5月24日、モバイル決済サービス「Google Pay」でSuicaとWAONが利用可能になったことが発表され、SNSはじめネット上で大きな話題となりました。満を持しての「Suica」追加で使い勝手も飛躍的に向上するのかと思いきや「Google Payは頑張りが足りない」と辛口評価で指摘するのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、そう思わざるを得ない理由を記した上で、「電子マネーサービスの弱者連合のサービスにしかなっていない」と厳しい見方を示しています。

「Google PayでSuicaやWAONが利用可能も、ユーザーが求める「環境」とは乖離している点

5月24日より、Google PayにSuicaとWAONが加わった。これにより、Google PayではSuica、WAON、楽天Edy、nanacoの4つの電子マネーが利用できることになった。Google Payのアプリひとつで管理でき、オンラインの決済なども利用できるのが大きなメリットだ。また、Suicaに関しては、ビューカードでなくても年会費不要で登録できるのも利点だ。

ただ、おサイフケータイユーザーとしてはもうちょっとGoogleに「頑張って欲しい」というのが正直なところだ。

まず、Google Payを利用できる端末は「おサイフケータイ対応機種」となっている。SIMフリー端末でNFC-Fに対応していても使えない。きちんと「おサイフケータイ」に対応していないといけないのだ。

今回の会見で最も気になって思わず質問してしまったのだが、Google Payは機種変更時に、まとめて4つの電子マネーサービスを新しい機種に移行できるかと思いきや、移行するにはそれぞれのサービスやアプリで手続きを行う必要があるのだという。てっきり、グーグルアカウントにひも付き、すべてのサービスが、アカウントを入力するだけで、解除できたり、新たに移行できるか思いきやそうではないらしい。

実際のところ、Apple Payは、その初期設定や移行手続きなどが、従来のおサイフケータイサービスに比べてかなり簡略化され、わかりやすく、使いやすいという印象だ。これまでのおサイフケータイのサービスはそれぞれが独自の操作性や手続き方法であったため、導入へのハードルがかなり高かったが、アップルはそのあたりを再構築してきたのは立派といえる。

Googleにも同様の改善を期待していたのだが、今回はあくまで「様々なアプリやサービスをGoogle Payでまとめて管理できる」程度にとどまっている。

長年、おサイフケータイを使ってきた立場とすれば、機種変更のたびに、それぞれの電子マネーサービスで機種変更手続きをするのが面倒であり、機種変更するたびに、使わないサービスが脱落していくということを繰り返してきた。

nanacoも、WAONも、楽天Edyもプリペイド方式であり、残高の移行が難しいのは理解できるが、Suicaのようにクラウドで残高を管理できるようになれば、もうちょっと使い勝手はマシになるのではないか。

現状のGoogle Payでは、おサイフケータイのアプリをそのまま使っても大差がないだけに、もうちょっと、Googleには日本のユーザーのことを学び、頑張って欲しかった。これでは、Suica以外のGoogle PayはApple Payに入れてもらえなかった電子マネーサービスの「弱者連合」のサービスにしかなっていないように思える。

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