自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「おりもののニオイが気になったら。注意すべきおりものは?」について、お届けしました。今回は、30代、40代女性がかかりやすい「気をつけるべき子宮周りの病気」について女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

女性の病気にも女性ホルモンは関係しています!

女性の体と心と肌は、女性ホルモンのサイクルによって、よくも悪くも影響されています。毎月の生理(月経)サイクルで、元気で前向きにもなれるし、つらい不調が出てへこんでしまうこともあります。女性の体と心の変化は、毎月の女性ホルモンの変化だけではありません。

女性の一生には、初潮、妊娠、出産、閉経というダイナミックな波があります。こうした女性の人生の中で起こる、体と心の変化やリズムをつくっているのも女性ホルモンが関係しているのです。

思い返してみませんか? 思春期に生理が始まって(初潮)からしばらくは、生理の周期が安定せず、体や心のトラブルが増えていませんでしたか。生理不順や生理痛などが起きて、ニキビができたり、精神的に不安定でイライラしたり……。思春期に体調やメンタルが安定しないのも、女性ホルモンの仕業でもあるのです。

20代、30代の成熟期に入ると、いつのまにか体も心も安定してきます。この時期が人生の中で最も女性ホルモンのバランスがよく、妊娠、出産にも適しているのです。一方で、出産後、マタニティブルーになったり、落ち込んだりするのも、妊娠、出産という大事業で女性ホルモンのバランスが少々崩れるからです。

女性ホルモンの変化と起こりやすい病気はリンクします

女性の一生に女性ホルモンが関係していることから、女性のかかりやすい病気も女性ホルモンに影響されているものが多いのです。特に婦人科系の病気は、女性の一生の女性ホルモンの波によって、かかりやすいもの、リスクが高いものがあります。

妊娠、出産が可能な成熟期には、不妊症、月経困難症、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫、子宮頸がん、性感染症、うつ、膠原病や甲状腺の病気など、成熟期だからこそ起こりやすいトラブルや病気があります。成熟期を過ぎると、女性ホルモンの分泌は徐々に下降線をたどり、更年期へと突入。更年期で閉経(平均50.5歳)を迎え、女性ホルモンの分泌もガクッと一気に少なくなります。女性ホルモンの分泌が激減することで、更年期障害が起こったり、老化が進み、成熟期には少なかった、さまざまなトラブルや病気が生じやすくなります。

女性を輝かせるのも、トラブルや不調を起こすのも、女性ホルモンの変化の影響があります。女性特有の体と心の変化によって、リスクの高いトラブルや病気について知っていれば対処法もわかりますし、予防や早期発見のために賢くクリニックを利用することもできる、と思います。

年代別、注意したい病気は?

女性ホルモンは、体の中でさまざまな働きをしているので、この変動によって注意したいトラブルや病気が、年代によって異なります。

10代〜20代前半に多いのは、月経の異常(月経がこない、不順、月経痛)、月経前症候群(PMS)、ニキビ、性感染症(STD)、若年者の喫煙、摂食障害です。

20代後半〜40代前半にかけて多いのは、不妊症、月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫、子宮頸がん、うつ、膠原病、甲状腺の病気などです。

女性ホルモンの一生と女性に起こりやすい病気

10代

  • 月経の異常(月経がこない、不順、月経痛)
  • 月経前症候群(PMS)
  • ニキビ
  • 性感染症(STD)
  • 若年者の喫煙
  • 摂食障害

20代〜30代

  • 不妊症
  • 月経困難症
  • 子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫
  • 子宮頸がん
  • 膠原病、甲状腺の病気など

40代〜50代

  • 更年期障害(ほてり、発汗、イライラ、うつなど)
  • 乳がん
  • 子宮体がん
  • 卵巣がん
  • 尿もれ
  • 性交時痛、性交後出血

50〜60代

  • 生活習慣病(動脈硬化、高血圧、肥満、糖尿病など)
  • 歯周病
  • 骨粗しょう症
  • 骨盤臓器脱(子宮脱ほか)
  • 萎縮性腟炎
  • アルツハイマー病、認知症

子宮筋腫、子宮内膜症(チョコレートのう胞)、子宮頸がん……30代、40代で気をつけたい婦人科の病気

30代〜40代の女性に特有の婦人科の病気があります。事前に知って、予防に役立ててください。知識があれば、受けておいたほうがいい検診や不調が起こったときの早期発見につながります。きたるべき更年期に向けての備えにもなります。気になることやわからないことがあれば、婦人科の医師に相談してください。今からホームドクターになる婦人科医をもって、年1回は婦人科検診を受けることも大事ですね。

