「夏までに3キロ痩せたいから、ファスティングしようかな」という人も多いのでは。でもちょっと待って。ファスティングについて、正しく理解していますか? ファスティングの本当の目的は、ダイエットではないのです。これからファスティングを始めてみたい人、必見! 栄養士でファスティングマイスターの鮎田奈央海さんに、疑問のあれこれをお聞きしました。

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ファスティングのメリットとは?

ファスティングというと、「空腹に耐えて何日か過ごし、体重を落とす」。というイメージがあるかもしれません。間違ってはいませんが、ファスティングはつらいものでも体に負担をかけるものでもありません。むしろメリットの方が大きいので、どなたでもチャレンジしていただけるものです。ただし、初めての場合は、自己流で始めずに、クリニック、サロンなど先生やマイスターが常駐しているところで正しい指導を受けて行うことをおすすめします。正しく行えばとても気持ちよくデトックスできますので、ぜひ始めてみてください。

(ただし、妊娠中や授乳中の方、臓器障害のある方、中学生以下の方などはオススメしていません。詳細は記事の最後の注意書きをご確認ください)

Q1.ファスティングの目的って、そもそも何?

A.体内に蓄積された毒素を排出するのが目的です。

私たちの体内には、食品添加物や農薬、有害ミネラル、大気中の環境ホルモンなど、人体に悪影響を及ぼす「毒素」が蓄積されています。これは、脂肪に蓄積され「脂肪毒」と言われます。そのまま放置してしまうと、炎症を起こしやすくなったり、血栓や高血圧などの原因に。

ファスティングは摂取カロリーを大きく抑えるものなので、結果的にはダイエットになりますが、本来の目的は痩せることよりも、これらの毒を出すデトックスなのです。通常、消化に使われているエネルギーを、代謝するためのエネルギーとして使う体にするのがファスティングです。

Q2. ファスティングをやると、どんな効果があるの?

A .体が飢餓状態になることで、たくさんのメリットがあります。

臓器を休ませる・血液をキレイにする・肝臓をキレイにする・腸をキレイにする・体重を減らす・毒物を排泄する・感覚を敏感にする・免疫力を高めるといったメリットがあります。

肝臓は普段、私たちが摂取するもので栄養にならないものを無毒化するフィルターの役割があります。添加物を多く食べている人は特に、大きな負担になって肝臓が疲弊している可能性が。また、ファスティングをすることで腸内細菌が一旦、一掃されるので(全くなくなるわけではありません)、腸内環境を劇的に変えるチャンス免疫力が高まるのも、腸内環境が良くなるからです。また腸内環境の変化により、アレルギーが改善したという人も。

さらに、味覚が鋭敏になる人もいます。舌にある味蕾細胞は代謝が早く、ファスティング中にリセットされるので、ファスティングをすると添加物や化学調味料の味に敏感になったという人も少なくありません。

これをきっかけに食生活を見直すことができます。

Q 3.頭もスッキリすると言われるのはなぜ?

A .ケトン体が脳のエネルギー源になるからです。

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脂肪を燃焼する際に、ケトン体というものが作られます。これは、体内がブドウ糖を使い切ると脂肪が分解されてできる物質。体が飢餓状態になって48時間後から作られます。

脳は通常ブドウ糖をエネルギー源としていますが、もう一つエネルギー源にできるのがケトン体。ファスティング2日目から3日目にケトン体が作られ、脳のアルファ波を出してくれます。また、βエンドルフィンというホルモンが分泌され、リラックス状態になり頭が冴える、集中力が上がるというわけです。

ファスティング5日目くらいになると、ケトン体がかなり作られ、ランナーズハイのような気持ちよさを感じます

Q4.具体的にはどんなことをするの?

A.準備食、ファスティング、回復食のセットで行います。

ファスティング中は1日500カロリー程度の酵素ジュースと、水やノンカフェインの飲み物を1.5から2リットル飲むだけ。私が使用するのは、日本のファスティング第一人者の山田豊文先生が監修された、ビタミン、ミネラルも豊富に入った発酵ドリンク「カラ酵素・マナ酵素」。

ファスティング期間は1日から5日程度で行いますが、特に大事なのは終わった後の回復食です。正しい回復食なしに、正しいファスティングは成立しません。ファスティング直後は消化器官が試運転の状態です。いつも通りの食生活にいきなり戻してしまうと、臓器に負担をかけるだけでなく、減った脂肪を再び蓄積しようとし始めるため、通常よりも脂肪を溜めやすい状態に。

回復食の2日目くらいまではおかゆや野菜スープなど、消化に負担のないものを。3日目からは動物性のものを除き、いつもの50%くらいの量を目安に。5日目くらいから魚をプラスし、8日かけて通常食に戻していきます。摂るべき食材は「まごわやさしい」です。

ファスティング前の準備食も、徐々に減らしていくことで脂肪燃焼効果が高まるので、「まごわやさしい」の食材を腹八分目で摂って準備しましょう。

Q 5.「まごわやさしい」って何?

