地球上に男と女がいる限り、事件は起きる。

それはLINE上やデートのときだけでなく、男女の出会いの場である“お食事会”でも多発しているのだ。

この東京のどこかで、毎晩開催されているお食事会をセッティングするのは、“手配師”と呼ばれるルナ。

これまでに、1軒目で早々に帰っていく女、結婚指輪を外して食事会に参加する既婚者の男、割り勘3,000円を喜んで支払った女たちと遭遇した。

今週の、食事会で起きた事件とは・・・?




「美紗子ちゃん、来週の金曜空いてる?お食事会のお誘いなんだけど...」

ルナさんからそう連絡があったとき、私は「空いてます♡」と即レスした。

ルナさんに誘われて参加した食事会で、ハズレは一回もない。だから今回もどんな出会いがあるのか、と大いに期待は膨らんだ。

食事会は、数ではない。質が勝負なのだ。

そんな彼女が声をかけてくれた食事会に、私は友人の有香、そして沙織という3名で参加した(今回ルナさんは、用事があって来られなかった)。

お相手は、オンライン英会話の会社を経営する高島とその友達たち。

ルナさんが不在のため、食事会当日の女性側の幹事は自然と私になった。そして男性側の幹事は高島となる。

しかし私はこの会で、“食事会でモテる立ち位置”をはっきりと悟った気がする。

食事会に必要な盛り上げる人・仕切る人(場を回す人)。そして静かに話を聞く人。果たしてどのポジションが一番、結果を残しやすいのだろうか。


食事会で一番“美味しい”ポジションはどこ?


「それでは、お互いの自己紹介でもしましょうか」

ルナさんがセッティングしてくれた食事会というだけあり、男性陣は好物件揃いだった。

有名企業の御曹司・室田と医者の黒田。3人の職業はバラバラだったものの、高島を始め、皆優しそうな雰囲気だ。

「女性陣の名前も伺えるかな?みんな可愛いけど、何繋がりなの?」

話をふってきたのは、室田だった。室田は陽気な人柄が滲み出ており、先ほどから盛り上げ役に徹してくれている。

「女性陣はみんな同じ会社に勤めている同期なんです。紹介しますね。有香は目黒出身のお嬢様で、料理がとても上手です!沙織は京都出身で、英語が堪能です」

私は、テキパキと他己紹介を行った。その間にも、室田は所々に的確な突っ込みを入れてくれる。

「美紗子ちゃんって、仕事でもそんな感じなの?ハキハキ話すし、頼れる姉貴って感じだよね。今日も、みんな美紗子ちゃんが集めたのかな?」

「そうですよ〜。私、可愛い女友達が多いので」

『代官山 韻』の「伊豆産の島さんが獲ったアワビとウニの磯焼き」に舌鼓を打ちながら、私は室田の発言に頷く。




「美紗子ちゃんはLINEの返信も早いし、今日の段取りも完璧だし。頼れるよね」

幹事の高島に褒められ、私は思わず笑みがこぼれた。

他の女性陣二人は、どちらかと言うとおっとり系で、私はチャキチャキ系になるだろう。

「みんな、飲んでる?せっかくだから、何かテーマを決めてみんなで話そうよ。過去に浮気されたことある人、手挙げて!」

有香も沙織も、室田の発言に失笑している。それを見て、私は慌てて話題を変えた。

「室田さん、それはちょっと突っ込み過ぎですよ〜。好きなタイプは?とかの質問はどうですか?」

「それいいね!そっちにしよう。さすが美紗子ちゃん、機転が利くね」

「美紗子は、仕事もできるしすごく頭の回転が早いんです。私たちはいつも美紗子に頼りっぱなしで」

室田の発言に被せるように沙織が持ち上げてくれ、私は少し恥ずかしくなった。



時間が経って盛り上がっていく中、幹事の高島を見つめる有香の目が、徐々に変化していっていることに気がつく。

-あれ?有香は高島さんがお気に入りなのかな...

そう勘づき、私はお手洗いに行くふりをして席を立ち、高島の隣の席を自然と有香へと譲った。

そしてさっきから無口な黒田の隣の席へと移動し、色々と話しかけてみた。

「美紗子ちゃんって、すごく気がきくよね」

黒田からも褒められ、幹事として嬉しくなった。こうして、順調に楽しい宴は続いていったのだ。

そして結果として、私はこの中のある男性から個別で連絡が来た。しかしそこには、予想外の結末が待っていた。


この食事会で、一番モテた男女は一体誰!?


「今日は楽しかったぁ〜ありがとうございました!」

食事を終えて解散となったが、今回の食事会の満足度は高い。

個別戦になることもなく、皆での一体感を味わえたのは室田のトーク力のお陰だろう。彼がいてくれたお陰で場が明るくなり、会話も途切れることなく続いた。

「室田さんっていい人だよね。面白いし」

そんなことを話しながら、女三人の足は何となく『IVY Place』へと向く。時間も、まだ早い。お茶を飲みながら、食事会後の“反省会”を行うには最適である。




「で、有香は誰が良かった?」
「私は高島さんかなぁ。さり気なくいろいろ気を遣ってくれたし、頼りがいがある感じ」

有香の回答は、想像していた通りだった。そんな高島からは、既に個別で連絡が来たという。

「他の男性二人からは、誰かに個別で連絡が来るかな?」

そんな、食事会後の“答えあわせ”をしている時だった。

グループLINEでのお礼が一通り終わった後、別の個別LINEが入っていることに気がつく。

「あ!黒田さんから来た・・・」

私のLINEには、意外にも黒田から連絡が入っていた。

寡黙な黒田は自分から話すタイプではなく、女性三名の中では私が一番積極的に話しかけていたため、気に入られたのだろうか。

「え〜黒田さん!たしかに、彼は一番美紗子に心を開いていたよね」
「分かる!私なんて、何話せば良いのか分からなかったもん」

女三人であーでもない、こーでもないとはしゃぎながらLINEを開封する。

しかしそこには、私の求めているものとは違う内容が記載されていた。

-黒田:今日はありがとう!楽しかったです^^良ければまた今度、みんなで食事しない?

み、“みんな”で...

黒田からのLINEをもう一度読み直す。

これでは、ただの食事会要員だ。そんなことを考えていると、立て続けに室田からもLINEが来た。

「え!?室田さんからも美紗子に個別でLINEが来たの?いいなぁ〜私は室田さんが一番良かったのに」

ふくれっ面の沙織を前にLINEを開封すると、そこにはこんな文面が踊っていた。

-室田:今日はありがとう^^美紗子ちゃんの素晴らしい幹事力で、楽しい会になったよね。ところで、今度2:2で食事会しない?男は、違う人連れて行くから。

室田は、人数指定までしてきた。

-女としてはカウントされていなかった、ということか...

幹事役は、人数集めに終わらず、気も遣うし色々と気苦労が多い。

その気苦労が報われれば良いが、結局は“名幹事”としてしか見られずに終わってしまった。

男性は今回の高島のように、幹事役が“頼りがいがあってかっこいい”と言われることも多い。しかし女性は、時として無駄な仕切りの良さは不必要なようだ。

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ちょっと目立ちたい。“ワザと遅刻”はアリ?ナシ?