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 5月16日、NTTドコモは、お金のデザインとの提携により、dポイントを利用して投資体験ができるポイント投資サービスの提供を開始すると発表した。あわせてロボアドバイザーによる自動運用により少額から資産運用ができるサービス「THEO+docomo」の取り扱いを開始すると発表した。

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 ドコモの携帯電話の回線契約が無い顧客にもdポイントサービスを提供することにより、AIや資産運用サービスを利用する人へも会員基盤を広げていく。回線契約は他社に移ると減ってしまうが、会員は登録したら消さない限り減らないため、将来NTTグループの幅広い事業基盤の構築につながる。

 ドコモを傘下に抱える日本電信電話(NTT)は、1985年日本電信電話公社が民営化されて設立、1999年に持ち株会社として再編された。傘下に地域通信事業としてNTT東日本、NTT西日本、長距離・国際通信事業としてNTTコミュニケーションズ、移動通信事業としてNTTドコモ、データ通信事業としてNTTデータなど幅広い情報技術力を持つ事業を抱え、売上高11兆7,995億円の巨大企業グループとなったNTTの動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)実績

 営業収益は11兆7,996億円(前年比104%)、営業利益は前年よりも1,031億円増の1兆6,428億円(同107%)となった。

 営業利益増加の事業別の主な要因としては、クラウドサービスなどの成長分野を海外で強化し営業利益が前年比229%の長距離・国際通信事業で527億円増、スマートライフ領域の収益力強化を図り前年比103%の移動体通信事業で305億円増、顧客のグローバル化や高度化ニーズに対応して前年比119%のデータ通信事業で199億円増を達成したことによる。

■今期(2019年3月期)見通し

 今期から導入する国際会計基準(IFRS)により見通しを表示する。

 営業収益は11兆8,300億円(同100%)で、営業利益は前年よりも482億円増の1兆6,900億円(同103%)を見込んでいる。

 営業利益増加の事業別の主な要因としては、営業利益が前年比139%の長距離・国際通信事業で390億円増、前年比111%のデータ通信事業で186億円増に対し、前年比97%の地域通信事業で86億円の減を見込んでいるためである。

■今後の推進戦略

 中長期的な企業価値の向上を目指して、次の戦略を推進する。

 1.グローバル事業の利益成長を図る ・グローバルビジネス推進体制強化: ユーザー企業のデジタル化推進をNTTグループトータルでグローバルにサポートする。 ・クラウドサービスの統合と強化: 2010年に買収したディメンションデータ社傘下のクラウド事業をNTTコミュニケーションズの子会社へ移管し、一体運用を強化する。

 2.国内ネットワークサービスの収益力強化 ・設備投資の効率化: 携帯の契約数の拡大と光ファイバー契約の増加により利用効率向上。 ・コスト削減: 調達コストの削減とITシステムの高度化推進。

 3.B2B2Xを推進し、新たな事業を開拓 ・多様なサービス提供者(中央のB)がユーザー(X)に提供するサービスへの「触媒役」として、幅広い情報技術力で貢献する。 ・トヨタ、ファナック、クボタ、日本郵船などグローバル企業などとAI、IoTを活用した新サービスを開発し、第4次産業革命の実現につなぐ。 ・IoTの活用によりスポーツの成長産業化、環境やエネルギー問題の解決に貢献する。

 デジタル化、IoT、AIの流れに乗ってグローバルに事業を展開していくNTTの動きから目が離せない。