A . 体に良い、健康的な食事の目安です。

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ま:豆類 特に納豆や味噌など発酵食品が望ましい

ご:ごま アーモンドやクルミなどナッツ類も含まれる

わ:わかめ 海藻類全般。昆布、ひじきやもずくなども含まれる

や:野菜 野菜全般(野菜ジュースは含まず)

さ:魚 魚類全般(小さい青魚がおすすめ)、貝類も含まれる

し:しいたけ きのこ類全般

い:いも いも類全般 こんにゃくも含まれる

普段から「まごわやさしい」の食材を積極的に選ぶことで、健康的なメニューになります。

ファスティングは回復食がとても大事なので、何を食べるか悩んだら、「まごわやさしい」をチョイスしましょう。

Q 6.ファスティングのスケジュールはどう組めばいい?

A. 初心者は2:3:2がおすすめです。

準備食2日、ファスティング本番3日、回復食2日(できれば1週間くらいは食事に気をつけて)を目安に。好転反応で頭痛などが起きる場合があるので、木曜日から準備食を始め、土曜日から月曜日までをファスティング本番、その週末までをゆるやかな回復食といったスケジュールがオススメです。私はロング(本番5日間)を年2回行っています。1回のファスティングを長めにする方が、解毒効果が高いからです。

生理とのタイミングは、生理後からのスタートが気分も安定しておすすめです。排卵日から生理までの間はプロゲステロンという女性ホルモンが分泌され、むくみやすかったりイライラしやすくなるのでできれば避けましょう。

Q 7.好転反応って何?

A .脂肪毒が血液中に流れて起きる反応です。

脂肪に蓄積された毒素は、脂肪が燃焼する際に血液に流れ出し、体内を巡ります。その結果、頭痛を引き起こしたりするのが好転反応です。他にも、カフェイン断ちからくる頭痛、砂糖を多く摂っていた人は低血糖の症状で頭痛になることも

規則正しい食事をしていた人は、いつも通り胃が消化の準備を始めてしまい、食べ物が入ってこない事で吐き気を感じる事も。人間の体は、普段と異なった事が起きると痛みとして感知する事があります。

いずれも徐々に治っていくので、横になってリラックスするなどして過ごしましょう。

Q 8.仕事に支障をきたさないか心配

A .むしろ忙しい方がファスティングに向いています。

先述したように、ファスティングは体に大きな負担をかけるものではありません。人間が生命維持に必要な代謝エネルギーは、体内にある脂肪から作られるので、数日間、飢餓状態になっても問題はありません。むしろ、目で食べ物が欲しくなるので、忙しくしている方がファスティングを続けやすいと言えます。好転反応が心配な人は、週末に試してみるのがいいでしょう。

ファスティングは頭もスッキリするので、むしろ仕事中に行うのは効果を実感しやすいかもしれません。

Q 9.おすすめの時期はある?

A .暖かい時期がオススメです。

私は3月から10月までをファスティング期間としています。ファスティングは大幅なカロリー制限をするため、体温が下がる事も。寒さを感じるのは、熱を作ることにエネルギーの使用が優先されないからです。人間の体のエネルギーは、生命維持のために優先順位の高いものから使われていくため、少なくなったエネルギーは、呼吸をしたり心臓を動かすのに優先的に使われます。

冬の期間、してはいけないわけではありませんので、ご自身の体と相談して始めてください。

Q 10.なぜ酵素ジュースを摂るの?

A. 脂肪燃焼を効率的に行い、解毒を促進するためです。

もし、完全な断食(一切のカロリーを摂取しない)をしたとします。するとどうなるでしょう? 脂肪燃焼が一気に行われ、脂肪毒が大量に排出されることになり、肝臓で解毒処理が間に合わず、ひどい頭痛や不調を引き起こすことに。1日500カロリー程度は、摂取した方が良いのです。また、ファスティングの目的は、添加物などの毒素を抜いていく事。市販のジュールなどに農薬や添加物などが含まれていては意味がありません。

そして、酵素ジュースには解毒を促進するマグネシウムやMSM(メチル スルフォニル メタン:イオウ含有成分。イオウはデトックスの要のグルタチオンの生成に必須)、脂肪がエネルギーになるときに必要なLカルニチン、ファスティング中に不足しがちなカルシウムも含まれています。

ファスティングの効果を高めるために必要な成分が含まれているので、酵素ジュースは欠かせないのです。

Q11. 酵素ジュースは何でもいい?

