阪神電鉄がリニューアル工事を計画している甲子園球場の完成予想図。(提供:阪神電鉄)

写真拡大

甲子園球場を所有する阪神電鉄<9043>は7日、「野球の聖地」として地元阪神タイガースファンはもとより、全国の高校野球ファンに広く親しまれている同球場のリニューアル計画基本構想を発表した。

 同球場は1924年8月1日、全国高校野球大会開催を目的として開設され、95年の阪神淡路大震災も大した被害もなく乗り越えてきた。しかし、建設以来80年以上の月日を経た現在、老朽化が著しく、他球場と比べて設備・機能面で劣る点がみられることから、阪神電鉄にとって同球場のリニューアルが急務となっていた。

 同社は、阪神球団をはじめ関係方面との協議の結果、総工費200億円をかけて、07年の野球シーズン終了後から全面的リニューアル工事を行うことを決定した。工事は原則としてシーズンオフを利用して3期に分けて行われ、この間、プロ野球・高校野球の試合は引き続き開催される予定。

 甲子園球場といえばツタの絡まる外壁が有名だが、リニューアル工事では外壁増強・改修工事のため、いったん伐採した後、既存のツタの種子から事前に育てた苗木を植樹することで、外観を保存する。また、内野席全体を覆う現在の大銀傘も新しいものに掛け替えるなどして、同球場の歴史と伝統を継承する。

 同球場の収容人員は現在約5万人だが、場所によっては一列に40席も並んでいるところもあり、イスの幅が狭いだけでなく、内野席で65〜90センチメートル、外野席で60〜65センチメートルと前後の間隔も狭い。リニューアル工事では、内野席の前後間隔を80〜90センチメートルに、アルプススタンド・外野席を65センチメートルに拡張、配列も内野席はすべて一列10席以下、アルプススタンド・外野席は標準16席程度にする。その結果、座席数は47000席と現在より94パーセント程度になるが、その分内外野席ともゆったり座れるようになる。

 工事計画ではこのほか、全エリアに車イス席の増設やエレベーターの設置も予定している。また、阪神タイガースの監督、コーチ、選手や関係者専用のクラブハウスも新設が予定されている。【了】