわけだが、過去5大会と今回の選手の年齢分布を見ていくとバランスが取れた編成だというのが見えてくる。

 ロシア大会の日本代表のメンバー年齢分布は、30〜35歳が川島永嗣、長谷部誠、東口順昭、本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、槙野智章、乾貴士の8名、26〜29歳が吉田麻也、香川真司、酒井宏樹、大迫勇也、酒井高徳、山口蛍、原口元気、宇佐美貴史、柴崎岳の9名、22歳〜25歳が昌子源、遠藤航、大島僚太、武藤嘉紀、植田直道、中村航輔の6名になった。21歳以下の選手は日韓大会から5大会連続でメンバー入りしていない。
 
 メンバーの年齢構成は南アフリカ大会のチームとよく似ている。
 
 南アフリカのメンバーの年齢構成は、30歳以上の選手が中澤祐二、中村俊輔、遠藤保仁ら7名、26〜29歳が闘莉王、阿部勇樹、長谷部ら11名、22〜25歳が岡崎、本田、長友ら5名だった。この時のチームは、26〜29歳の11名中7名がレギュラーだった。闘莉王、松井大輔、阿部勇樹、駒野友一、大久保嘉人、川島、長谷部である。国際経験があり、年齢的に一番動ける選手たちが中心になって勝ち上がり、ベスト16という結果を出した。
 
 ロシア大会に臨むチームも、この年代がレギュラーの中心になっている。
 
 ガーナ戦から推察すると、現時点でのレギュラー候補は吉田、大迫、山口、原口、宇佐美たちである。南ア大会同様、最終ライン、中盤、前線にそれぞれ選手がいるので、彼らの活躍がひとつのポイントになるだろう。
 
 実は、この26〜29歳の世代の選手が一番多く選出され、レギュラーになっていたのは、ドイツ大会だ。小野伸二ら黄金世代を中心に17名の選手が選ばれ、中田英寿、宮本恒靖、柳沢敦、中村、福西崇史、高原直泰、三都主、中澤、加地亮、坪井慶介ら10名がレギュラーだった。年齢分布でいえば、この26〜29歳の選手が全体の74%を占め、25歳以下でメンバーに入ったのは、巻誠一郎、茂庭照幸、駒野の3名だけ。23歳以下はゼロだった。
 
 しかも30歳以上の3名の選手は全員GKでフィールドプレイヤーはひとりもいなかった。日韓大会の中山雅史のような存在がいれば、違った結果が生まれたかもしれないが、ジーコはあえて選択をしなかった。このようにドイツ大会のチームは26〜29歳の選手層が突出しており、かなり歪だったわけだが、これは2002年日韓大会の流れを受けてのメンバー編成だったと言える。
 
 2002年の日韓大会のチームも年齢分布を見ると、かなり歪だった。
 
 22歳〜25歳の選手が17名もおり、非常に若いチームだった。しかも、この年代からレギュラーが11名全員選ばれている。この時の選手の多くが、そのままドイツ大会にスライドしたのだ。30歳以上は秋田豊と中山の2名だけで、彼らはチームのサポートとして入った選手。一番中心になるべき26〜29歳の選手は森島寛晃、服部年宏、川口、森岡隆三の4名だけ。このチームの中軸となった22〜25歳の選手たちはナイジェリア・ワールドユース(現・U-20ワールドカップ)で準優勝した選手たちで若いながら国際経験もふてぶてしさもあり、非常に頼もしいチームだった。期待も大きく、ベスト16に進出し、日本中を沸かせた。
 
 南アフリカ大会のチーム編成と今回のロシア大会のチーム編成が年齢分布上、良く似ているわけだが、20代の層だけではなく30歳以上の選手も南アフリカが7名、ロシアが8名とほぼ同じだ。ただ、その年代でのレギュラーの数がまったく異なる。南アフリカ大会では7名中、中澤と遠藤だけ。ロシア大会のチームは川島、長谷部、本田、長友、槙野の8名中5名になり、30代の選手としては過去最高だ。日韓大会の時とは対照的で、30代の「おじさん」世代がチームを引っ張ることになる。