A .酵素原液100%と表記されているものを。

最近は、インターネットなどでも手軽に手に入れられるようになった酵素ジュースですが、選ぶ際は酵素原液100%のものを。酵素原液を薄めているものや、添加物が入っているものは絶対に避けましょう。

成分をよく見る事は、普段の食生活でもとても大切です。先に紹介したマグネシウムやLカルニチン、カルシウムなども入っているか、砂糖などが入っていないかなど、チェックしてください。

成分がよくわからない場合は、メーカーに問い合わせましょう。企業姿勢などもわかり、おすすめです。

Q 12.ファスティング中、なぜカフェインを摂ってはいけないの?

A .無理に元気にさせるカフェインは体に負担なのです。

コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶など、カフェインが含まれているものは、ファスティング中は一切摂りません。脂肪毒をせっせと無毒化している肝臓に、さらに負担をかけるからです。カフェインはアドレナリンを分泌しますが、これを司っているのが副腎という臓器。最近は副腎疲労が問題になっています。栄養ドリンクやカフェインで無理にテンションを上げるのは、副腎にかなりの負担がかかっていて、ひどくなるとうつ的な症状を引き起こすことに。

ファスティング中は、体に負担になるものは摂らないようにしましょう。

Q 13.便秘になる?

A .なる人とならない人がいます。

固形物を摂らないので便通は少なくなり、全く出ない事もあります。ただし、便は食べ物のカスだけでなく、腸内細菌の死骸でもあるので、普段から便通がよい人は便が出る事も。

また腸内環境が変わるので下痢になる人もいます。いずれにしても、一時的なものなのでそんなに気にしなくても大丈夫です。

Q 14.リバウンドはある?

A. 回復食次第です。

3日くらいのファスティングで、個人差ありますが、1.5〜4kgの減量が見込めます。しかし、ファスティング専用のドリンクをとることにより、筋肉分解はある程度はおさえられますが、それでも多少はエネルギー源として使われ、脂肪も減った状態。回復食にせずに、すぐに通常食に戻してしまうと、減った筋肉分まで脂肪に変わることに。また、飢餓状態が続くと人間の体は脂肪を溜め込もうとします。リバウンドするか否かは、回復食にかかっているのです。

また、ファスティング後は腸内細菌が激減した状態。ここで善玉菌優位になるような乳酸菌や食物繊維などが含まれる食事を摂る事も重要です。悪玉菌が大好きな肉類などを摂ると、腸内環境が悪玉菌優位に傾いてしまいます。

さて、ファスティングについて、色々とお話ししましたが、健康のために大切なのは、普段から害のあるものを摂らないようにする事です。そのためには、自宅の基本調味料を見直しましょう。

自然食のお店などで無添加のものを揃え、自炊をする習慣に変えると、脂肪毒の量は少なくなります。

(社)分子整合医学美容食育協会では、以下のような方にはファスティングプログラムをお勧めしません。

* 活動性肝炎、肝硬変、ガン、痩せがたの糖尿病、胃、十二指腸潰瘍の方

* 精神病、狭心症、心室性不整脈、その他すでに臓器障害を起こしている方

* 副腎皮質ホルモン剤投与中の方、その他投薬を中断すると危険のある方

* 過去に心筋梗塞や脳卒中を起こした方

* 中学生以下の方

* 妊娠中、授乳中の方

* 1日に1.5~2Lの水を摂取できない方

お話を伺ったのは、鮎田 奈央海(あゆた なおみ)さん

1962年生まれ。栄養士、プロフェッショナル・ファスティングマイスター、代官山サロンcorps-chou(クープシュー)代表。京都女子大学家政学部食物学科卒業。健康で美しい身体へのあくなき追及心から、2008年に自然手技療法学院へ入学し、整体、アロマ、食育アドバイザーの資格を取得。2012年にファスティングに出会い、そのリセット力に感銘し、半年内にファスティングマイスターの最上級の資格を取得し代理店登録。現在は、ファスティングと健美食の指導ができるプロ養成講座 食キャリア塾、ファスティングマイスター検定、カルチャーセンターでファスティングセミナーや食育セミナーも開催中。自然手技療法学院の食事栄養療法コースの講師、せたがや均整院で食のカンセリングも担当。http://corps-chou.com/