パドレス・牧田和久【写真:Getty Images】

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開幕からすでにマイナー降格を経験した33歳右腕の現状

 今季からパドレスでプレーする牧田和久投手。メジャーでは珍しい真正アンダースロー右腕は、開幕以来17試合に登板し、0勝1敗、防御率7.11とやや苦戦している。5月7日には3A降格も経験。故障者発生で13日には再びメジャー昇格を果たした。牧田を際立たせているのはアンダースローの投球スタイル、そして速球全盛時代には珍しいスローボールを駆使した制球だ。そんなオリジナリティの高い右腕を、地元紙「サンディエゴ・ユニオントリビューン」が特集。一問一答形式で展開される記事の中には、牧田の覚悟が伺える。

 アンダースロー投法で打者を幻惑する右腕だが、記事によれば、そのリリースポイントは平均で地上1.67フィート(約51センチ)で全メジャー投手の中で最も低く、MLB公式サイトの「Gameday」では「チェンジアップ」と判別される速球は平均球速79.8マイル(約128キロ)で、これまたメジャーで最も遅いという。日本でも稀有なスタイルだが、西武で過ごした7年では主に救援としてマウンドに上がり、276試合(110先発)で53勝49敗25セーブ54ホールド、防御率2.83という成績を残した。侍ジャパンのメンバーとして、2017年のWBCで活躍。その独特なスタイルに惚れ込んだパドレスと契約したが、開幕後はなかなか結果が出せなかった。

 牧田は不調だった原因について「こちらに来て、パワーの部分、パワー投手という自分らしくないことをしようと試みていました」と通訳を介して説明。「自分の得意なこと、自分の強みが何なのかを見直し、実戦する必要がありました」と話し、マイナー降格となった時は、3Aで投手コーチを務める大塚晶文氏と「大事なことは自分自身でいること。自分の強みを活かして投球すること」という話をし、“課題”に取り組んだという。

 マイナー降格時に首脳陣から牧田に与えられた“課題”。それは、対左打者の対策だったという。33歳右腕は、今季メジャーで右打者と47打席、左打者と35打席で対戦している。どちらの打者とも満遍なく対戦しているが、被打率を見ると対右打者は.222、対左打者は.345と大きな差がある。またこれまで4被弾しているが、そのうち3本塁打が左打者によるものだ。現在もその課題には取り組んでいる最中だとし、「準備から始まり、アウトにするイメージを持ち、実際に投球する時にそのイメージをマウンドで再現すること」をカギに挙げている。

 メジャー再合流から2週間ほど経つが、登板したのはわずか3回。だが、「自分の立場は分かっています」という牧田は、大差のついた場面で起用される現状に理解を示し、「登板する時は、自分に与えられた仕事を果たし、できるだけ長くマウンドに立っていられるように」しながら、首脳陣の信頼を勝ち取っていく覚悟を見せた。

 日本で成功を収めながら、33歳でメジャーに新天地を求めて、またイチからキャリアを積み直している右腕。自分らしさを取り戻し、無失点登板を重ねながら、ゆくゆくは勝利の方程式の一角を担えるまでになりたい。(Full-Count編集部)