A子さんは、野崎氏より一回り大きい長身だった

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 昼も夜もなく働いたのは、すべてを女性に捧げるため。そんな彼が“理想の妻”にたどり着いてから、わずか3か月でこの世を去った。遺体からは大量の覚醒剤が検出されたとの報道も出ている。

 17世紀スペインの伝説上の貴族「ドン・ファン」は、プレーボーイの代名詞として知られている。彼をモデルにしたモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』では、イタリアで640人、ドイツで231人、スペインで1003人の計約2000人の女性を口説いた稀代の色男として描かれている。だが、そんな伝説上の人物をはるかに上回る男が、日本の和歌山にいた。

 その男性は、生涯で美女4000人を抱き、30億円もの大金を女性に貢いだ。「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助氏が、酒類の販売業や不動産業、かつては貸金業などで成した財はすべて「いい女性を抱くため」のものだったという。その野崎氏が5月24日、77才で突然この世を去った。

「夜10時頃、自宅2階の私室の椅子の上で、もがいたように腕を上げた状態で亡くなっていたそうです。顔には苦悶の表情が浮かんでいたといいます。最初に異変に気づいたのは野崎氏の妻・A子さんで、悲鳴を聞いた秘書兼家政婦の女性が警察に通報した。翌25日には自宅に現場検証が入り、26日にはすぐ近所にある野崎氏が経営する会社事務所でも警察が大人数をかけていろいろと調べていました。近づけないよう周囲には規制線が張られ、物々しい雰囲気でした」(地元紙記者)

 さらに5月29日には、死去翌日の現場検証の倍以上の人員が投入され、大規模な「家宅捜索」が行われた。鑑識が段ボールを運び込み、住居内はもちろんのこと、庭先もくまなく調べが行われていた。捜査員の中には、殺人などの凶悪事件を主に担当する県警捜査一課の刑事も含まれていた。元警視庁刑事の北芝健氏が解説する。

「初期段階に、関係者立ち会いのもと自宅や会社事務所に警察が入って現場検証を行うことは、一般的な捜査手法です。さらにその後、裁判所の発行する捜査令状が必要な『家宅捜索』が行われたとなれば、事件性が強く疑われたり、有力な情報があるなど捜査が進展したということなのでしょう」

 野崎氏の名前が一気に知れ渡ったのは2016年2月。当時交際中だった自称モデルに、現金600万円と貴金属、合計6000万円相当を盗まれる被害にあった。交際相手は野崎氏より50才近く年下の20代。テレビのインタビューでは「1億円くらいは、紙切れみたいなもの」と言い放った。

「大阪までタクシーで10万円かけて往復し、美人ホステスをお持ち帰りすることもしょっちゅう。1回のセックスにつき40万円ほどの『謝礼』を支払い、“欲は性欲だけ”と言い切る。その武勇伝をまとめた本まで出したほどでした。たくさんの女性に大金を渡してきましたが、野崎氏にはまだ40億円もの資産があったとも聞いています」(野崎氏の知人)

 今年2月には、人生3度目の結婚も果たす。それが、第一発見者となったA子さんだった。空港でナンパしたというA子さんは、野崎氏より55才年下。だが、「ぼくの最後の女性になってください」とプロポーズしてからわずか3か月後、野崎氏は急逝した。

◆女は裏切るけど犬は裏切らない

 野崎氏の会社関係者が声低く話す。

「A子さんは中国でモデルの仕事をしているからと、『出張費』として毎月300万円も野崎さんが渡していました。でも、結婚後もしばらく東京暮らしで、時々しか和歌山には顔を出さなかった。

 こっちに移り住んできたのはつい先月で4月中旬頃。ただ、同じ家で暮らすようになっても、A子さんは体調が悪いといった理由で夜を共にしなかったそうで、野崎さんは寂しそうにしていました。“家事をしてもらうわけでも一緒に時間を過ごすわけでもなく、結婚した感じはまったくないな…”とこぼしていたのを聞いたこともあります」

 野崎氏は、過去に2度結婚している。3度目の正直か、生涯最後の伴侶に選んだA子さんには「出会った瞬間に運命を感じた」と話していた。A子さんは野崎氏の死の翌日、会社事務所に足を運んだ。

「A子さんが“野崎の遺産、私が引き継ぎます”って言うんですよ。社長が亡くなって社員もみんな戸惑ってる最中にそんなこと言われて。その上、“東京帰っていいですか?”と。しかも、ベテラン社員が今後の話をしようとしたら、事務所のソファに寝っ転がって、携帯ゲームをしていました。結婚3か月で実感も薄いのかもしれませんが、これはあんまりだと…」(前出・会社関係者)

 野崎氏に子供はいない。巨額の遺産のほか、自宅周辺に50以上所有していたという不動産は、通常なら、A子さんが相続することになる。

 だが、野崎氏は生前、自身の遺産の行方についてこんな考えを周囲に明かしていたという。

「野崎氏にはイブちゃんというパピヨンの愛犬がいて、遺産はすべてイブちゃんに贈ろうと考えていたそうです。“女は裏切るけど、犬は裏切らない”が口癖で、イブちゃんを溺愛していましたから」(前出・野崎氏の知人)

 あまり耳にしないが、「ペット信託」という方法がある。平たくいえば、飼い主が病気になったり亡くなったりしてペットの世話ができなくなったとき、事前に指定した次の飼い主に飼育費用が支払われる仕組みだ。

 野崎氏が実際にペット信託の準備をしていたかは不明だが、5月6日、その愛犬も急死した。

「急に具合が悪くなって。大阪にいるかかりつけの獣医師に診せるために深夜に車を飛ばしたんですけど、その車内で野崎さんに抱かれたまま死んだそうです。野崎さんの腕や胸にひどいひっかき傷が残るくらい、もがき苦しんだ最期だったそうです」(前出・会社関係者)

 そのわずか18日後、飼い主だった野崎氏も後を追うようにこの世を去ったのだ。

「野崎さんには、普段は東京にいる秘書の男性がいました。自伝の出版にも携わった人ですが、和歌山に顔を見せるのは年に1回くらい。その人が、野崎さんが亡くなる前日、突然“和歌山に来てくれ”って呼び出されたそうです。そんなことを言われるのは滅多にないことで、秘書は次の日に仕事の算段をつけてこっちに飛んできたんだけど、すでに野崎さんは亡くなっていた。何か大きな心配事があったのかもしれません」(別の会社関係者)

 5月29日夜、野崎氏の通夜が執り行われた。「捜査はまだ続いている」。女性セブンの問いかけに、警察関係者はそう答えるのみだ。

※女性セブン2018年6月14日号