お腹が空いた時に、食べたいものを食べたいだけ、はあまり賢い食べ方とは言えません。体調を鑑みた食べ方や、自身のカラダを考慮した食べ方に着目すると、自ずと決まってきます。

そこで、『病気にならない食べ方はどっち?』(SBクリエイティブ刊)を監修した管理栄養士の大柳珠美さんに、「体の不調に効く食べ方はどっち?」にフォーカスした賢い食べ方を教えていただきました。ぜひ、みなさんも実践してみてください。

Q.1 ダイエット中のバイキングメニューで「サラダバー」と「ローストビーフ」選ぶならどっち?

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目的

体脂肪だけを確実に減らすダイエットの成功

正解

A.ローストビーフ

理由

安心、安全な本来のダイエットとは、余分な体脂肪を落とし、筋肉量や骨量、元気に生活できるパワーは落とさないことです。そのためには、血糖値を上げない時間を作ることが欠かせません。なぜなら、血糖値が上がっている間は、人体は、まず血糖を優先的にエ ネルギーとして使います。そのため、落としたいはずの体脂肪の燃焼は後回しになってしまい、ダイエットには非効率的なのです。

血糖値を上げるほど1食あたりに糖質を多く含む食品は、ごはん、 パン、麺類などの主食や果物のジュース、菓子類全般です。健康的なダイエットには糖質制限が欠かせない理由のひとつです。

野菜は食物繊維や、野菜がもつ色素や苦みなど抗酸化成分など健康に良い面もありますが、筋肉量や骨量、パワーを落とさず、体脂肪を減らすためには、肉や魚介、卵、大豆製品などタンパク質の摂取は欠かせません。タンパク質を豊富に含む肉や魚介には、体脂肪の燃焼を円滑にすすめるビタミンB群も含まれるので一石二鳥 です。

ワンポイント

タンパク質を確保した上で、野菜や海藻、きのこ、こんにゃくなど食物繊維を主食代わりに添えて、腸内の痩せ菌(善玉菌)を増やす対策もダイエットに役立ちます。

Q.2 冷え性、肩こりを改善したいなら「かつおのカルパッチョ」と「しょうがスープ」選ぶならどっち?

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目的

その場しのぎでない根本的な改善を目指す

正解

A. かつおのカルパッチョ

理由

温めても、もんでも不定愁訴が解消しない場合、根本的な栄養の問題が根っこにあるかもしれません。それは女性に多い「鉄」の不足です。鉄は、赤血球の成分として、酸素や栄養を全身に運びます。その際、トラックのような運び屋の役割をしてくれるのがタンパク質です。鉄やタンパク質の不足は、血流が悪くなり、冷えや肩こりの原因になります。女性は、初潮にはじまり、思春期のダイエット、 妊娠、出産など閉経までまさに鉄欠乏との戦いといっても過言ではありません。

鉄は、煮干しやレバーなどの動物性食品に含まれるヘム鉄からしか十分に吸収できません。プルーンやほうれん草など植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ほとんど吸収されることはありません。毎食、肉や魚介など動物性タンパク質をそろえましょう。良質なオリーブ油やアボカド、ナッツ、ごまなどビタミンEが豊富な脂質系の食材も大切です。ビタミンEは、血行障害からくる冷え性、肩こりなどの症状を改善します。

ワンポイント

プルーンやほうれん草など植物性食品に含まれる非ヘム鉄はビタミンCがあると吸収率が高まります。ビタミンCはビタミンEの抗酸化力を高めるはたらきもあります。

Q.3 便秘解消に役立つ食物繊維は「海藻」と「ごぼう」どっち?

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目的

食物繊維の特性を便秘の状態にあわせて使い分ける

正解

A.海藻

理由

便秘の解消に食物繊維を摂取したら余計にお腹が張って苦しくなったことはありませんか? 食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があります。ごぼう、雑穀、豆類などに豊富な不溶性食物繊維は、水分を吸収して腸内で膨れ、腸壁を刺激し、腸の運動を盛んにする結果、便を体外に排出します。しかし、すでに水分が少ない硬い便がお腹にある場合、さらに水分を吸収してしまう不溶性食物繊維をたっぷりとってしまうと、腸壁への刺激はあるものの、便が出ないという状況になることもあります。

この場合、海藻やこんにゃくなどに豊富な水溶性食物繊維を取り入れることも大事です。水溶性食物繊維は、ヌルヌルした性質を持ち、便の水分量とかさを増やし、便秘の改善に立ちます。

しかし、腸内細菌の状態によっては、不溶性、水溶性ともに食物繊維によって腸内にガスが発生しやすくなり、お腹の張りにつながることもあります。食物繊維の摂取量を調整し、腸内細菌の状態を整えることも検討しましょう。

ワンポイント

腸内環境を整えるために、納豆、ぬか漬け、みそなど発酵食品を毎食、毎日、活用しましょう。適度な水分補給や運動、規則正しい食生活は基本となります。

Q.4 イライラ防止に役立つおやつは「煮干し」と「牛乳」どっち?