⇒ 子宮がん検診と婦人科検診は違います

01.子宮筋腫

子宮にできる良性の腫瘍です。成人女性の4〜5人にひとりはもっていると言われています。筋腫がある程度の大きさにならないと自覚症状が出にくいことから、検診をしていないと気づかない人も多くいます。6〜7cmの大きさになったら手術でとることが多いです。筋腫は良性腫瘍なので、悪性に変わることはありません。生理の出血量が増えて貧血になったり、下腹部痛や腰痛がひどくなったりすると、QOL(Quality of life)を著しく下げ、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。早めに受診しましょう。

02.子宮内膜症(チョコレートのう胞)

本来なら子宮の内側にある子宮内膜という組織が、子宮の内側以外の卵巣や子宮の周辺に飛び火して増殖する病気です。生理痛が激しく、生理以外のときでもおなかや腰に激しい痛みが起こる人もいます。20代、30代の女性に増えています。痛みがひどくなってきたら、我慢せずに受診しましょう。定期的に通院し、チェックを続けることをおすすめします。また近年、40歳を過ぎると、子宮内膜症のチョコレートのう胞ががん化するケースが増えていることがわかってきました。40歳以降で卵巣に異常がある人は要注意です。こまめに婦人科でチェックしていく必要があります。

03.子宮頸がん

子宮の入り口にできる子宮頸がんは、セックスで感染するヒトパピローマウィルス(HPV)が原因です。一度でも性経験がある人は誰もがかかる可能性のある病気で、全女性の中で20代〜30代に最も多いがんです。初期のうちは自覚症状がありません。何も症状がなくても、年1回の子宮がん検診は欠かさないようにしましょう。定期的に子宮がん検診を受ければ、前がん状態で早期発見することも可能です。また、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンも有効です。20代30代の女性でも、子宮がん検診とあわせてワクチン接種を行うことはメリットがあります。子宮がん検診とワクチンでほとんどの子宮頸がんは予防できると言われています。子宮頸がんは進行すると、性交後に出血があったり、血の混じったおりものなどが見られます。

04.卵巣がん

近年、増加傾向にあって、30代から増加し、40代後半〜60代までが最も多い年代です。早期発見が難しいうえ、女性のがんの中でも治りにくいがんです。早期には、自覚症状がないため発見しにくい、がんでもあります。年1回は子宮がん検診だけでなく、婦人科検診を受けて経腟超音波検査で、卵巣に異常がないかどうかも併せて診てもらうようにしましょう。また、近年、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)という遺伝性乳がんとともに遺伝性卵巣がんがあることもわかっています。血縁に、乳がんや卵巣がんの方がいて心配な方は、乳腺外科、婦人科で相談するとよいでしょう。

05.性感染症(STI=Sexually Transmitted Infections)

性感染症には、クラミジア感染症、淋菌、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、腟トリコモナス症、梅毒、子宮頸がん(HPV)、エイズなどがあります。自分自身の健康を損なうだけでなく、パートナーへの感染や不妊の原因にもなります。かゆみ、おりもののにおいや色の変化、いぼ、腫瘍などがあったらすぐに受診します。できればパートナーと一緒に受診しましょう。感染していることに気づかないことも多いのです。性感染症予防のためセックスのときはコンドームを使いましょう。

06.不妊症

妊娠を望んで避妊をせずにセックスをしているのに、2年以上妊娠しない場合は不妊症と定義されます。妊娠を望んでいるのに、月経不順がひどかったり、年齢が35歳以上の人は早めに産婦人科を受診しましょう。受診の際は、2〜3か月分の基礎体温表を持参すると役立ちます。女性の場合は、ひと通りの検査を終えるのに3か月程度かかります。男性に原因がある場合も少なくないので、できればパートナーと一緒に受診しましょう。

07.月経困難症

月経血がうまく子宮外に出なかったり、月経血を外に出そうと子宮が収縮することで、ひどい月経痛(生理痛)が起こります。卵巣の機能が乱れているときに起こりがちです。痛みがひどいと、月経困難症という病気の場合もあります。我慢せずに、早めに婦人科を受診しましょう。正常な生理は、ほとんど痛まないものです。病院では、保険適用になっている超低用量ピルなどで治療できます。

08.月経不順(生理不順)

正常な生理周期は、25〜38日。毎月の生理周期の変動は、6日以内なら正常です。生理の持続期間は3〜7日と言われています。ここから多少ずれる程度なら問題ありませんが、生理がひと月に2回ある、2か月以上こない、量が極端に多かったり少なかったり、期間が短かったり、いつまでもダラダラ続く、などがあったら、婦人科を受診しましょう。子宮や卵巣の病気が隠れているかもしれません。

09.月経前症候群(PMS)

生理1週間前ころから起こる、腹痛、頭痛、便秘、むくみ、乳房の痛み、イライラ、うつっぽい、不眠などのさまざまな不調が起こります。生理が始まると症状が消え、また次の生理前に現れます。日常生活に支障をきたすようなら、婦人科へ。低用量ピルや漢方薬などで症状が改善できます。メンタルの症状が強く出る場合は、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性もあります。

増田美加・女性医療ジャーナリスト

2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