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目的

乳製品のリスクを知りバランス良くミネラルを摂取する

正解

A.煮干し

理由

イライラ防止にはカルシウム。カルシウムが豊富なのは牛乳。という栄養の常識には落とし穴があります。ミネラルは、カルシウムはマグネシウム、ナトリウムはカリウムというようにペアになってはじめてそれぞれの栄養効果を発揮できます。乳製品にはカルシウムは豊富ですがマグネシウムはほとんど含みません。乳製品のもうひとつの落とし穴は、乳製品に含まれるカゼインです。腸粘膜が薄く弱くなる病気・リーキーガット症候群の原因物質として知られています。リーキーガット症候群は、日本では超漏れ症候群と言われ るように、ざるの目のように荒くなった腸粘膜から、本来、取り込まれるはずのない未消化の大きなタンパク質が体内に取り込まれ、アレルギーや自閉症の原因として世界中で問題視されています。

カルシウムとマグネシウムを両方含む食材は和の食材です。煮干し、田作り、いわしの丸干し、ししゃもなど丸ごと食べられる魚と、ごまなどの種実類、豆腐、納豆、きなこなどの大豆製品、そして干しひじき、おぼろ昆布、乾燥わかめなど乾物の海藻類です。

ワンポイント

酢やレモンなどに含まれるクエン酸は、カルシウムの吸収率を良くします。いわしの丸干しにレモン汁をふりかけたり、小鯵の南蛮漬けなど、骨ごと食べる魚に酸味をかしこくおいしく活用しましょう。

Q.5 就寝前に空腹なとき、食べるなら「納豆」と「果物」どっち?

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目的

肥満を防ぎ栄養を確保し就寝時の血栓を防止する

正解

A.納豆

理由

空腹を我慢して寝るよりも、栄養素を摂取したほうが、睡眠の質を上げ、翌朝のすっきりした目覚めのために役立ちます。寝る前に避けたほうがよい栄養素は糖質です。糖質は血糖を上げ、すぐにエネルギーになるため、就寝などでエネルギーを積極的に使わないときに摂取すると、エネルギーとして使われない血糖がインスリンによって脂肪細胞に変えられ、肥満につながります。とくに、果物に豊富に含まれる果糖は中性脂肪になりやすいので注意しましょう。

就寝前の空腹時におすすめの栄養素は、タンパク質です。中でもおすすめの食材は納豆です。納豆には、ネバネバ部分であるナットウキナーゼという酵素が含まれます。この酵素はタンパク質分解酵素なので、就寝前でも消化にやさしくいただけます。さらに、このナットウキナーゼは、フィブリンという血栓の素となるタンパク質も分解してくれます。血栓は、深夜から早朝にかけてできやすいと言われているため、ナットウキナーゼを摂取する時間帯は、夕食後や寝る前がよいと考えられています。

ワンポイント

就寝中は、成長ホルモンが分泌され、疲労を回復、筋肉を増強、脂 肪を分解、骨の強化など体を元気に修復するほか、タンパク質の吸 収も促進します。成長ホルモンの材料もタンパク質です。

大柳珠美さん

管理栄養士、一般社団法人オーソモレキュラー.jp理事。都内のクリニックで、糖尿病、肥満など生活習慣病を対象に、糖質の過剰摂取を見直し、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル不足を解消する食事指導を専門に行い、薬に頼り過ぎない治療をサポート。一般社団法人オーソモレキュラー.jp主催「栄養カウンセラー養成講座」講師、ダイエットジム「ライザップ」の食事ガイド監修、日本大学野球部の栄養管理をはじめ、低糖質メニューの開発、講演会、テレビ、ブログ「管理栄養士のローカーボ・キッチン」などで、栄養科学に基づいた、おいしく続けられる食に関する情報を発信。

病気にならない食べ方はどっち?』(SBクリエイティブ刊)

今回の記事はこちらの本を元に執筆いただきました。日頃抱えがちな体の不調や病気は、正しい食生活で予防できます。加齢による不調から、がん、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)、認知症まで絶対に効く健康食についてご紹介。エビデンスのある「食」の真実を明らかにすべく、「食のIQ」を高める42個のどっち?を大柳さん監修のもと、さまざまな医師などが解説しています。ぜひ、書店で手にとってみて。

文/大柳珠美